トヨタ ルーミーはハイトワゴン系のコンパクトカーで、小型車ながら広い車内が特徴です。
今回はそんなルーミーでの車中泊についてご説明していきます。
ルーミーの車中泊に向かない点
トヨタ ルーミーはスクエアボディのコンパクトカーで、車高が高いのが特徴のコンパクトカーです。
ルーミーはトヨタとダイハツが共同開発した車種で、トヨタにはルーミーの他にタンクという兄弟車と、ダイハツにはトールという姉妹車があります。
これらはフロントマスクのデザインが違う以外は大まかなサイズやコンポーネントは共通化されており、各社のコンパクトカーのベーシックモデルの1つとなっています。
ルーミーには車高の高さから来る車内の圧倒的な広さや、ハイブリッドはないもののコストパフォーマンスに優れるエンジンなどバランスの取れた構造が特徴となっています。
近年ルーミーのようなワゴン系の車では車中泊という利用法が注目されており、これは旅行の際にホテルや旅館に宿泊するのではなく車の車内で一晩を過ごす方法です。
この車中泊ではキャンプの代わりも可能で、車の車内をテント代わりとして荷物も少なく宿泊できます。
何より宿泊にかかる費用を抑えられるのが大きなメリットとなっていて、さまざまな車中泊グッズが投稿するほど人気となっています。
今回はそんな車中泊にルーミーがどこまで活用できるかを見ていきます。
スペック | ルーミー | |
価格 | 1,490,500円〜2,046,000円 | |
乗車定員 | 5名 | |
全長 | 3,700mm〜3,725mm | |
全幅 | 1,670mm | |
全高 | 1,735mm | |
室内長 | 2,180mm | |
室内幅 | 1,480mm | |
室内高 | 1,355mm | |
ラゲッジルーム | 高さ | 990mm |
幅 | 1,070mm | |
奥行き | 550mm | |
運転席寸法 | 高さ | 約1,200mm |
幅 | 約500mm | |
奥行き | 約1,100mm | |
助手席寸法 | 高さ | 約1,200mm |
幅 | 約500mm | |
奥行き | 約1,100mm | |
後席寸法 | 高さ | 約1,200mm |
幅 | 約1,300mm | |
奥行き | 約1,100m | |
3列目寸法 | 高さ | 3列目なし |
幅 | ||
奥行き |
ルーミーはコンパクトカーという普通車の中でも小型の車ですが、コンパクトカーの中でも特に全長が短く軽自動車に近い3,700mm前後の全長となっています。
一方で全幅は1,670mmと大きめのワイドなサイズ感になっており、車内のスペースを広げる構造になっています。
そして全高は1,735mmと高いサイズ感の車になっており、これによって室内高も広くなっています。
ルーミーの室内高は1,355mmとコンパクトカーにしては非常に広々としたもので、シートに座ったときの図上空間はミニバンにも匹敵する大きなものとなります。
一方で室内長はコンパクトカークラスとしては標準的なものですが、室内幅は全幅の大きさが反映されて1,500mm弱と広々とした幅となります。
ラゲッジスペースに関してもそれなりに広々としたサイズとなっており、普段使いでとても便利な1台となります。
そんな車内スペースを持つルーミーですが、車内のシートの構造などをよく見てみると案外車中泊には不向きな点が多いことがわかります。
そういったルーミーの車中泊に向かない点をまずはご紹介します。
車中泊は一応可能だが気になる点が多い
参考:toyota.jp
ルーミーはコンパクトカーの中では車内が広いイメージが強く、実際広々としているように感じるのですが、車中泊を行うと気になる点が結構あります。
車中泊として車内で寝るためにはシートをうまくシートアレンジして寝台を作り上げることが必要です。
ルーミーでも車中泊をするときにはシートアレンジを使って寝台を作る必要があるのですが、ルーミーのシートアレンジは2つ一応利用できます。
しかしそのどちらも快適に寝ることのできる寝台にはならず、次のような問題も出てきます。
ルーミーのシートアレンジの1つでラゲッジスペースのフルフラットモードがあるのですが、これは大きな荷物を載せるときに前後のスペースが少ない場合に活用するものです。
このモードでは後部座席を前側に収納することでラゲッジスペースと続きのスペースとするもので、長物の荷物も載せることができます。
しかしこのモードでは折りたたんだ後部座席の上面とラゲッジスペースの上面がフラットにならず、後部座席分の段差も残るので寝るのには不便なのです。
もう一つのシートアレンジモードは前席と後席をつなげて作るもので、このモードでは後席を最大限後ろにスライドさせた状態で前席の背もたれを後ろに倒すモードとなります。
このモードでは前席の背もたれの上面と後席の座面がほぼフラットになるので車中泊には向いていそうに見えます。
ですが後席は背もたれが完全に後ろに倒すスペースがないので背もたれが斜めになったままであり、車中泊の寝台としてフルフラットにはならないのです。
こういった問題点があるのでルーミーでの車中泊は簡単に行えない面があり、トールタイプのワゴンとしては残念な点です。
寝台の前後スペースは少し不足する
上記の2つのシートアレンジで車中泊は可能な場合もあるのですが、標準的なものとしてみると寝台の前後スペースが多少小さいのが問題点です。
まずラゲッジスペースをフルフラットにするモードでは後席とラゲッジスペースのスペースで車中泊をするのですが、その前後のサイズは1,500mm程度となっていて車中泊にはちょっと足りません。
車中泊には最低限でも寝る方の身長分の前後スペースが必要ですが、標準的なサイズとして考えると170cmぐらいの人までを想定して寝台のサイズは1,800mmはほしいところです。
ですがルーミーのこのモードではたとえ前席を前側にスライドさせたとしても1,800mmものサイズは確保できず、身長の低い方でしか車中泊ができないサイズ感です。
もう一つの前席と後席でフルフラットにするモードでは前後のスペースはもう少し広げることができるのですが、それでもおおよそ1,700mm程度しか寝台のサイズが取れないのでやはり多少不足気味です。
これは後席の背もたれが完全に後ろに倒れないためにサイズに制限が出来てしまっているからで、寝台とできるのは後席の座面までだからです。
このサイズであればなんとか車中泊自体は可能なのですが、170cmぐらいの人だとギリギリのサイズで窮屈感を感じるでしょう。
このようにルーミーの車中泊モードはどちらもサイズ的にも少し惜しいのですが、全長の短いコンパクトワゴンであるルーミーでは仕方ない面でもあります。
寝台の段差が大きい
ルーミーの前述の2つの車中泊モードではフラットな形状には一応できるものの、実際の寝台には大きな凹凸や段差が結構あってそのままではあまり快適ではありません。
まずラゲッジスペースを拡大するシートアレンジでは後席は前側に収納しますが、その構造は背もたれがそのままの位置で前に倒れるものです。
そのため背もたれの厚みの分がそのまま段差としてラゲッジスペースより高くなるような形状となっており、荷物を載せるだけならともかくここで寝るとなると快適性はありません。
もしこのモードで車中泊をするのであれば後席分の段差を完全に吸収するようなボードなどを用意する必要があり、大掛かりな準備が必要です。
もう一つの前席と後席で作るモードに関しては全体的にはフラットな感じなのですが、前席はリクライニング機能を使って背もたれを倒している関係で前席の座面との間には段差が生まれます。
またシートの上面にはホールド感を高める凹凸なども結構あるのでどうしても車中泊の際には気になる部分が多く、こちらもなにか対処しなければ快適な寝台とはなりません。
ただこのモードなら前席シートの段差を足側にすることで多少は寝やすくはなるので、そういった使い方をすることで簡易的には車中泊はできるでしょう。
車中泊時の荷室が少ない
ルーミーは通常の状態では座席の広さとラゲッジスペースの広さが良いバランスとなっているのですが、車中泊となると荷室が少ないのが問題です。
ルーミーは通常ではある程度のラゲッジスペースの広さが使い勝手が良いのですが、車中泊用にシートアレンジをすると寝台を構成するのでギリギリでラゲッジスペースがなくなってしまうのです。
この点に関しては2つのシートアレンジどちらでもラゲッジスペースがなくなってしまいますので、荷物は車内の別のところに置かなければなりません。
車中泊は旅行の際に活用するものなのでどうしても荷物は多くなるものであり、荷物を載せられる場所が少ないのは以外と問題となります。
後席とラゲッジスペースを使うモードでは前席はそのまま残っているのでそちらを荷物置きとすることができますが、その場合は寝台自体のサイズが小さくなります。
前席と後席でのモードでは前席も使ってしまうのでシートにはほぼ荷物を置く場所はなく、そのほかにダッシュボードの上であったりドアポケットなどに荷物を置かなければならないのです。
ルーミーでの車中泊ではこういった問題があるので、元々持っていく荷物の大きさや量を考えておく必要があり、自宅などで一度お試し車中泊をしてみると安心です。
車内に電源ポートが設置できない
ルーミーで車中泊をしようとした際にちょっと残念に思う点として車内で電源が使えないということがあり、近年のコンパクトカーとしても残念です。
車中泊をする際に車の車内で電源が活用できると車中泊の活用方法が一気に広がるのですが、キャンプと同じような車中泊に見えますが車の電源を使えるというのは車中泊ならではといえます。
車内で電源が使えるとちょっとした充電から消費電力の少ない家電製品などを使うことができて、100VコンセントやUSBポートを備えることで携帯電話の充電も出来ますし照明や娯楽、飲食用のものなど使えるものは多いです。
また最近はコンパクトカーでもハイブリッドモデルが増えていることからコンセントポートの設置も進んでおり、中には1,500Wコンセントが使える車種もあります。
ですがルーミーにはそういった便利装備はもともとアクセサリーとしても準備されておらず、唯一あるのは標準的な装備であるシガーソケットだけとなっています。
シガーソケットでも車専用の電気製品はあるのですが、そのままでは100VコンセントやUSBといった使い方が出来ないので車中泊のときに使えるものにも制限が出てきてしまいます。
ルーミーの競合車の中には電源ポートを備えている車種も多いので、ルーミーが低価格帯の車であることを考えても残念な点でしょう。
ルーミーで車中泊をする方法
では次にルーミーで車中泊をする方法をご紹介しましょう。
車内のフラット化の操作
参考:toyota.jp
ルーミーで車中泊をするためのフルフラットモードは2つあるとご紹介しましたが、その操作は別々のものです。
まずラゲッジスペースを拡大する方のフラットモードでは主に後席の収納をするのですが、後席の背もたれを前側に倒す操作が主となります。
この操作はレバーによって操作するのですが、操作手順などは車の説明書に書いてあるでしょう。
操作自体は難しいことはなく一度慣れれば簡単ですので、自宅などで一度操作を試してみるとよいでしょう。
このモードでの車中泊の寝台は様々な準備が必要ですが、シートアレンジに関してはこれだけです。
もう一つのフラットモードである前席と後席のモードでは両方の座席を操作するのですが、こちらはシートのスライド機能やリクライニング機能といった馴染みのある操作で行います。
まずルーミーでは前席と後席どちらもヘッドレストは取り外しておいて、シートの下など邪魔にならない部分に置いておきます。
その状態で前席は前側に、後席は後側にスライドさせてから前席の背もたれをリクライニングさせ、後席の座面とうまく収まるように調整します。
このとき後席の背もたれの角度を適切にしないと前席が収まらないので、そこも試してみると良いでしょう。
車中泊の準備
参考:toyota.jp
ルーミーでの車中泊には段差などをクリアするために結構準備が必要なのですが、その他に車中泊マットなどの快適に寝るためのアイテムも必要です。
まずルーミーの寝台に段差がある場合にはそれをなんとか吸収しなくてはなりませんが、それには段差吸収用のマットやボックス、自作の板などさまざまな方法があります。
ある程度大きな段差がなくなったら次は車中泊マットの出番で、このマットはクッション性のある素材で寝台の上の布団にもなるものです。
マットの弾力で寝台の凹凸を吸収しつつ、快適に寝るためには車中泊マットの大きさや厚みが重要となります。
その他に車中泊に必要なものとしては遮光カーテンや遮光ボードがあるのですが、これはルーミーのウインドウを塞いで外から光が入ってこないようにするものです。
これがないと車中泊の際に外の街灯の光や他の車のヘッドライトの光などが入ってきてしまい睡眠を妨げるので、暗い寝室を作るために遮光アイテムがいるのです。
遮光カーテンや遮光ボードは社外品のものが数多くありますが、汎用品などを購入してそれを自分で加工してルーミーの窓にしっかりフィットするものも作れます。
なおこういった車中泊アイテムは自動車用品店などにさまざまな製品が販売されていますので、それを組み合わせて快適な車中泊空間を作りましょう。
車中泊の注意点
車中泊には車内の形状や準備など独特の要素が多いのですが、その他に注意点もあります。
それは車内の換気をしっかり行うということなのですが、もし車内で防犯などを考慮して窓を締め切った状態で一晩を過ごすと、朝起きたときに息苦しさを感じたり汗をかいていたりします。
これは密閉度の高い車内で空気を呼吸で消費して二酸化炭素が増えたためで、健康を害するほどではないのですが空気が汚れたためです。
これを防ぐために車内の換気が重要なのですが、換気の方法はいくつかあり車ならではのものもあります。
まず一番簡単に換気するには車の窓を少しでも空けておくことですが、これでは外から虫が入ってきたり音が聞こえてきたりと問題もあります。
これを防ぐためには車のエアコンを外気循環モードで動かしておくのが便利で、エアコンなので温度管理も出来て一石二鳥です。
ただエアコン稼働時にはバッテリーが上がらないようにエンジンはアイドリング状態にして置かなければならないので、燃料の残量にも気をつけましょう。
なおエンジンがアイドリング状態のときに環境によっては積雪などで排気管が詰まってしまうことがありますが、これは排気ガスの逆流などの危険があるのでそういった可能性があるときには窓も少しだけ空けておくと良いでしょう。
ルーミーの車中泊が快適な理由
ルーミーは車中泊をするには少し不便な部分もあるのですが、次のような部分では便利な点もあります。
室内高が高く上下方向の快適性はある
参考:toyota.jp
ルーミーはその大きな特徴として車高の高いハイトワゴンという点があるのですが、その特徴は車中泊のときにもメリットになります。
ルーミーは車高の高さから室内高が広々と確保されている車で、車内のシートに座ったときに天井までの距離が広くなっており開放感の高い車内となっています。
その大きさは1,300mm〜1,400mmぐらいあるので室内高だけはミニバンクラスであり、コンパクトカーにしてはとても広々としています。
車内でかがめば天井に当たらずに立てるぐらいのサイズがあるので、車内の使い勝手は良いのです。
この室内高の高さは車中泊のときには車内で活動できる幅を広げられるメリットがあり、車内に作る寝台の上でキャンプのような楽しみ方ができます。
ルーミーの車内で車中泊用のベッドを敷いて車中泊マットまで装着したとしてもまだ天井までの距離は余裕があり、寝台の上で体を起こすスペースがあります。
そのため寝台の上で飲食したり娯楽を楽しんだり読書をしたりと、工夫次第で車中泊の楽しみが一気に増えるのです。
コンパクトカーで車高の低い車ではこういった使い方がなかなか出来ないので、車高の高いルーミーならではのものといえるでしょう。
室内幅がそれなりにあるので3人でもなんとか寝られる
ルーミーは車のサイズ的に横方向にもそれなりに大きくワイドになっており、車内の幅も広めとなっています。
ルーミーのこの特徴は室内幅で1,480mm確保できるようになっており、このサイズ感があれば少し狭めではありますが3人で横並びで寝ることもできないではありません。
このスペースでは一人あたりの横幅が500mm弱となっていて実際に寝てみると横の人と手などが当たったりはしますが、それでもコンパクトカー1台で3人で車中泊ができるというのはメリットになるでしょう。
また大人3人では少し窮屈でも、家族で子供さんを間に挟むような形ならより楽に寝ることができるでしょう。
どうしてもコンパクトカーでの車中泊では室内のサイズが小さめとなるので車中泊が一度にできるのは2名までということが多いのですが、ルーミーはスクエアボディということもあってもう少し広く使えます。
もちろんルーミーで2人での車中泊ならかなりゆとりのある横幅となるので、身体があたってしまうということはほとんどないでしょう。
ルーミーは前後方向は車の全長が短めなのでどうしても制限が多いのですが、横幅は余裕があるので車中泊しやすいサイズとなります。
ルーミーの車中泊の口コミ・評判
ルーミーの車中泊についてはtwitterにもさまざまな評判があるのでその中からいくつかご紹介しましょう。
今更ながら
車中泊仕様にしてみたくなった#ルーミー#車中泊 pic.twitter.com/QdVMoYZOGU— バロン (@maamai1) October 3, 2020
この方はルーミーの車内を車中泊仕様にして写真をとっていらっしゃいますが、前席と後席を使うモードではこのように後席の背もたれが斜めのままとなります。
この状態で身長の高い方だと頭や足がこの斜めな部分に乗ってきてしまうので微妙なことがありますが、そのあたりは身長次第といえるでしょう。
ルーミー良かった点(4)
2列目がほぼフラット・・・2列目が70度まで倒れるので前席と合わせてほぼフラットな空間ができます。すでに3回の車中泊をしてみましたが、寝心地は良いです。(クッション類は色々と組み合わせて実験中)— 三浦半島人 (@25i6G4yuQ9QzljN) November 26, 2020
こちらの方はルーミーでの車中泊を快適に過ごせているようで、3回も車中泊がうまくいっているそうですね。
クッションなどを工夫することでたぶんですが段差なども解消されているようで、何度もいろいろなものを試してみるのが面白い点ですね。
総評
ルーミーはトヨタのコンパクトカーとしては全長の短さと車高の高さで非常に扱いやすい車となっており、特に車内の広さは高さもあってゆとりがあります。
それを見ると車中泊は楽なようにも見えますが、実際には少し気になる点が多く、その対策や準備をあらかじめしておくのが大事です。
それでも普段使いは便利な車ですし、たまに車中泊をすることも考えているような方にはなかなか良い1台ではないでしょうか。
なお前述で触れたトヨタ タンクやダイハツ トール、またそれらのOEM扱いであるスバル ジャスティに関しても車内の構造はほぼ同一なので、車中泊に対する対応も同一となります。