「トヨタのプリウスって、乗り心地はどんな感じ? 走行性能とか車内の広さは?」
「プリウスを買おうか迷ってるんだけど、実際に乗ったひとの意見が聞きたい!」
車を購入するかどうか決めるときに、すでにその車に乗っているひとの意見を参考にしたいですよね。
そこで、トヨタ・プリウス(50系前期)の試乗をしてきました。
実際に乗ってみた感想から、プリウス(50系前期)の乗り心地や走行性能について、写真つきでわかりやすく解説します。
プリウス(50系前期)の外装・エクステリア
まず、外装から見ていきましょう。グレードはS “ツーリングセレクション”です。
後ろに向かって上がっていくような形をしていますね。プリウスは、トヨタの公式サイトだとセダンにジャンル分けされていますが、セダンと聞いてイメージする形とはだいぶ違います。
他の車種とは一線を画するこの形は、先進的でオリジナリティがあってかっこいいですね。
ボディーカラーは8色から選択可能で、写真に写っているのはエモーショナルレッドです。
個人的にあんまりこの色はいいと思えませんね。どうせ赤にするなら、もっと鮮やかな赤にしたほうがかっこいいと思います。
給油口は車体の左側についています。
賛否両論、というかネット上では批判的な意見ばかりが目につく、独特な形をしたテールランプ。
個人的にはおしゃれでかっこいいと思うんですけどね。その後のマイナーチェンジで変わってしまったところを見るに、やはり一般的にもウケが悪かったようです。
トランクカバーについている、トヨタのエンブレム。
おなじくトランクカバーについている、プリウスのロゴマークです。
フロントにもトヨタのエンブレムがついています。トヨタ車は車種によってその車種特有のエンブレムがついていたりしますが、やはり基本のこのマークがいちばんかっこいいですね。
プリウス(50系前期)の乗り心地
それでは、プリウス(50\系前期)の車内空間について解説していきます。
運転席は広くて快適
まずは運転席にすわってみましょう。
セダンなので車高は低めですが、身長177cmの私でも、乗り降りはしやすいです。
少し硬めの合成皮革シートが腰にも背中にもしっくり来ます。シートが硬いというとすわり心地が悪そうに聞こえますが、実際にすわってみると全然そんなことはありませんでした。
頭から天井までのスペースにもこれだけの余裕があり、上下からの圧迫感もないです。
センターコンソール(運転席と助手席を隔てる部分)の位置が低いため、左右も広々としています。
ヒザやつま先に何かがぶつかるようなこともなく、足元も広々とした、快適な運転席です。
後部座席は大人3人でもなんとか乗れそう
つづいて、後部座席にすわってみましょう。
後部座席もヒンジドア(外側に向かって開くドア)になっていて、車高は低いですが、運転席とおなじく乗り降りしやすいです。
運転席を私にちょうどいい位置にした状態で後部座席にすわると、ヒザが前のシートにぶつからず、前後からの圧迫感はありません。
天井が後ろに向かってだんだん低くなっていく形をしているんですが、それでも天井に頭が当たるようなことはなく、上下からの圧迫感もないです。
ちなみにプリウスは5人乗りなので、定員いっぱい乗る場合は後部座席に3人すわることになります。
左右の幅的には大人3人でも乗れそうですが、真ん中の席はシートが上に向かって少し盛り上がっており、上下幅がせまくなっているので注意。身長が高いひとは右端か左端の席にすわるように、席順を工夫する必要があります。
さらに、真ん中の席は足元も上に向かってポコッと出っ張っており、脚を広げてすわらないといけません(脚を閉じてしまうとかなりきゅうくつな体勢になります。)
真ん中の席にすわるひとが脚を広げるぶん、見た目よりも足元はせまくなると思ってください。
ただ、おなじような作りになっているクラウンに比べて、プリウスのシートの出っ張りはまだマシなほうで、私でもなんとかすわれる程度のせまさでした。大人3人でもなんとか乗れると思います。
車体の大きさ
プリウスの車体の大きさは、以下のようになっています。
- 全長4,540mm
- 全幅1,760mm
- 全高1,470mm(E-Four仕様だと1,475mm)
- 乗車定員5人
全長・全幅はそれほど大きくなく、急カーブやS字クランクなんかを走行しても、こすりそうになる場面は一度もありませんでした。少なくとも街中を走るのに「大きすぎて運転できない」ということはまずないと思います。
全高は低いものの、乗り降りのしにくさは意識するほどのものではなく、乗ってしまえばまったく気になりません。
乗車定員の5人乗る場合は前部座席に2人、後部座席に3人すわることになりますが、後部座席の真ん中に身長の低いひとを配置するように工夫すれば、大人5人でも乗れる広さです。
これから車の購入を考えているなら、値引き交渉の正しいやり方を覚えておくといいですよ。このやり方を知らないと最大60万円以上も損します。
詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。
プリウス(50系前期)に乗った感想
それでは、プリウスA ”ツーリングセレクション” E-Fourに試乗した感想を解説していきます。
(※先ほど解説したのはS ”ツーリングセレクション”ですが、試乗するのはA “ツーリングセレクション”E-Fourです。)
静粛性はイメージ通り優秀
スタートボタンを押すと、スーッと静かに電源が入りました。ハイブリッドカーならではのこの感覚に、その筆頭であるプリウスの試乗が始まるワクワク感を感じます。
エンジン音はけっこう大きいですが、アクアやシエンタに試乗したときほどうるさい感じはしません。
アクセルを踏むとモーター音が静かに聞こえてきて、数秒後にエンジン音がガーッと控えめに鳴り出し、エンジンがかかったことがわかります。
静かでありながら「車に乗ってる感」がちゃんとあって、電気自動車とガソリンエンジン車の良いとこ取りをしている感覚。静粛性はイメージ通り優秀ですね。
加速していく様子を音で実感できて気持ちいい
アクセルを踏むとグングン加速していきます。加速はイメージしていたよりも全然速いですね。途中でエンジンが始動したのが音でわかって、スピードが上がっていく実感が沸いてきます。
ハイブリッドカーは、車種によっては音が静かすぎてスピードを出している実感が沸かなかったりしますが、プリウスはちゃんと実感が沸きますね。走っていて気持ちいい。
ネットでは「プリウスは運転していてつまらない」というウワサがあり、走行性能が悪いのかな? と勝手にイメージを膨らませてました。しかし、乗ってみたら全然そんなことなかったです。
パワーモードに切り替えてみるとさらに加速が速くなり、あっという間に制限速度の40km/hに達しました。下手なガソリンエンジン車よりも、走行性能は優秀だと思います。
ステアリングは操作感・さわり心地ともに良好
ステアリングは、まずハンドル自体が細め。個人的に細いハンドルは好きではないんですが、プリウスぐらいの細さだったらにぎりやすくて良いですね。
表面のさわり心地もつるつるしていて気持ちいいです。86のハンドルのような無骨なつるつるじゃなくて、優しいつるつる。たぶん、縫合の糸が荒っぽくないから優しく感じるんだと思います。
操作感は重くもなく軽くもなく、回している手ごたえがちゃんとありつつ重くないので、操作しやすい。
ただ、スポーク(ハンドルのまわりの○と真ん中をつなぐ部分)がプラスチックで硬く、回したときにこの硬い部分に手が当たると、あまり気持ちよくないです。慣れれば平気かもしれませんが、ここはちょっと安っぽい感じがしますね。
悪路走破性はE-Four仕様なら良好
でこぼこ道を走行した時の振動・突き上げは、あるにはありますが控えめです。ガタッと突き上げられたあとに、タイヤが地面に吸着するような感覚がありました。
マイナーチェンジ後の2WD仕様プリウスに乗ったときはこの感覚はなかったので、おそらくE-Four仕様ならではの機能性なんでしょう。
クラウンの3.5 RS Advanceグレードほど優秀ではないものの、車全体がガックンガックン揺れる86やカローラアクシオと比べると、プリウスE-Four仕様の悪路走破性はじゅうぶん良好だと思います。
シートヒーターがめちゃくちゃ暖かい
今回試乗したA “ツーリングセレクション”グレードには、シートヒーターが標準装備されていました。
冬の試乗だったので、めちゃくちゃ暖かくて気持ちよかったです。エアコンと違って静かだし、自分の身体を直接暖めてくれるからほんとうに快適ですね。一度体験したらこれは手放せません。
シフトレバーが操作しにくい
プリウスのシフトレバーは、手のひらでにぎり込むのではなく、指先で持ってちょこちょこっと動かすタイプ。これが非常に操作しにくい。
ふつうのシフトレバーはPからDに切り替えるとそのままDの位置にとどまりますが、プリウスは指を離すとPの位置に戻ってしまう仕様です。本当に切り替わったのかどうか不安になります。
デザインは未来的でおしゃれですが、機能性を優先してほしいですね。
メーターがデジタルなのが残念
(※この写真は私が試乗しているときに同乗者が後部座席から撮影したものです。)
プリウスのメーターは、針でスピードを表すアナログ式ではなく、数字をそのまま表記するデジタルメーター。個人的にデジタルメーターはあまりかっこいいと思えないので、ここは残念なポイントです。
たぶんプリウスはもう今後もずっとコレで行くんでしょうけど、アナログにできるならアナログにしてほしいですね。
ハイブリッドシステムインジケーターをつければハイブリッドカーらしくなって、イメージ壊れないと思うんですけどね。
真後ろの交通状況が見にくい
(※写真は新型プリウスですが、つくりは50系前期とおなじです。)
プリウスはリアウィンドウが小さく、後方視界がとても悪いです。もともと小さいリアウィンドウを2分割するように、スポイラー(空気抵抗を減らすためのパーツ)がついています。
誰も乗っていない状態でもこれしか見えず、さらに後部座席にひとが乗った状態になると、頭でほとんど遮られてしまい、見えるのは頭と頭のすき間の部分のみになります。
オプションのバックカメラがあれば駐車は問題なくできますが、走行中は後続車の姿が見えにくく、接近していても気づきにくそうです。
実燃費は12.4km/l
15分程度の試乗でしたが、実燃費は12.4km/lでした。今回試乗したプリウスの燃費は、メーカー発表で34.0km/lなので、実際は36%程度しか走れていないことになります。
イメージほど低燃費ではないですね。プリウスのいちばんのウリであろう部分なのに、この数値には驚きました。
ノーマルモードとパワーモードをほぼ1:1で使い、エアコンを風量最大でつけて、シートヒーターを運転席だけ使っていたので、確かにかなり燃料を喰う乗りかただったかもしれません。
一時停止や信号待ちもあり、20km/h~40km/h程度で走行した実燃費です。一般道路に近い条件での数値なので、参考にしてください。
プリウス(50系前期)の価格は中古車なら妥当
さて、プリウスは価格に見合った車なんでしょうか? それぞれのグレードの価格は下の表のようになっています。(※プリウス(50系前期)は2018年12月に新車販売が終了していますので、「年式が2年以内の中古車」の価格例を載せます。)
グレード | 駆動 | 価格例 |
Aプレミアム ”ツーリングセレクション” | E-Four | 2,740,000円(新車時3,394,145円) |
2WD | 2,630,000円(新車時3,199,745円) | |
Aプレミアム | E-Four | 2,950,000円(新車時3,301,855円) |
2WD | 2,700,000円(新車時3,107,455円) | |
A “ツーリングセレクション” | E-Four | 2,370,000円(新車時3,121,200円) |
2WD | 2,520,000円(新車時2,926,800円) | |
A | E-Four | 2,750,000円(新車時2,971,963円) |
2WD | 2,120,000円(新車時2,777,563円) | |
S “ツーリングセレクション” | E-Four | 2,450,000円(新車時2,822,727円) |
2WD | 2,150,000円(新車時2,628,327円) | |
S | E-Four | 1,960,000円(新車時2,673,491円) |
2WD | 1,940,000円(新車時2,479,091円) | |
E | 2WD | 1,710,000円(新車時2,429,018円) |
全部で7グレード用意されており、すべてハイブリッド。
Eグレード以外のそれぞれに2WD仕様とE-Four仕様があって、おなじグレードの場合はE-Four仕様のほうが高くなっています。(表ではA”ツーリングセレクション”のみ2WDのほうが高いですが、中古車なのであくまで価格例です。)
私が試乗したのはA “ツーリングセレクション”E-Fourで、中古車価格は2,370,000円。試乗してみた感想としては、妥当だと思います。
走行性能は優秀で、ほかの車種とくらべても見劣りしません。車内は静かで快適ですし、シートヒーターで真冬の寒さ対策もバッチリです。
新車価格の3,121,200円で購入するなら高いと思いますが、700,000円以上安く買える中古車価格ならねらい目ですね。
ただ、燃費がイメージほど良くないので、プリウスを購入するなら燃費以外にも気に入るポイントを見つけておきましょう。
ここまで書いてきましたが、2WDとE-Fourの違いはでこぼこ道の走行時に少し感じた程度で、平坦な道ではまったくわかりませんでした。
これはあくまで私が試乗した感想なので、おなじ感想を持つかどうか、購入前に試乗してみてくださいね。