レンジローバースポーツはイギリスのランドローバー社が手がけるSUVで、高い走行性能が魅力の車となっています。
今回はそんなレンジローバースポーツの故障に関してご説明します。
レンジローバースポーツの故障率
レンジローバーはランドローバーを代表する大型高級SUVで、SUVらしい直線基調のデザインと高級な内装や乗り心地などが特徴です。
そのレンジローバーをベースとしてよりスポーツカーとして走行性能を高めたのがレンジローバースポーツで、SUVの得意とする悪路走行より一般道路の走行が得意な車です。
レンジローバースポーツは2005年〜2013年までの間で初代が、その後2013年〜のモデルが現行車となります。
レンジローバースポーツには強力なスペックを持つV6やV8のチャージドエンジンが搭載されており、非常に強力なスペックとレンジローバー譲りのラグジュアリーな内装を持ち、若者向けの高級SUVとして存在感を発揮しています。
そんなレンジローバースポーツの故障に関しては、次のような面から見ていきます。
ランドローバーの耐久品質調査
自動車の故障率や不具合件数は各メーカーが独自に市場調査などを行っているのですが、そのデータは社外秘の機密データなので決して一般には公開されません。
そこでレンジローバースポーツのこういったデータを見るためにはメーカーとは別の民間調査会社のデータが必要で、そのうちの一つである米国J.D.パワー社の「自動車耐久品質調査」が参考になります。
この調査は各国市場での新車購入をしたユーザーから、購入から3年〜5年の間に起こった不具合を聞き取り調査して、それをメーカーごとのランキングにしたものです。
レンジローバースポーツ単体の不具合率ではないのですが、メーカー別にどのぐらいの信頼性があるかを比較できます。
ランドローバーは日本市場では販売台数が少ないためにこの調査の対象外で、その代わりとして米国市場での調査結果を参照します。
ランキング | メーカー | スコア |
1 | レクサス | 99 |
2 | ポルシェ | 100 |
3 | ビュイック | 116 |
4 | インフィニティ | 120 |
5 | キア | 122 |
6 | シボレー | 124 |
6 | ヒュンダイ | 124 |
8 | BMW | 127 |
8 | トヨタ | 127 |
10 | リンカーン | 133 |
10 | 日産 | 133 |
業界平均 | 142 | |
30 | ランドローバー | 204 |
米国市場での2018年の調査ではランドローバーは30位となっているのですが、これは全体でのワースト2位であり信頼性調査としては悪い結果です。
この調査では不具合件数の多さをスコアとして出してあるのですが、ランドローバーはこれが204と上位のメーカーに比べると圧倒的に多く、それだけ不具合が多いことがわかります。
日本メーカーはレクサスやインフィニティが上位、トヨタ、日産などがトップ10に入っていますが、いずれもランドローバーよりスコアは低くそれだけ不具合が少ないことがわかります。
この結果は日本市場に直接反映できるわけではありませんが、比較のデータとしてランドローバーの信頼性が低いということはいえるでしょう。
レンジローバースポーツの信頼性調査
J.D.パワー社の調査では米国市場の車種単体の信頼性評価を公開していますが、レンジローバースポーツもその中に含まれていますのでこちらも見てみましょう。
参考 2018 Land Rover Range Rover SportU.S. News Best Carsこの調査では信頼性調査を業界平均 星3点、最大で星5点で評価しており、3点あれば平均的な信頼性を持つという形です。
レンジローバースポーツはこの調査では星2.5点となっており、平均的な信頼性には一歩及ばないことからも全体的に不具合が多いことが見て取れます。
一方で日本車の同クラスのSUVは星4点前後が一般的であり、この点で比較してもレンジローバースポーツは日本車より故障が多いといえるでしょう。
中古のレンジローバースポーツの故障しやすさ
レンジローバースポーツは結構前から日本にも多少輸入されていたため、中古車市場でも一定数をみかけることができます。
中古車は新車に比べると年数が経過していたり走行距離が増えたりして様々な部分が劣化しているのですが、国産車の場合は年式10年以上、もしくは走行距離100,000km以上が寿命といわれます。
ですがレンジローバースポーツのような比較的信頼性の低い車の場合は中古車の劣化も早い部分が多く、その半分程度の頃から故障は増加傾向にあります。
また中古車で購入してからトラブルで修理が必要となっても、交換部品の在庫が国内にないことも多く、取り寄せに時間やコストがかかることもあります。
レンジローバースポーツはランドローバーの中でも台数の少ないモデルですので、その分修理に対する大変さもあります。
レンジローバースポーツ オーナーの評判
レンジローバースポーツの故障に関してはTwitter上でもいくつか情報が上がっていますので、その中からいくつかご紹介します。
@shimon1173 レンジローバースポーツとかかっこいいよね‼ただ、ちょっとエアサスは故障がこわいんだよね…
— naggyz (@naggyz4127) September 14, 2012
こちらの方はレンジローバースポーツのスポーティさなどに惹かれていらっしゃるようですが、やはり故障に関しては不安があるようですね。
特にエアサスに関してはレンジローバーの定番の故障部位でもあり、レンジローバースポーツでも不安の残る箇所です。
レンジローバースポーツが発表されてすぐに予約して買いましたが、やはり初期型お約束の初期不良がたくさんあっていつも修理に出してました(笑) pic.twitter.com/pt739E0mIW
— マコニャコフ (@makopin911) July 13, 2018
こちらの方はレンジローバースポーツの発表からすぐ予約された方でもっとも初期の型を手に入れられたわけですが、初期不良が多く修理は大変だったようです。
国産車ではあまりこういったことはありませんが、輸入車の場合はもともとの信頼性の低さから初期不良も多く、修理を何度もしないと落ち着かないということがよくあります。
レンジローバースポーツとかカッコいいけど、修理武勇伝聞かされて結構呆れるレベル
— NAKA78 MDO (@Beat78Naka78) April 29, 2017
レンジローバースポーツはそのデザインやスペックを見るととても魅力的で、珍しい車でもあるので欲しいと考える人は多いです。
ですが経験者から故障の多さや修理について聞かされるとなかなか踏み出せない場合もあり、ある程度の収入などがなければなかなか維持が難しいのも現実です。
レンジローバースポーツの故障事例
レンジローバースポーツの故障事例はいくつもありますが、その中から代表的なものをご紹介します。
エアサスペンション関連のトラブル
エアサスペンションはレンジローバーの代表的な特徴の1つで、空気圧でサスペンションの役割をする高級車向けの装備です。
普通はSUVには使われないのですがレンジローバーは高級志向の車ですので、乗り心地の改善のために伝統的に使われています。
乗り心地の点では素晴らしい性能を持つエアサスペンションなのですが、その一方で空気を保持する部分にゴムの蛇腹などが使われており、それが経年劣化によってやぶれたり穴が開いたりして空気漏れすることが起こります。
レンジローバースポーツの場合はエアサスペンションの空気漏れはいつか起こると言われており、早いと年式5年ぐらいからトラブルが起こってきます。
また他にはエアサスペンションに空気を送るエアポンプの故障や、空気を伝達するホース類などの故障も起こり、どれもエアサスペンションが正常に動かなくなるので乗り心地が悪化したり異音や異常振動が起こります。
このようなエアサスペンション関連の故障は部品交換による対処が必要ですが、エアサスペンションの関連部品は非常に高額で、タイヤ一本分あたり200,000円〜300,000円もかかります。
さらに4本のうちどれか1本でも故障すると他の3本にも同様のトラブルが起こる可能性が高く、ディーラーなどでは4本まとめての交換を推奨されます。
その意見も決して間違ってはいないのですが、そうなると修理費用は1,000,000円以上になるのが確実で非常にコストがかかります。
電装系の故障
電装系の故障は輸入車では多いトラブルの一つですが、レンジローバースポーツでも電装系のトラブルは多いです。
特にレンジローバースポーツで多いの車室内の電装系部品の故障で、内装にはさまざまなセンサーやスイッチ類、灯火類などが故障しやすいです。
こういった部品の故障はひとつあたり数万円程度で修理できますが、多くは経年劣化による故障なので次々様々な部位が故障することもあります。
またレンジローバースポーツでは付属のカーナビが故障しやすいといわれており、突然モニターがつかなくなったり操作が不能になったりします。
こうなったらカーナビ自体を交換しなければなりませんが、費用は数十万円クラスとなりますのでやはり費用面で厳しいものです。
加えて同じカーナビだと再度故障する可能性も高いので、社外の別のカーナビに交換することも手段の1つです。
パワーウインドウの窓落ち
パワーウインドウは窓ガラスを電動で上下させる装置ですが、このパワーウインドウは窓ガラスが上下しなくなる窓落ちというトラブルがあります。
窓落ちは窓ガラスが下がったままになったり、もしくは上がったままになったりする状態のことで、電動で正常に動かなくなる状態のことを指します。
その原因はパワーウインドウの作動部分であるパワーウインドウレギュレーターの故障で、この部品が破損することでパワーウインドウは動かなくなります。
パワーウインドウレギュレーターは電動モーターと金属や樹脂のアームなどで構成されていますが、このモーターが動かなくなったり樹脂部品が壊れたりすることで故障となります。
修理にはパワーウインドウレギュレーターの交換が必要となりますが、それにはドア関連の分解が必要となりますので作業費用と合わせて数十万円の修理費用が必要となります。
ですが修理しないと窓ガラスが開きっぱなしになったりしますので、防犯上や防水の面で大きな問題があり、即座に修理が必要です。
レンジローバースポーツは買っても大丈夫か?
レンジローバースポーツはレンジローバーという高級SUVをさらにパワフルにしたスペシャルモデルで、新車で10,000,000円近くするのですがその満足度は非常に高い車です。
またレンジローバー譲りのラグジュアリーな内装もあり、エアサスペンションの効果などで世界でも屈指の快適なSUVとなっています。
ですがそこまで高級な車であるにもかかわらず、故障に関してはどうしても国産車に及ばない部分が多く、修理などの維持費がさらにかかるのは確実です。
購入時もそうですが、その後にもしっかりメンテナンスができる方でなければ、非常に大変な車といえるでしょう。