フィアット 500はイタリア発の小型乗用車で、そのレトロなデザインから高い人気を誇る車です。
今回はフィアット500の後部座席についてご紹介します。
フィアット500の後部座席の2列目・セカンドシート
フィアットはイタリア最大の自動車メーカーで、その中で「500(チンクチェント)」が車名です。
フィアット500は1936年に初代が登場してイタリアの国民車となった車ですが、現行モデルはその初代のレトロなデザインを現代風に解釈したレトロフィーチャーな車として海外のみならず日本でも人気があります。
今回はフィアット500の後部座席を詳しく見ていきますが、まずは大まかな車のサイズをご紹介しましょう。
スペック | フィアット500 | |
乗車定員 | 4名 | |
全長 | 3,570mm | |
全幅 | 1,625mm | |
全高 | 1,515mm | |
室内長 | 約1,700mm | |
室内幅 | 約1,300mm | |
室内高 | 約1,000mm | |
ラゲッジルーム | 高さ | 約900mm |
幅 | 約900mm | |
奥行き | 約500mm | |
運転席寸法 | 高さ | 約1,000mm |
幅 | 約500mm | |
奥行き | 約1,000mm | |
助手席寸法 | 高さ | 約1,000mm |
幅 | 約500mm | |
奥行き | 約1,000mm | |
後席寸法 | 高さ | 約900mm |
幅 | 約1,000mm | |
奥行き | 約700mm |
フィアット500は国産車で言えばサブコンパクトカーと呼ばれるカテゴリーの車で、軽自動車よりもわずかに長い全長とワイドな全幅で塊感のある車です。
フィアット500の全体的なデザインは初代500を彷彿とさせる丸みを帯びた可愛いフォルムをしており、まさにフィアット500の最大の魅力となっています。
フィアット500はコンパクトカークラスではありますが乗車人数は4名となっており、前席2名、後席2名の軽自動車のようなレイアウトとなっています。
車内スペースも全体的に広々としているわけではなく、全体的にデザイン優先で設計された車となります。
ではこのフィアット500の後部座席を詳しく見ていきましょう。
フィアット500の広さ・居住性
フィアット500の車内レイアウトは軽自動車に近いレイアウトであり、後部座席は2席が横につながったようなベンチシートになっています。
フィアット500は外観のデザインが丸みのあるキュートなデザインになっていますが、車内のデザインについても全体的にオシャレなデザインでレトロなメーターやシート表皮などが素敵です。
そんなフィアット500の後部座席はサイズ的には決して広いものではなく、フィアット500自体が丸いデザインと引き換えに車内スペースが狭めになっているので後部座席の横幅も2名乗車でギリギリ収まるようなサイズになります。
運転席や助手席のある部分よりも車の後部が左右に絞られるようなデザインになっているので、後部座席はあくまで補助座席的な役割が強くなっています。
そしてフィアット500の後部座席に座ってみるとその足下空間の狭さがかなり気になるのですが、標準的な体型の男性が座ると前席シートの背もたれにヒザがぶつかるような窮屈さです。
なんとか座れはするのですがくつろげるようなサイズ感ではなく、短時間ならともかく長時間座っているとかなり疲れる座席です。
さらにフィアット500は元々のサイズから全高が低い車ですが、特に車の後部が急速に丸くなっている影響で天井およびリアウインドウが後部座席のすぐ上で低くなります。
そのため後部座席に座ったときの頭上空間は頭が天井に擦れるほど窮屈で、大人の人では少し首をすぼめるようにして圧迫感を感じながら座ることになるでしょう。
さらにフィアット500はドアが前席部分にしか無い3ドア式のハッチバックカーなので、後部座席に座るときには前席脇のドアから乗り込むことになります。
しかしその際には前席シートを前に倒して乗り込むスペースを確保することになりますし、乗降するときには窮屈なスペースに体を押し込むときになるので乗降性はかなり悪いです。
3ドアハッチバックカーというレイアウトも初代500から受け継いだ重要なデザインアイコンなのですが、実用性という面では少し使いづらいものです。
フィアット500の後部座席のチャイルドシート対応
フィアット500はそのコンパクトさや可愛らしいデザインから女性にも人気の高い車ですが、この車を子育て世代のファミリーカーとして運用するのは難しい点が多いです。
子育て世代のファミリーカーでは子供を安全に車に乗せるためにチャイルドシートが必須となるのですが、チャイルドシートはある程度の年齢まで必須の製品となります。
チャイルドシートは車の通常のシートでは安全に保護できない小さな子供を支えるためのシートで、車のシートの上に乗せて利用します。
チャイルドシートには乳幼児用や幼児用、学童用などさまざまな年齢や体の大きさにあわせた製品があり、搭載場所としては基本的に後部座席がメインとなります。
またチャイルドシートの固定にはシートベルトを利用するのが標準的な方法ですが、近年の車には「ISOFIX」と呼ばれるチャイルドシート固定専用の器具が設定されており、これに対応したチャイルドシートであれば確実な固定ができます。
フィアット500には後部座席の左右席にそれぞれISOFIX式の固定器具が用意されており、さらに後部座席後方に「トップテザーアンカー」というチャイルドシートの上側を支えるフックもあるので、チャイルドシートの固定に関しては十分な性能があります。
しかしフィアット500の後部座席はそのスペース自体がかなり狭いことでチャイルドシートの搭載には色々な制限があり、あまり大きなチャイルドシートだと搭載自体が出来ずに利用不可となります。
チャイルドシートは多くのメーカーからさまざまなサイズのものが販売されており、それに対する車への適応表もありますので、その中からなんとかフィアット500に合うものを探す必要があります。
あらかじめ確認しないままにチャイルドシートを購入すると後からフィアット500では使えないことが判明したりするので、できるだけ適応表に則った製品を購入しましょう。
しかしチャイルドシートが搭載できたとしても実際に運用するときにも問題が多く、フィアット500は前席シートから後部座席の乗り込む車なので、子供を連れてその狭いスペースに乗り込まなければならないのはかなり大変です。
ですのでフィアット500を子育て用の車として使うのはあまりおすすめできず、出来れば他に国産の軽自動車なりを2台目として持って、そちらにチャイルドシートを載せたほうが懸命でしょう。
フィアット500の座り心地
フィアット500の後部座席の座り心地は硬い感触の座席で、前述した狭さと相まって補助座席的な役割の強いシートです。
フィアット500の後部座席はフラットなデザインのベンチシートですが、その背もたれや座面の固さが硬めでありクッション性があまりない座席です。
シートにも凹凸がないのでホールド性が弱く、横に振られるような走行時に体も振られるので疲れやすい座席です。
そのうえ足下空間や頭上空間が狭くて圧迫感がありますので、短時間の乗車なら我慢できますが旅行や高速道路などでの長時間走行はかなり辛い車です。
後部座席のシート表皮や全体のデザインは可愛らしいので見た目は良いのですが、実用性の面ではやはり不便な部分が多いでしょう。
またフィアット500の後部座席にはヘッドレストがしっかり1つずつ装備されており、安全性の面では十分な装備です。
ヘッドレストは走行時には頭を乗せるクッションですが、万が一の事故の際には頭を前後にしっかり支えることでむち打ちを防ぐことができ、後部座席であってもヘッドレストの有無は重要なポイントです。
フィアット500は小さな車ながら装備はされていますが、ヘッドレストもどちらかというとデザイン優先であり、小型の丸いデザインのヘッドレストになっています。
これでも最低限の働きはするのですが、ヘッドレストを上下に動かして調整しようにもリアウインドウが近いので調整代が大きくありません。
こちらもヘッドレストとはいっても最低限の装備といった印象です。
フィアット500の後部座席の装備
フィアット500の後部座席周りの装備としては最低限のものとなっており、利便性が高いものではありません。
まずフィアット500の後部座席のシートベルトについて見ていきますが、シートベルトは運転席や助手席同様の3点式シートベルトが装備されています。
フィアット500の後部座席はセンター席がないので左右には標準的なシートベルトがあり、シートの後方脇のピラー部分から出てきているので使い勝手の良いものとなっています。
シートベルトも車内のデザインにあわせたものとなっていて操作性も良いので、こちらは初めて乗った人でもすぐにシートベルトを見つけて操作することができるでしょう。
一方でこの他の装備については最低限の収納ぐらいが備わっているだけで、ほとんど座るだけの機能しかありません。
フィアット500の運転席や助手席周りにはレトロフィーチャーでこの車独特の素敵なインテリアや装備が備わっているのですが、後部座席には座席の左右のボディ部分に設けられた小物入れと、小さめのシートバックポケットぐらいしか特筆すべき装備はありません。
後部ドアもないのでドアポケットなどはなく、その他の収納も容量が少ないのでほとんど便利に使えるものはありません。
またアームレストや充電ポートなどの国産車にありがちな便利な装備もないので、本当にただ座るのがメインの座席となります。
フィアット500のリクライニング・シートアレンジ
フィアット500の後部座席は基本的に固定式の座席ですが、シートアレンジは使い勝手の良い機能が備わっています。
フィアット500の後部座席はリクライニング機能やスライド機能などがない固定式の座席で、背もたれの角度なども変更できません。
運転席や助手席にはこういった機能はあるものの、そもそも後部座席のスペースが狭いので後部座席ではそういった機能はつかえないのでしょう。
後部座席の足元空間が狭いときには前席シートを前にスライドさせれば多少は解消しますが、運転席や助手席も広いわけではないので後部座席を優先するのも難しいでしょう。
一方でフィアット500には後部座席の背もたれを前側に倒して収納するシートアレンジ機能があり、この機能によってラゲッジスペースを拡大できます。
フィアット500の後部座席の後ろはラゲッジスペースになっているのですが車のサイズが小さいことからラゲッジスペースは非常に狭く、あまり実用的ではありません。
そのためちょっとでも大きな物を載せる場合にはシートアレンジを駆使して後部座席のスペースも利用する必要があり、一人乗りのときには常に倒しておいてもよいぐらいです。
また後部座席は左右分割式でどちらかだけを倒すことも出来るので、3名乗車で残ったスペースをラゲッジスペースにして利用することもできます。
居住スペースの狭いフィアット500の後部座席は荷物置きとして利用することのほうが多いでしょうが、シートアレンジによってより使いやすくできます。
フィアット500の後部座席の評価・口コミ
フィアット500の後部座席についてはtwitterでもいろいろな投稿がありますが、その中からいくつかご紹介しましょう。
フィアット500意外と後部座席広い🐟👍 pic.twitter.com/Qqk3c8b2LG
— かぐや (@Ddrkaguya) February 11, 2021
こちらの方は実際にフィアット500の後部座席に座っていらっしゃいますが、意外と広いとおっしゃっていますね。
フィアット500の後部座席は一目見るととても座れなさそうなサイズ感ですが、実際に座ってみるととりあえず足は収まるので意外とという評価なのでしょう。
それでも写真にあるようにヒザが前のシートにぶつかるようになっているので、国産車と比べるとやはり狭いのは確かです。
312型、2代目500のリバイバル的な見た目の自動車としてはいいんじゃないかなとは思う
「フィアットの車」として見るなら超アンチ あのデカい図体で定員4名なのも荷物載らんのも2人しか乗れない後部座席はチビのぼくでさえ頭の側面が当たるのもダメ スタイリングのためにフィアットの全てを捨てた車— のりたまδ (@nrtm_A5529) January 6, 2023
こちらの方はフィアット500のデザインコンセプトなどは高い評価をされていますが、実用面ではかなり不便を感じていらっしゃいます。
後部座席の狭さやラゲッジスペースの狭さでどうしても不便な点が目立つ車にもなっており、あくまでデザイン優先といった設計になります。
総評
フィアット500はレトロなデザインを盛り込んだ可愛らしい小型車であり、その見た目でもインテリアのデザインなどを見てもかなり人を惹きつける魅力たっぷりの車です。
それでも後部座席については非常に狭いスペースは最低限の機能など補助座席的な役割が強く、実用性の面はあまり期待しないほうがよいでしょう。
あくまでデザインが魅力であり、後部座席を普段から使わないような方にはオススメ出来る車です。