スズキ ジムニーは小型でありながら本格的なオフロード走行の出来るSUVで、その便利さから世界中で愛される車です。
今回はそんなジムニーのデザインについてご説明していきます。
ジムニーのデザイン
ジムニーはスズキが1970年から長年に渡ってラインナップしている軽自動車の小型SUVで、小型ながら本格的なオフロード走行が可能な車です。
ジムニーは世界的にも珍しいコンセプトを持つ車で、軽自動車サイズのかなり小さなボディサイズながら、オフロード車が持つラダーフレーム構造を採用しています。
またジムニーはサスペンションにも耐久性の高いリジッドサスペンションを採用し、ラダーフレームとともに激しいオフロードを走行できるだけの頑丈さを持っています。
こういった構造は大型のSUVが備えている構造なのですが、ジムニーのようなかなり小型の車がこれだけの性能を備えているのは他にあまり例がありません。
そんなジムニーは現行モデルで4代目になりますが、上記のコンセプトは初代から現行モデルまで一貫しているジムニーの最大の魅力です。
またジムニーは1つのモデルが10年程度のモデル期間を持つ長寿車ですが、フルモデルチェンジの度に近代的なボディデザインにブラッシュアップがされており、オフロード性能をしっかり持ちながら車のデザインは決して古臭くないところも魅力です。
中でも現行の4代目ジムニーは3代目ジムニーが20年のモデル期間を過ぎたあとに2018年に登場したモデルであり、世間の期待が非常に高まった車となりました。
その結果ジムニーは受注が非常に集中したことで納車までなんと数年待ちという人気となり、2022年初頭の現在でも新車の納車は1年待ちという状況です。
今回はそんな大人気車種となったジムニーのデザインをご紹介します。
ジムニーのエクステリアデザイン
4代目の現行ジムニーは歴代のジムニーの中でもかなり攻めたデザインとなっている車で、レトロフィーチャーのスタイリッシュなデザインが特徴です。
先ず特徴的なデザインがジムニーのフロントマスクで、直線的なスクエアボディに丸目ライトと力強いグリルという構成が非常に存在感のある顔となっています。
3代目ジムニーではもっと乗用車風のデザインだったのですが、4代目では初代のジープ風のデザインに回帰したような形になっています。
ですがボディの構成やボンネットの抑揚のあるデザインなどが非常に質感高いものに仕上がっており、うまくレトロなデザインを古臭くないようにまとめているのがカッコいいですね。
現行ジムニーの圧倒的な人気はこのフロントマスクのレトロフィーチャーなデザインに負うところが多く、近年のSUV人気にうまくマッチした結果です。
ジムニーのリアのデザインもクロカンSUVらしいしっかりしたスクエアデザインとなっており、横開き式のテールゲートや飾り気のないリアバンパーなどがジムニーらしさをしっかりデザインで表しています。
また最近のSUVでは見られなくなったリアのスペアタイヤもジムニーらしさを表すためには必須のアイテムで、もはやデザインの一部です。
サイドはジムニーのような軽自動車は軽自動車規格で規制されているためあまり飛び出したデザインはできませんが、その中でもSUVらしくオーバーフェンダー風のデザインが織り込まれているのは面白いですね。
なおジムニーはレトロなデザインで昔の車のイメージは強いですが、内部構造やエンジンなどはスズキの最新の設計が盛り込まれているので、ボディ剛性、環境性能や走行性能、静粛性なども前型モデルより大幅に向上しています。
ジムニーのインテリアデザイン
次にジムニーのインテリアについてデザインをご紹介します。
4代目ジムニーではエクステリアがレトロなデザインな一方で車内は最新の質感の高いデザインが盛り込まれており、各所に遊び心があります。
先ず目を引くのが運転席前に設けられた大型のメーター類で、視認性だけでなくSUVらしいダイナミックなデザインを表すポイントになっています。
その横には近代的な大型のカーナビ画面がありますが、その周囲は飾り気のない四角いデザインというのが意外とジムニーらしくて面白いアクセントになっていますね。
その他のインパネ部分やスイッチ類の周りにはゴツゴツとした凹凸やバーのような部分もレジャーやアウトドア用品のようなイメージがあり、軽自動車にしてはかなり特徴的なインテリアとなっていますね。
4代目ジムニーでは前型モデルまでで不満の多かった室内空間の広さも改善されており、フロントシートとリアシートの間の足下空間が広めに確保されたことで快適な居住性を持っています。
フロントシートはそれぞれ独立したホールド感の高いものでオフロードでも体を支えてくれますが、リアシートに関しては折りたたみ構造などもあってシンプルな構造のシートです。
またジムニーでは後席回りにボディカラーがそのまま車内に出てくるようになっているのですが、これは乗用車ではあまり見られませんが質実剛健なクロカンSUVでは見られるもので、ジムニーではあえてボディをむき出しにしてデザインのアクセントとしてあります。
インテリアは全体的にシンプルな装いでメッキパーツなども殆どないのですが、それが質実剛健なジムニーにはぴったりマッチしたデザインとなっています。
ジムニーシエラのデザイン
ジムニーは国内だけでなく世界中に販売されている車なのですが、ジムニーの海外仕様は軽自動車ではなく普通車のエンジンなどが搭載されています。
その仕様を国内ではジムニーシエラという名前で販売しており、ジムニーとの併売という形となっているので今回はジムニーシエラのデザインもご紹介します。
ジムニーとジムニーシエラはさまざまな部分を共通化している車種となっており、エンジンこそジムニーの660ccから1.5Lに拡大されているものの基本的なボディサイズは同じとなっています。
またフロントマスクやボディラインなども共通ではありますが、ジムニーシエラとしての変更点としてはタイヤのサイズアップに伴うオーバーフェンダーが大きな特徴となるでしょう。
このオーバーフェンダーやサイドのスカートがブラックで塗装されてフロント、リアのバンパーにつながる形となっているので一層クロカンSUVらしいデザインに仕上がっています。
またこのデザインに合わせてフロントバンパーやリアバンパーも左右に伸びており、それに伴って凹凸感の強い存在感のあるデザインになっています。
これはジムニーシエラが軽自動車という車のサイズ制限の厳しい枠を超えたことでの変更点でもあり、ベースのボディパネルは共通化しながらオーバーフェンダーで差別化を図るという形になっています。
一方でジムニーシエラのインテリアについてはジムニーから大きな変更はなく、同一のインパネ、運転席、シートなどが装備されています。
ジムニーシエラは普通車扱いになりますがボディの大きさがジムニーと同じなので、車内の広さも軽自動車のジムニーと同じサイズとなります。
そのため普通車としては少し小さく感じる内装になりますが、元々のジムニーが現行モデルで車内空間が広くなっているので歴代のジムニーシエラよりは広く使えるでしょう。
なおジムニーシエラもジムニー同様納期が非常に長い人気車種となっており、ジムニーシエラでも1年近い納期がかかるようです。
ジムニー、ジムニーシエラのボディカラー
ジムニーとジムニーシエラにはジムニーらしい特徴的なボディカラーがいくつも設定されており、中にはアウトドア向きの派手なカラーもあります。
またいくつかのボディカラーではツートンカラーが用意されており、引き締まった印象を与えてくれるものです。
ジムニー、ジムニーシエラ ボディカラー 単色系 | キネティックイエロー |
シフォンアイボリーメタリック | |
ブリスクブルーメタリック | |
ミディアムグレー | |
ブルーイッシュブラックパール3 | |
ジャングルグリーン | |
シルキーシルバーメタリック | |
ピュアホワイトパール | |
ジムニー ツートンカラー | キネティックイエロー+ブラックトップ2トーン |
ブリスクブルーメタリック+ブラック2トーンルーフ | |
シフォンアイボリーメタリック+ブラック2トーンルーフ | |
キネティックイエロー+ブラック2トーンルーフ | |
ジムニーシエラ ツートンカラー | ブリスクブルーメタリック+ブラック2トーンルーフ |
シフォンアイボリーメタリック+ブラック2トーンルーフ | |
キネティックイエロー+ブラック2トーンルーフ |
まず単色系のボディカラーに関してはジムニーとジムニーシエラでは共通で、中でも目を引くのは原色系のキネティックイエローやブリスクブルーメタリック、アースカラーのシフォンアイボリーメタリックなどでしょう。
これらのカラーは非常に目立つボディカラーなのですが、デザインがオフロード向きで力強いジムニーにはピッタリのカラーであり、原色系ながら意外と人気があります。
その他にはジャングルグリーンもジムニーらしいカラーで、カーキ色のボディは山道を駆け巡るSUVらしい色です。
一方でホワイト、ブラック、シルバーなどの定番色もしっかり用意されており、普通の乗用車として落ち着きのあるボディカラーとすることもできます。
一方でツートンカラーはベースのボディカラーにはキネティックイエロー、ブリスクブルーメタリック、シフォンアイボリーメタリックが設定されており、派手なボディカラーのルーフ部分にブラックを持ってくることで存在感のあるカラーに仕上がります。
ジムニーとジムニーシエラではどのボディカラーでもバンパーやグリル、オーバーフェンダーがブラックになるので、それと相まってブラックルーフは安定感があります。
さらにジムニーシエラにはありませんがジムニー専用で「キネティックイエロー+ブラックトップ2トーン」という組み合わせがあり、これはルーフだけでなくキャビンのAピラー部分とボンネットまでブラック塗装とした仕様です。
これにより全体的にブラックの割合がかなり増えていますが、元のベースカラーが明るいキネティックイエローなのでシャープなカッコよさのある仕様となっています。
ジムニーは人気か?
ジムニーとジムニーシエラは4代目になったフルモデルチェンジ直後から非常に長期の納期が必要な車になっていますが、単純な販売台数で見ると軽自動車全体からはそこまで高い順位ではありません。
ジムニー年間販売台数ランキング(軽自動車のみ) | 順位 |
2018 | 15位 |
2019 | 13位 |
2020 | 13位 |
ジムニーは2018年に4代目にフルモデルチェンジを果たしましたが、その前型モデルは20年に渡って販売されていることもあり年間販売台数は10,000台〜15,000台ぐらいでした。
しかしフルモデルチェンジ後には一気に年間販売台数が30,000台〜40,000台規模にまで増加しており、その結果軽自動車全体の年間販売台数ランキングでは15位〜13位ぐらいにつけています。
ですが軽自動車のトップクラスの車種が年間150,000台〜200,000台規模あることを考えると、ジムニーがすごい人気車というわけでもありません。
そういった状況でも納期が1年近く必要なのは嬉しい悲鳴というもので、スズキがもともと想定していたジムニーの計画台数を大幅に上回った結果生産が追いついていないためです。
現状の納期でもスズキは生産体制を強化したあとの状況であり、ジムニーの販売当初では納期が2年〜3年とさらに長かったこともあります。
それほど人気の車種ではありますが、一方でジムニーは決して一般的な軽自動車でもないのでスズキはどうしても生産施設をほかの車種に振り向ける必要があり、ジムニーの生産設備の強化はある程度までしかできないのはしかたないことでしょう。
ですがもともとニッチな車種である軽自動車のクロカンSUVというジムニーがこれほどの販売台数を記録しているのは驚異的なことで、まだまだ人気が続いていくことでしょう。
ジムニーの評判
ジムニーのデザインの評判についてはtwitterにもさまざまな評判が投稿されており、その中からいくつかご紹介します。
ジムニーのデザインのカッコ良さは、裏付けられた機能美なんだね。
って知ると愛おしく感じる🤗 pic.twitter.com/Zw6rm4bQhD— 酒粕GT@納車待ち (@sakecars) May 9, 2021
こちらの方はジムニーのデザインにカッコよさを感じておられるのですが、その元はジムニーという車種が持っている機能美からというのはたしかにそうですね。
ジムニーは最近の車種にしては珍しく質実剛健なのですが、そのコンセプトがしっかりデザインに表されているのも素敵ですよね。
ジムニーのボルト止めされてるような内装デザインに最近惹かれてる pic.twitter.com/DqJgEuq7rG
— 猫ジャガ (@zyaga_neko_21) December 22, 2021
こちらの方はジムニーのインテリアを好んでいらしゃいますが、各所にジムニーの頑丈さを表すような意匠が盛り込まれています。
実際にボルト固定されていないところでもデザイン的な凹凸で表現しており、ジムニーなりの質感抜群のインテリアに仕上がっています。
背面タイヤ オフロード走行でパンクした際、すぐに交換できるようにリアに取付けられたタイヤ。90年代までのRV車にはルーフレールと並び必須アイテムだったが、ドアの強度UPが必要だったり、燃費対応、デザインの流れ等から徐々に廃れた。令和ではジムニーのみが採用しているpic.twitter.com/gGN1PvpFAp
— 偏見で車を語るbot (@henken_car) December 15, 2021
ジムニーのリアにはスペアタイヤがマウントされているのですが、様々な理由でほかのSUV系車種からは無くなってきており、現時点ではなんとジムニーぐらいしかないようです。
近年の車はスペアタイヤはトランクやラゲッジルームに収められていたり、スペアタイヤでなくパンク修理キットで済ませる車も増えてきている中で、オフロードでの実用性とクロカンSUVらしいデザインの表現のためにあえて残しているジムニーがカッコいいです。
ジムニーの欠点
ジムニーは軽自動車のクロカンSUVという非常に珍しいコンセプトの車なのですが、それにしては現在想定外の人気があります。
しかしやはり一般的な軽自動車と比較すると使い勝手が悪い部分も少なくなく、利便性としてみたときのジムニーのデザインの欠点をご紹介します。
まずなによりジムニーは近年の軽自動車としてみると車内のスペースが小さく、車内の居住性や荷室のサイズなどはあまり大きくありません。
最近のトレンドは車内スペースを最大に活用したトールワゴン系の軽自動車なのですが、ジムニーの車内スペースはそういった車種と比べると3割〜4割はせまくなってしまいます。
ジムニーはデザイン的にボンネットがしっかりあるスタイルであったり、クロカンSUVとしてのさまざまな装備を搭載する関係でどうしてもキャビンスペースが制限されてしまいますが、ジムニーのコンセプトからすれば仕方ない面でもあります。
またジムニーはオフロードでは耐久性があって信頼性の高い車ではあるのですが、普段遣いとしてはそこまでの性能は持て余しがちで実用性を損なってしまう部分もあります。
例えばジムニーは左右ドアが1枚ずつの2ドアになっていますが、近年の軽自動車はほとんどが4ドアなのに対すると乗降性には雲泥の差があります。
テールゲートなども横開きになっていますが、この構造では狭い駐車場などでは開けづらい場合もあり、また後部のリアタイヤが邪魔になることもあります。
ジムニーはそのオフロード性能とともにジムニーらしいコンセプトのデザインを優先した車種であり、そのデザインから実用上の欠点もありますので乗る人は選ぶ車でしょう。
ジムニー、ジムニーシエラの値段
ジムニーとジムニーシエラは現行モデルなので新車価格は標準的な価格帯にありますが、一方で中古車価格がかなり新車価格と外れた価格帯にあります。
なお中古車価格は大手の中古車情報サイトであるカーセンサーとgoo-netで調べました。
ジムニー | 新車価格 | 中古車本体価格相場 | |
ジムニー(4代目) | 1,485,000円〜1,903,000円 | カーセンサー | 1,598,000円〜3,880,000円 |
goo-net | 1,598,000円〜3,880,000円 | ||
ジムニーシエラ | 1,793,000円〜2,084,500円 | カーセンサー | 1,898,000円〜5,550,000円 |
goo-net | 1,899,000円〜5,550,000円 |
ジムニーは新車価格としては1,500,000円〜2,000,000円、ジムニーシエラで+100,000円〜200,000円ぐらいの価格帯となっているのですが、これは近年の軽自動車やコンパクトSUVと比較すると多少安めの設定になっています。
最近トレンドの軽自動車では2,000,000円を超える車も珍しくないため、ジムニーのようなコンセプトの強い車がこの価格で手に入るというのが人気のもとでもあるでしょう。
またデザイン的にもこの価格でカッコいいSUVが手に入るのでコストパフォーマンスはかなり高い車でしょう。
ですが現行ジムニーの中古車価格は現在新車価格より高くなるという現象が起こっており、新車発売から3年〜4年経っているのにもかかわらず最低価格からもう新車価格を超えています。
これはとにかく現行ジムニーが中古車市場にあまり流れてきていない事の証拠であり、新車でさえ納期が年単位というジムニーの特殊な事情から起こっていることです。
つまり現行ジムニーに乗っている方はまだまだ手放さないですし、新車でもジムニーへのニーズが満たされていない状況では中古車価格が下がるどころかプレミア価格のような状態となっています。
またジムニーの中古車価格は最高額が新車価格の2.5倍と異常なことになっていますが、これらはジムニーをベースとしたカスタムカーの販売となっています。
ジムニーはそのベースデザインの良さから発売後からさまざまなカスタムパーツも発売されてきており、性能だけでなくエクステリアデザインから大きく変化させたカスタムカーも多数あります。
新車価格+カスタムパーツの価格ということで同じジムニーながら5,000,000円以上ということになっていますが、このあたりは本当に好きな人でなければ手を出す必要はないでしょう。