レンジローバーはイギリス発祥のオフロード向けの車で、ランドローバーというメーカーの長い歴史のある車種です。
今回はそんなレンジローバーの故障に関してご説明します。
レンジローバーの故障率
レンジローバーはランドローバー社がラインナップするクロスカントリーSUVで、1970年から現在までモデルが継続している非常に歴史の長い車です。
現行車は4代目となりますが、その間モデルチェンジはわずか3回しか行われていません。
レンジローバーの特徴はなんと行ってもその車体構造にあり、オフロードなどの悪路走行に向いている耐久性の高いラダーフレーム構造を持っています。
一方でレンジローバーはラグジュアリーカーとしての側面も持っており、外観は直線基調のSUVであるにもかかわらず高級感のあるデザインとなっています。
また内装デザインにも力を入れたりサスペンションに乗り心地の良いエアサスペンションを採用したりと、乗用車としての実力も高い車です。
その性能からイギリス本国のみならず全世界でオフロード車としてまたラグジュアリーカーとしての評価が高く、日本でも昔から根強い人気があります。
そんなレンジローバーの故障に関しては次のような点から見ることができます。
ランドローバーの耐久品質調査結果
自動車の故障率は自動車メーカーが調査してそのデータを収集しているのですが、そのデータは社外秘の重要な機密データとなっていますので、どのメーカーも一般に好評はしていません。
そのため一般ユーザーが車の故障についてのデータを見るためにはメーカーとは別の民間調査会社のデータを見る必要があります。
その一つが米国J.D.パワー社が公表している「自動車耐久品質調査」で、この調査は各国市場で新車を購入したオーナーから購入3年〜5年の間の不具合件数を聞き取り調査したものです。
その結果はメーカーごとのランキングとして発表されており、毎年調査されるデータは自動車メーカーも注目するものの1つとなっています。
日本ではランドローバーは販売台数が少ないのでこの調査から外れてしまっているのですが、米国市場で日本メーカーと比較したデータがありますので以下をご紹介します。
ランキング | メーカー | スコア |
1 | レクサス | 99 |
2 | ポルシェ | 100 |
3 | ビュイック | 116 |
4 | インフィニティ | 120 |
5 | キア | 122 |
6 | シボレー | 124 |
6 | ヒュンダイ | 124 |
8 | BMW | 127 |
8 | トヨタ | 127 |
10 | リンカーン | 133 |
10 | 日産 | 133 |
業界平均 | 142 | |
30 | ランドローバー | 204 |
この調査でランドローバーは30位、不具合の多さを表すスコアが204ポイントという結果となっていますが、このランクはなんとワースト2の結果であり不具合件数がかなり多いメーカーといえます。
上位にはレクサス、トヨタ、日産などの日本メーカーが並んでいますが、そのスコアは100〜130ポイント程度と、ランドローバーとの差は歴然です。
この結果はレンジローバー単体の不具合件数ではありませんが、ランドローバーというメーカーの車が全体的に不具合が多いという結果であり、レンジローバーは同クラスの国産車と比べると故障が多い車といえます。
レンジローバーの信頼性評価
J.D.パワー社では主に北米で販売されているの車種それぞれの様々な評価を行っており、その中に信頼性の評価があります。
この調査は不具合件数や故障率自体が分かるものではありませんが、平均点を星3つ、最大を星5つとして評価したものです。
レンジローバーの最新の評価は2018年のものとなりますが、レンジローバーはこの調査で星2.5点となっており、その信頼性は平均以下という評価になっています。
現行レンジローバーは2013年ごろからラインナップされている車種ですが、信頼性に関してはずっとこのぐらいのスコアが続いています。
参考 2018 Land Rover Range Rover Reliability & RecallsU.S. News Best Cars一方で同クラスの国産車では星4点や星4.5点など高得点の車が多く、レンジローバーと比較すると信頼性が高い車種ということがいえます。
そのため日本国内においてもレンジローバーは同クラスの日本車より故障が多い傾向があり、それは他の海外メーカーと比較しても不具合の多いものとなるでしょう。
中古のレンジローバーの故障しやすさ
レンジローバーは昔から日本でも人気が高く輸入車も数多く入ってきています。そのため中古車市場にもレンジローバーは沢山残っており、年式も走行距離もさまざまな個体があります。
中古の輸入車となると故障がどうしても気になるものですが、レンジローバーに関しては新車購入でも故障が比較的多い車種なので、中古車ではなおさらです。
一般的な国産車の場合は年式10年以上もしくは走行距離100,000km以上が車の寿命の1つとされていますが、輸入車の場合はもっと短くその半分ぐらいから故障が増えてきます。
レンジローバーの場合はさらに輸入車の中でも故障の多い車ですので、中古車を購入する場合にはとにかく年式と走行距離の新しい車を選ぶ必要があります。
それでも乗っているうちに故障は出てきますので、その修理などの出来る中古車店や販売店を選ぶのも重要です。
レンジローバーオーナーの評判
レンジローバーのオーナーは国内にも多いのですが、故障に関しては不安を抱えている人も多いようでTwitterには次のような声が見られます。
レンジローバーとユーノスロードスターの2台持ちの時がありました。
レンジの故障の多さに心が折れて手放しましたw#レンジローバー#ユーノスロードスター pic.twitter.com/wLPR8hm9qh— エイチ監督 (@h_kantoku37) June 16, 2019
こちらの方はマツダのロードスターとレンジローバーの2台持ち体制をしていらっしゃったようですが、レンジローバーのほうはあまりの故障の多さに手放されたそうです。
この2車ならスポーツカーのロードスターより実用性に富むレンジローバーのほうを残したい所ですが、それでもレンジローバーを手放すほど悩みが深かったのですね。
レンジローバー電装系故障多すぎだろ
— えぞしか (@ezodeer_takezo) May 5, 2017
輸入車は故障の中でも電装系は弱いと昔から言われていますが、レンジローバーもその例に漏れず故障の多い箇所です。
特に本国のイギリスより高温多湿で環境の厳しい日本ではトラブルは多くなります。
@maco2ro なんかさ。昔わたしがフィット乗っててな。父がレンジローバー乗ってて。
フィットなんてメンテナンスフリーで故障なんて何もせずで(今も現役11年経過)、レンジローバーはブレーキオイルが突然だだ漏れて止まったり、パワーウィンドウ閉まらなくなったり、— ぴろこ (@Blackymarine) March 28, 2016
こちらの方はご家族でレンジローバーとホンダ フィットの2車種を乗っていらっしゃったそうですが、フィットがほぼ故障なく推移したのに対してレンジローバーは故障多発となったそうです。
特にブレーキオイル漏れなどは非常に重大な故障であり、最近の国産車ではほとんど聞かれないトラブルですね。
レンジローバーの故障事例
レンジローバーの故障事例は多岐に登り、国産車では考えられないようなことも多々あります。
今回はその中から3件ほど代表的なものをご紹介しましょう。
電装品のトラブル
レンジローバーの故障事例でよく聞かれるのはやはり電装品のトラブルですが、一言で電装品と言ってもその対象は様々な部品に及びます。
国産車で電装品のトラブルというとスイッチが動かなくなったりセンサーの不具合による動作不良などがあります。
レンジローバーにももちろんこれらのトラブルは多く、スイッチやエンジン、車両側のセンサーなどは色々な箇所が故障することがあります。
その頻度や箇所は個体によって違いますが、輸入車ということもあってその修理部品は高額で、修理費用などレンジローバーの維持費は総じて高くなります。
また他には各電装品をつないでいる「ハーネス」という電線の束があるのですが、これが各所で断線や接触不良などを起こすことも多く、特に環境の厳しいエンジン周りで起こりやすいトラブルです。
故障しやすい場所としてはハーネスと他の部品が干渉している箇所や曲がりが強い場所などがあり、国産車では大丈夫な箇所でもレンジローバーでは起きやすいことが多いです。
ハーネスは車の全体に張り巡らされているもので交換というわけにはいきませんので、つなぎ直しなどの修理となるため費用はかさみます。
車の電装品は常に増加傾向にありレンジローバーも電装品は多いので、その分トラブルは増加傾向にあります。
エアサスペンションの故障
レンジローバー特有の故障事例はやはりエアサスペンションであり、レンジローバーの魅力ともいえるサスペンションシステムなので重大なトラブルの1つです。
エアサスペンションは空気圧によって伸縮をコントロールするシステムで、乗り心地を重視する高級セダンなどに採用されることの多いサスペンションです。
ですがSUVであるレンジローバーはラグジュアリーカーとしての性能も重視しているためにエアサスペンションを伝統的に採用しており、オフロードでの走破性と一般道路での乗り心地を両立するための重要なシステムです。
ですがエアサスペンションはその構造上空気をサスペンションに送ったり、サスペンションに密閉部分の多い複雑なシステムでもあります。
そのため経年劣化が進むとレンジローバーのエアサスペンションには空気漏れやブーツの破れ、エアポンプの動作不良などさまざまな故障が多発してくる箇所であり、レンジローバーを乗り続けていれば何度も故障することもよくあります。
修理にはエアサスペンションやポンプ、ホースなどの部品交換が必要となりますが、高級車向けの部品でコストは高く部品代もかかります。
また修理にはサスペンション周りを大幅に分解しなければならないため修理も難しく、トータルでは数十万円から1,000,000円以上の修理費用となることもあります。それが何度も起こるとなると維持費は非常に嵩むことになるでしょう。
各所からの雨漏り
レンジローバーの部品は経年劣化に弱く、ゴム部品や樹脂部品などの劣化が原因のトラブルも多いです。その中の一つとしてゴム製のウェザーストリップなどの不良から来る雨漏りも結構多いのです。
雨漏りが起こるのは左右のドアやテールゲートと車体が接している部分で、ここは開閉する関係上かならず水密シールが必要な部分です。
そこにはウェザーストリップと呼ばれるゴム部品が使われていますが、このゴム自体が劣化するとそこから水が侵入し、雨天時などには雨漏りにつながることがあります。
またレンジローバーで多いトラブルとしては屋根に付いているサンルーフからの雨漏りで、雨が直接降りかかる屋根のシール部分なのでより雨漏りが起こりやすいのです。
これらの雨漏りは一度起こるとウェザーストリップの劣化も加速度的に進むためにひどくなるので、修理は早く行わなければなりません。
ですが修理にはウェザーストリップの部品交換が必要で、ドアやルーフなどの大きな部品なので修理は大変な部類です。また部品代も100,000円前後のものですので、総額は数十万円規模となります。
とはいえ放置するわけにはいかない不具合ですので、維持費がかかる大きな要因です。
レンジローバーは買っても大丈夫か?
レンジローバーはデザイン性も良く、また乗り心地や高級感がある内装など、車としての満足度は非常に高い一台となります。
ですが故障に関しては数ある輸入車の中でもトラブルの多いメーカーであり、購入するのであれば故障が起こる前提で考えておかなければなりません。
そのためその際はレンジローバーを購入したディーラーや輸入車に強い修理工場などをあらかじめ見つけておいたほうが良いでしょう。