スバル レガシィは同社のフラッグシップモデルともいえる車種で、日本では1990年代から熱狂的なファンのいる車種です。
今回はそんなレガシィの故障に関してご説明します。
レガシィの故障率
レガシィは初代が1989年に登場した歴史のある車種で、現行車は6代目を数えます。現在のレガシィはスバルの数ある車種の中でも最上級の車種となっており、レガシィのセダンが同社の最高級となっています。
しかしレガシィというと何より有名なのが「レガシィツーリングワゴン」で、ステーションワゴンタイプの車種が日本だけでなく世界的にも圧倒的な人気を持っています。
レガシィはもともとパワフルな車種で4WD仕様があるのに加えてステーションワゴンの使い勝手の良さがあり、アウトドアなどの用途に向いていたことが人気の理由です。
5代目までは国内のラインナップにはレガシィ セダンとレガシィツーリングワゴンの2種類が設定されていましたが、現行車からは2車種の設定は海外のみとなり、国内市場ではセダンのみとなりました。
その背景にはレガシィが北米向けに大型化してきたことから、ステーションワゴンの国内市場はレヴォーグという別車種に変更されています。
そんな長年国産車の大きな位置を占めてきたレガシィですが、故障に関しては次のような点から見ることが出来ます。
スバルの耐久品質調査結果
自動車の故障率は各メーカーが市場の結果や過去のデータを集計しており、そのデータをもとに独自に故障率を把握しています。
ですがそのデータは重要な機密データで一般には公表されるものではないので、私達が故障率を見ることは不可能なのです。
ですがメーカーとは独立した民間調査会社が自動車の不具合件数などの調査を行っている場合があり、これらのデータは公表されていることが多いのでレガシィの故障を判断する上で1つのデータになります。
J.D.パワー社という調査会社は長年自動車の不具合に関してのデータを調査しており、「自動車耐久品質調査」は自動車メーカーも気にするデータの1つです。
この調査では各国市場の新車を購入したオーナーに車の不具合に関して聞き取り調査を行い、その件数の少ない順でメーカーごとのランキングとして発表しています。
この調査は毎年最新のデータが公表されており、日本市場の最新データが次のものとなります。
ランキング | メーカー | 不具合指摘件数 |
1 | レクサス | 51 |
2 | トヨタ | 61 |
3 | ダイハツ | 73 |
4 | スバル | 77 |
5 | 日産 | 78 |
6 | ホンダ | 79 |
7 | 三菱 | 82 |
8 | スズキ | 82 |
9 | BMW | 92 |
10 | マツダ | 102 |
11 | メルセデス・ベンツ | 103 |
12 | アウディ | 104 |
この調査ではレガシィ単体の故障率はわかりませんが、スバル全体としてどのぐらい不具合が多いのかを見ることは可能です。
スバルはランキングで4位にランクインしており、中堅メーカーながら日産やホンダなどの大メーカーよりも不具合が少ないという結果となっています。
スバルは前年まで8位とあまり高くなかったのですが、トヨタとの合併効果などもあり信頼性は上昇傾向にあるようです。
中古のレガシィの故障しやすさ
レガシィは初代から現行車まですでに30年近くモデルが継続しており、中古車市場にも何世代もの中古車が存在しています。
現在は前述の調査でもあったとおりスバルのメーカーとしての信頼性は高くなっていますが、少し前まではそこまでの評価はなく大メーカーと比較すると故障が多いことが定評でした。
そのため以前の中古車に関してもどちらかというと故障は多めであり、特にスバル車の特徴としてはゴム部品などの経年劣化が激しい部品の故障が多めです。
一般的に国産車は年式10年もしくは走行距離100,000kmが寿命とされていますが、スバル車もおおよそこの考え方に当てはまりますので、中古車を選ぶ際はもっと年式が新しく走行距離も少ないレガシィを選ぶ必要があります。
とくに経年劣化を考えると年式は5年〜7年程度までが良く、それ以降はゴムの劣化が進むので水漏れやオイル漏れなどの可能性が増してきます。
そうなるとレガシィの場合は現行車および前型の5代目レガシィぐらいまでがターゲットとなります。
それ以前のレガシィでは、車の主要部分は大丈夫だとしても経年劣化が強い部品の故障が一気に増加するため、部品交換が必要な中古車が多くなります。
車両価格的には安かったとしてもその分修理費用が嵩むことがあるので注意が必要です。
レガシィオーナーの評判
レガシィはその人気から昔から熱狂的なオーナーが多い車ですが、一方で故障に関しては皆さん不安を抱えているようでTwitterでは次のような意見がみられました。
2003年から16年乗り続けているBP5レガシィです。愛着があるのでまだ乗り続けたいと思うのですが、年数が経っているのでいつ故障するかが不安ですね(>_<)
【なまざつ】Vol.95で、ともよ。さんが「レガシィに乗ってる人がレガシィさんなんですね‼」と言っていたのはまさに正解でした(^o^)/ pic.twitter.com/rdk7P83koR— レガシィ (@Legacy201904) April 29, 2019
こちらの方は16年もの長い間1台のレガシィに乗り続けてこられたようですが、古いということでかなり故障に関しては不安を抱えておられるようです。
この書き方からこれまで大きい故障はなかったようですが、10年を越えたスバル車はかなり怖いものです。
goo保証あるいはカーセンサー保証が付けれる中古車やさんにしたほうが良いと思います。
実際に右のレガシィ、タービン、クラッチ故障で保証受けれました。
トータル50万超えでも保証でいけました。認定中古が1番ですがその次からカーセンサー保証とかおすすめです。
— しゃた (@shata_BP5E) June 17, 2019
こちらの方は中古のレガシィを購入された方ですが、購入後にターボやクラッチの故障でなんと500,000円もの高額修理が必要となったそうです。
ですが中古車に対する保証に入っていたことから対応が出来たそうで、レガシィの中古車を購入する際には必ず付けておいたほううが良さそうですね。
フィット買うときにレガシィも値段同じくらいでゴロゴロしてたんで検討したんですが、安いのはタイミングベルト交換時期で+10万と整備性、故障リスクでやめたんですよねぇ
— かま@アジア的やさしさ (@1zz_vvti) May 17, 2019
こちらの方はコンパクトカーのフィットにするかレガシィにするかで迷っていらっしゃったそうですが、故障リスクからレガシィは諦めたことがあるそうです。
レガシィの中古車は故障が多いということで価格は下がり気味なのですが、やはり修理費が高くなるのは大きなリスクですね。
レガシィの故障事例
レガシィの故障事例は多岐にわたるのですが、その中でも代表的な事例をいくつかご紹介します。
水平対向エンジンのオイル漏れ
まずレガシィで起こりやすく、またスバルの独特な故障事例としてエンジンからのオイル漏れが起こりやすいという点があります。
レガシィに搭載されているエンジンは「水平対向エンジン」という特別なシリンダー配置を持つエンジンで、国内メーカーではスバルだけ、世界的に見てもスバルとポルシェしか採用していない形式です。
このエンジンは騒音や振動が少なく、また重心が低いことから車の走行性能が高くなることが特徴ですが、その分搭載性が悪いことで一部のメーカーしか採用していません。
しかしこのエンジンはその名前の通りシリンダーが水平に搭載されていることでエンジンオイルの通り道が水平となっており、本体のシール面に常にオイルが溜まりやすい構造を持ちます。
そのためオイルシールが経年劣化で古くなってくるとそこからオイルが漏れやすくなり、オイルのにじみやオイル漏れの故障に繋がります。
水平対向エンジンの基本構造上の問題ではありますが、スバルは昔からこの問題を改善してきており、以前よりも最新型はオイル漏れが少なくなってきています。
しかし完全には防げるものではなく、変わらずスバル車のウィークポイントとなっています。修理にはオイルシールの部品交換が必要ですが、本体系の修理となるので費用は高額で100,000円以上かかるものとなります。
この点も中古車は特に注意すべき点といえます。
パワーステアリングからのオイル漏れ
レガシィはスバル車の中では大型の車で重量も大きいのですが、そのために車の走行部分や転輪装置などには大きな負荷がかかる車となっています。
そのためパワーステアリングの部品からのオイル漏れは昔から起こりやすいトラブルと言われています。
パワーステアリングはハンドルの重量を軽減するための装置で、レガシィのような重量のある車には欠かせない装置です。
作動には油圧装置を利用しており、内部には常に高圧のオイルが入っています。そのためいくつもシール部分を持っているのですが、シールの経年劣化が進むとそこからオイル漏れが進んでいくことになります。
オイル漏れが進めば当然パワーステアリングは動作不良となりますが、大抵の場合はそれ以前に車検時などに発見されるのでそこで修理が必要になります。
ただパワーステアリングの部品の場合は劣化したシールだけ交換ということはあまりなく、パワーステアリングの部品全体での交換がほとんどです。そのため費用は高額となり、150,000円前後の場合もあります。
サスペンションブッシュの劣化
もう一つ重量の多さから負担の多い部品にサスペンションがありますが、レガシィの場合は特にサスペンションアームの接続部などにあるサスペンションブッシュに負荷がかかり、経年劣化でトラブルに繋がります。
サスペンションブッシュはサスペンションからの振動などを吸収して車に伝えにくくしながらサスペンションアームを支える重要な部品ですが、ゴム製の部品なので経年劣化が進みやすいものでもあります。
経年劣化が進むと保持性能が低下するので、まず異音が発生したり異常振動が発生します。ここでトラブルを発見できれば大きなトラブルにつながらずに修理が出来るのですが、そのまま放置しているとサスペンションやホイールハブなどにも波及する場合もあります。
そのため少しでもおかしいと感じたらすぐに点検に出したほうがよく、これも年式の古いレガシィほど不具合が増加する可能性が高いです。
修理にはサスペンションブッシュの交換もしくはサスペンションアーム全体の交換が必要で、100,000円前後の費用が必要となります。
レガシィは買っても大丈夫か?
レガシィは近年はスバルの信頼性が特に上がっていることもあって故障に関しては有利な車となっているのは確実で、今後は故障は少なくなっていくことが予想されます。
ですがこれまでの所スバルの信頼性はトヨタや日産などの大メーカーに比べると少し低いままきており、その中で設計された昔のレガシィはやはり故障に関しては少し気になる車となります。
中古車に関しても前述したとおり気をつけることが多く、状態の良い車をしっかり選ぶことが重要です。