中古車を探しているときにたまに見かける「デモカー」という中古車ですが、ふつうの中古車となにが違うのか、注意点はあるのかなど、分からないことが多いですよね。
今回はデモカーの中古車についてご説明します。
デモカーとは
一般的に「デモカー」と呼ばれる車は、自動車ディーラーで試乗車や展示車として使われていた車のことを指します。
またディーラーの営業車として使われていた車もデモカーに入ることがありますので、まとめて言えばディーラーで使われていた車ということです。
デモカーは役割を終えた引退カー
自動車ディーラーでは新車が発売されるたびに、展示用の車や試乗用の車として販売用以外の車が何台か入庫されます。
これらの車はその車種の販売期間中はディーラーでさまざまな用途に使われますが、新車発売から1年~数年経過した時点で役目を終え、中古車として販売されることになります。
自動車の新車は1年のうちでも数車種販売されますし、同じ車種でも数年するとマイナーチェンジなどを行って仕様が変わっていきます。
そのためデモカーとして使われる車は、新車が販売されるにしたがって不要になったり、マイナーチェンジ後のモデルに差し替えられたリしますので、1年程度しか使われていない車が中古車市場に流れてくるのです。
「未使用車」とデモカーの違い
デモカーと同じくディーラーから出てきた中古車に「未使用車」というものがありますが、これはディーラーの車として新車登録された後、中古車市場に出てきた車のことを指します。
出自が似たような経緯の車ではありますが、未使用車は車としてほとんど乗られていない状態ですので、デモカーとは区別して考えるのが良いでしょう。(中には混同しているケースも見られます)
デモカーのメリット
デモカーとして使われていた車はお客さんにアピールするための車ですので、一般的に状態が良いものが多く、中古車として買うには次の様なメリットがあります。
点検、整備が行き届いている
試乗車などは日常的にお客さんを乗せて走る車ですので、点検、整備がこまめに行われていることが多く、ふつうの中古車よりもメンテナンスが行き届いています。
一般的な中古車では点検していてもせいぜい1年に1度ぐらいですが、ディーラーが面倒を見ていた車であれば運行前点検なども行っているので、各段に整備状況は良いでしょう。
また故障などがあってもしっかり修理されているので安心です。
走行距離が少ない
展示車両はもちろんのこと、試乗車も走行距離自体は普通の車より少なく、中古車としては走行距離が少ない車です。
1回の試乗で走行する距離は数km~多くても10kmぐらいですので、1年間で走行距離は5,000kmも行かないでしょう。
走行距離が少ないとはいっても日常的にエンジンを掛けられたリ、試乗走行をしたりと車を動かしているので、稼働させずに放置された車ではありません。
走行距離が少ないうえに、ある程度の慣らしも完了しているという、とても良い状態の中古車です。
外装、内装がキレイ
お客さんにアピールするための車ですので、外装、内装のキズや凹み、汚れなどのダメージはほとんどなく、新車に近い状態が保たれています。
とはいっても人の手が触る車なのでほんのわずかなキズなどはあるかもしれませんが、ディーラー展示で使える車であれば、まず気になることのない程度のものでしょう。
中古車としては保存状態の良い車だと言えます。
オプションパーツが充実している
新車はさまざまなオプションパーツを選べるのが魅力ですが、デモカーではオプションパーツのアピールも行うので、展示車、試乗車にはフルオプションの車も珍しくありません。
性能のよいナビやグレードの高い内装、エアロパーツなどの外装パーツなど、オプションパーツはさまざまな種類がありますが、デモカーにはグレードの高い装備が設定されています。
しかし中古車市場になるとオプション装備での価格差は新車ほどではなくなるので、そこまでの費用差が無い状態でフルオプション車を手に入れられ、お得です。
デモカーは購入しても大丈夫か
前述したように中古車としては状態が良くメリットが多いデモカーですが、いくつかデメリットもあります。
普通の中古車に比べて価格が高い
デモカーは車の状態は良いのですが、中古車としてみた時の価格は同グレードの車に対して高い傾向があります。
そもそも車の状態がとてもよいことや、走行距離があまり多くないことなども価格が高止まりしている原因ですが、デモカーは普通の中古車と違ってディーラーの備品として扱われるため、中古車としての価格は減価償却費で決まっています。
通常の中古車は新車購入から1年後で売った場合でも40%も価格が下落するのですが、減価償却費としての価格下落は1年で15%~20%に留まりますので、その分中古車としては値段が高止まりしています。
経過年数が2年になると価格の下落率が30%~40%程度になるので、ようやく普通の1年落ち中古車と同じ価格帯になるわけです。
車の状態が良好であれば価格が少し高くても買うメリットは十分にありますが、少しでも安く中古車を手に入れたい人にはデモカーは不向きでしょう。
なお、正しいやり方で値引き交渉をすればもう少し安い価格で購入できます。
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台数が少ない
デモカーは一つのディーラーから、せいぜい年間数台が中古車として出てくるだけなので、台数は結構少ないのもデメリットの一つです。
中古車を探していてデモカーを発見できたのであれば、結構引く手あまたで人気だと考えなくてはいけません。
値段は高くても状態はよいのですから、すぐに売り切れてしまいます。
もし馴染みのディーラーがあるのであれば、デモカーが中古車になったタイミングを教えてもらうこともできるかもしれません。
ディーラーとしても余計な在庫になるデモカーは早めに売ってしまいたいでしょうから。
ボディカラーは派手なものが多い
デモカーは展示用、宣伝用の車ですから、目立つようなボディカラーのものが多く、人気色である白や黒系は少ない傾向にあります。
特に試乗車は公道を走るのでアピール度の高い、レッド、ブルー、イエロー系のボディカラーが多く、派手な色が苦手な人にはあまりデモカーは向かないでしょう。
当然中には白、黒系のデモカーもありますが、代数的には少なめで競争率も高いでしょう。
また人気色でない場合、手に入れたデモカーを再度売る際に買い取り価格が下落する傾向にあります。
派手な色は買う人も少ないので、買い取り価格を下げざるを得ないというわけです。
その後の買い取り価格を気にする人であれば、派手な色のデモカーは避けた方が無難です。
デモカーは買いなのか
さて、ここまでご説明した様に、デモカーには普通の中古車にはないデメリットも多少ながらありますが、やはり車の品質が良いことを考えれば多少値段が高くてもデモカーは¨買い¨です。
中古車としてみた場合、デモカーほど手入れの行き届いていた車はほかにないでしょう。
ディーラーでの十分なメンテナンスや、日光、雨風のあまり当たらない店舗にあることなど、車として保存状態がとても良い環境です。
中古車としてみれば少々高い値段でも、デモカーは車としてはほとんど新車同然ですので、新車を安く買えると考えれば、十分お買い得と言えるでしょう。
台数も少なく、人気ですぐに売り切れることが考えられるデモカーですので、運よく巡り合えたらぜひ購入を検討してみてください。
番外編:もう一つの「デモカー」
さて自動車業界には、「デモカー」と呼ばれる車がもう一つあるのをご存知でしょうか?
この「デモカー」は正式にはデモンストレーションカーと呼ばれますが、主に自動車のチューニングやカスタマイズを専門に行うお店が、カスタマイズ例の一つとして製作した車の事を「デモカー」と呼びます。
カスタマイズの例としては次のようなものがあり、ディーラーで販売されている車にはない性能や、デザインが追及された車です。
- エンジンやトランスミッションなど、主に動力系の強化
- サスペンションなど足回りの強化
- 外装に付けるカスタムエアロパーツの追加
- 内装をカスタマイズする、社外のハンドルやモニターの追加、シート生地の変更など
- 大きなホイールやデザイン性の高いホイールへの変更
- 純正にはないボディカラーの塗装
こういった「デモカー」はとても派手に改造されている車が多いので、ネットでデモカーを検索していると目に付くこともあるでしょう。
しかしディーラーの試乗車、展示車落ちのデモカーとは全く違う車に仕上がっていますので、混同してしまわないように気を付けましょう。
普通の乗用車を買ったはずだったのに、凄いパワーの派手な車が脳社されるかもしれませんよ?