スズキ アルトはもっともコンパクトなサイズ感の軽自動車で、スズキのエントリーモデルとなっています。
今回はアルトのラゲッジスペースについてご紹介します。
アルトの荷室・トランクの容量・寸法
スズキ アルトは同社を代表する軽自動車の一つで、現行モデルで9代目を数える歴史のある車でもあります。
軽自動車は日本独自の車の規格で、狭い日本の道にもフィットするように車の全体サイズが抑えめに設定されています。
その中でもアルトは特に小型の軽自動車のハッチバックカーとなっており、見た目にもかなり小さな車となります。
またアルトは価格帯が最も低いエントリーモデルの軽自動車であり、ある程度のクオリティとコストパフォーマンスの高さが特徴となっています。
ではまずアルトの大まかなサイズ感とラゲッジスペースのサイズや容量についてご紹介します。
スペック | アルト | |
乗車定員 | 4名 | |
全長 | 3,395mm | |
全幅 | 1,475mm | |
全高 | 1,525mm | |
室内長 | 1,960mm〜2,015mm(アップグレードパッケージ装着車) | |
室内幅 | 1,280mm | |
室内高 | 1,260mm | |
ラゲッジルーム | 高さ | 760mm |
幅 | 905mm(ラゲッジスペース後部サイドトリム間) | |
奥行き | セカンドシート展開時:425mm セカンドシート収納時:1,225mm | |
ラゲッジ容量 | – | |
運転席寸法 | 高さ | 約1,000mm |
幅 | 約500mm | |
奥行き | 約1,000mm | |
助手席寸法 | 高さ | 約1,000mm |
幅 | 約500mm | |
奥行き | 約1,000mm | |
後席寸法 | 高さ | 約1,000mm |
幅 | 約1,100mm | |
奥行き | 約900mm |
アルトは軽自動車の最も基本的なサイズ感のハッチバックカーで、全長や全幅は軽自動車規格ギリギリのオーソドックスなサイズ感ですが、全高が1,525mmとかなり低くなっており非常にコンパクトな車です。
現行アルトは2021年にフルモデルチェンジされており、従来のスポーティなデザインから一転して直線基調のオーソドックスなバンになったことで、車内スペースなどの広さが拡大しています。
それでも軽自動車なので圧倒的な広さはないものの、室内長が2,000mm以上確保できているのは十分な居住性を持った車となっています。
そんなアルトのラゲッジスペースは基本的にはセカンドシートからテールゲートまでの間のスペースとなっており、全長の短い軽自動車なので標準ラゲッジスペースの奥行きは425mmと控え目なサイズです。
ラゲッジスペースの横幅も905mmとなっていますが、このサイズは軽自動車の横幅サイズが規制されていると考えると最大クラスの横幅でしょう。
高さ方向も室内高がもともと低いのでラゲッジスペースの高さも低く、全体的なラゲッジスペースのサイズはまさに軽自動車のイメージ通りでしょう。
ではアルトのラゲッジスペースについて詳しくご紹介しましょう。
アルトの荷室・トランク・荷物収納スペースの良い点
アルトのラゲッジスペースには次のような良い点があります。
軽自動車クラスの標準的なサイズ感
アルトの標準的なラゲッジスペースは広いサイズではないのですが、普段使いならば十分なサイズでもあります。
アルトの標準ラゲッジスペースは奥行きがとにかく控え目であり、見た目にも少し狭いと感じるラゲッジスペースです。
425mmの奥行きでも先代アルトよりは大幅に拡大していて使い勝手はよくなっており、横幅や高さもアルトクラスの軽自動車としてはボディサイズギリギリのスペースとなっています。
このサイズがあれば普段の食料品の買い出しや通勤ぐらいならば十分に活用できますので、普段使いには十分でしょう。
一方でサイズの大きなものを積み込むには標準ラゲッジスペースでは不足気味であり、横幅が900mmしかないので横積みでもゴルフバッグのような大きなサイズのものは積み込むのが困難でしょう。
スーツケースなどであれば中型のスーツケースを横倒しにすれば収まりますが、せいぜい1つか2つぐらいしか乗りませんので大人数での旅行は難しいでしょう。
車いすやベビーカーなどもコンパクトに折り畳めるものしか載せるのは難しく、日常生活の中で不便に感じる点はどうしてもあります。
近年人気のトールワゴン系の軽自動車では車高の高さでラゲッジスペースの容量や大きな荷物が積み込めるスペースを確保していますが、アルトは全高を抑えた車なためどうしてもラゲッジスペースの容量には限界があります。
シートアレンジで容量の増加するラゲッジスペース
アルトのラゲッジスペースではシートアレンジによってサイズを拡大する機能がそなわっており、標準ラゲッジスペースで足りない場合にはこちらを活用すると良いでしょう。
アルトはセカンドシート背面の標準ラゲッジスペースこそ狭いものの、そのセカンドシートは収納することでラゲッジスペースとつなげることが可能です。
こうすることでセカンドシートのスペースもラゲッジスペースにできますので、一気に奥行きが1,225mmの広々としたスペースが確保できます。
これだけの奥行きがあればゴルフバッグなども十分に積み込めるようになりますし、ベビーカーなども横倒しにすればしっかり積み込めるでしょう。
アルトを1台でファミリーカーとして使う場合は大きな買い物があるときにはシートアレンジは必須であり、シートを折りたたむと乗車人数は4人から2人に減少します。
そのため普通車などと比べると使い勝手の微妙な部分もありますが、なによりアルトはコストパフォーマンスを重視した車なのでシートの収納構造もシンプルになっています。
そのため可能であれば大人数での移動や買物には別の車を充てて、アルトは仕事の移動などのサブカーというような位置づけであれば低価格のメリットが活かせるでしょう。
小さい車ながらラゲッジアンダーボックスがある
アルトはサイズの小さな車でラゲッジスペースのサイズも控え目ですが、そんな中でもアンダーラゲッジが装備されているのは驚きです。
アンダーラゲッジはラゲッジスペースの床下に設けられた小さめのラゲッジスペースで、ラゲッジスペース置かない工具類や目立たない小物などを収めるスペースとなっています。
最近ではコンパクトカーや軽自動車でも設定している車種は多くなってきているのですが、あるとクラスのサイズ制限の多い車ではアンダーラゲッジのない車種もあります。
ですが現行アルトには標準ラゲッジスペースの床下にスペースが設けられており、利便性は高くなっています。
アルトのアンダーラゲッジは仕切りが設けられたラゲッジアンダーボックスとなっており、小物をいくつかのトレイに分けて収められるので便利です。
またトレイは発泡スチロール製なので防水性があり、濡れたものや泥汚れの付いたものを収めることも出来ます。
もともとのラゲッジスペースのサイズが小さめなアルトなのでアンダーラゲッジのサイズも控え目ではありますが、限られたスペースを最大限活用すると良いでしょう。
なおアンダーラゲッジボックスは2WDと4WDでサイズや形状が変わっており、2WD仕様のほうが広めになっています。
最新モデルで追加されたテールゲートグリップ
アルトの現行モデルにはそれまで装備されていなかったテールゲートグリップが追加され、より使い勝手が良くなりました。
アルトはなによりコストパフォーマンスを重視した車ということで、一般的な乗用車には標準装備されている機能も必要最低限になっており、一部オミットされている場合があります。
アルトも価格を下げるためにさまざまな部分がシンプルな仕様となっており、飾り気のある装飾パーツは多機能な装備なども減らされています。
その中でラゲッジスペース関連で先代アルトで不便だったのがテールゲートを閉める際に手をかけるグリップがなかったことで、背の低い方などがテールゲート閉めるときには使いづらかったのです。
テールゲートグリップは一般的な乗用車には標準的に装備されているのでアルトに備わっていないことが不思議な部分ですが、この点もコスト対応だったのでしょう。
しかし現行アルトのテールゲートの端にはしっかりグリップ状の凹凸が設けられているので、ようやくアルトでもテールゲートを閉めやすくなっています。
これによってより低い位置でテールゲートに手をかけられますので、先代までのアルトで閉めづらい経験をされた方にはおすすめです。
アルトの荷室・トランク・荷物収納スペースの悪い点
アルトのラゲッジスペースではその小さいサイズから不便な点もいくつかあり、次のような点が気になります。
分割可倒式ではなく使い勝手の悪いシートアレンジ
アルトはシートアレンジによってラゲッジスペースの容量を拡大できますが、シートアレンジの構造は少し使い勝手の悪いものとなります。
アルトはセカンドシートであるベンチシートの背もたれ部分を前に折りたたむことでコンパクトに収納することができ、後部の標準ラゲッジスペースとつなげることで大きな荷物を積み込めるようになります。
もともと小さめの標準ラゲッジスペースを補う仕様としてさまざまなシーンで活用できる機能ですが、一方でセカンドシートを収納してしまうと2名分の座席がなくなります。
アルトは軽自動車で最大乗車人数は4名となっていますので、シートアレンジを行うと2人しか乗れなくなります。
近年の軽自動車などでもシートアレンジは標準的な仕様となっていますが、前述のような問題をある程度解消する方式として分割可倒式シートが一般的です。
この方式では左右どちらかのシートだけを倒すことができるので乗車人数を3名確保しながら片側に長い荷物を積み込むような使い方が出来るのですが、アルトの場合はセカンドシートが左右一体式となっていますのでセカンドシートを展開するか収納するかどちらかしかできません。
このあたりもコストパフォーマンスに優れたシンプルなシートを採用したデメリットではあり、普段から家族で乗るような車としては使いづらいシーンが結構出てくるでしょう。
シートアレンジ後に生まれる大きめの段差
もう一つアルトのシートアレンジで気になる部分としてはセカンドシートと標準ラゲッジスペースの間の段差があります。
アルトのシートアレンジではセカンドシートは背もたれ部分を前側に折りたたむことで収納しますが、その際に背もたれの厚みの一部が標準ラゲッジスペースより少しだけ高い位置にあります。
そのため標準ラゲッジスペースの床面から折り畳んだセカンドシートの上面までは高さの差があり、この部分が段差になっています。
急激な段差にならないようにつなぎ目には斜めにつながるボードはあるのですが、どうしても段差が気になることはあります。
またセカンドシートの収納状態も背もたれが水平まで倒れるわけではなく斜めの位置で止まるので、セカンドシートの前側に行くほど高さが上がっていきます。
こういった段差があると大きな荷物や重量物を押し込んだりするときに不便であり、段差部分やスロープ部分に引っかかってしまいスムーズに積み込めなくなります。
アルトは車内の高さが少ないので車内に乗り込んで段差を超えるような動きも結構大変であり、段差が乗り越えられないと意外と不便でしょう。
また最近では車内でキャンプのテント代わりをする車中泊が人気ですが、アルトのばあいはこの段差部分が車中泊の寝台には邪魔になります。
それ以外にも車内の前後スペースが車中泊には短めなのであまり快適に過ごすことはできず、基本的にアルトでの車中泊はおすすめできません。
ラゲッジ床面の位置が高く積載性が悪い
アルトのラゲッジスペースは床面の地上からの位置が結構高い所にあり、荷物の積載時に労力がかかります。
ラゲッジスペースはそのサイズや容量は勿論大事なのですが、そのほかにラゲッジスペースの床面が地上からどのぐらいの高さにあるかも注目点です。
床面位置が高いと大きな荷物や重量物を積み込む際に高い位置にまで持ち上げなくてはならず、労力がよりかかります。
軽自動車は基本的に小型の車でタイヤも小さいので普通車に比べれば地上高は低いのですが、同じ軽自動車で比較してみるとアルトの地上高位置は結構高い位置にあります。
近年は軽自動車でも車内の低床レイアウト化が進んでおり、売れ筋のトールワゴン系の軽自動車ではラゲッジスペースの床面位置は地上からおよそ550mm〜600mmぐらいが増えてきています。
ですがアルトの場合は現行モデルでおおよそ660mm程度の高さにあり、1割程度高いので比較してみると結構な差に感じるでしょう。
アルトは軽自動車の中でもサイズが小さくコンパクトに収まっている車ですが、それ故にゆとりが少なくこういった点で不便さを感じます。
ラゲッジランプ等の基本装備がオミットされている
アルトのラゲッジスペースは非常にシンプルな構造となっていますが、それに伴って一般的な装備類がオミットされている部分があります。
アルトはそのコンセプト的にコストパフォーマンスが重視されており、車内の構造やデザインはシンプルで飾り気の少ないものとなっています。
最近では軽自動車でも車内は非常に多機能化されるようになってきていますが、アルトは必要最低限の装備のみとし利便性の高い機能は少なくなっています。
それでも前述したテールゲートグリップの追加などそれまでのアルトよりも進化した部分もあるのですが、一般的な軽自動車にあるような装備がかなり少ないです。
ラゲッジスペース周りでいえばまずは照明がオミットされており、ラゲッジスペースを夜間に照らしてくれる機能がありません。
これを不便に感じていらっしゃる方もおられ、中には社外品のLEDランプなどを後付されている方もいらっしゃいます。
その他ラゲッジに荷物を固定するフック類であったり、シートアレンジをラゲッジ側からでも操作するレバー類もありませんので、こういった機能が当たり前のようにある他の車になれた方はかなり不便さを感じるでしょう。
アルトの荷室・トランク・荷物収納スペースの口コミ・評判
アルトのラゲッジスペースについてはtwitterでもいろいろな投稿があり、その中からいくつかご紹介します。
アルトの荷室小さすぎてタイヤワンセット入らないことを知った本日。
アルトはもう乗らない。
— natsu@超低空飛行中 (@twinsammer) August 11, 2022
こちらの方はアルトに実際に乗って大きな荷物であるタイヤを積み込もうとされたようなのですが、ラゲッジスペースのサイズが小さいことで難しかったようです。
こういった普段とは違うものを積み込むときにアルトのラゲッジスペースの狭さは気になる部分であり、どうしても制限の多い車となっています。
アルトを車検に出すために荷物降ろしてて気付いたけど、床下にこれだけのスペースあるの勿体ないなぁ・・・。
リヤシート畳んでフルフラットとかそういう車種じゃないんだから、昔の車みたいにプラスチックの板置いとけばもっと荷室広くとれるのに。 pic.twitter.com/NE8iorPSGC— chiki (@chiki_tm) January 14, 2023
こちらの方はアルトのアンダーラゲッジボックスを取り外してみていらっしゃいますが、アンダーラゲッジボックスは結構なサイズのものでありこのスペースも荷室に出来たらより広く使えそうです。
実際にはアンダーラゲッジボックスにはパンク修理キットや工具類も収めている部分なので取り外すだけは難しそうですが、個人責任でカスタムする方もおられますね。
総評
スズキ アルトは軽自動車のベーシックモデルの一つで、最も小型でサイズの小さな車であり価格も抑えめなコストパフォーマンスを重視した車となっています。
ラゲッジスペースのサイズや容量はほかのトールワゴン系の軽自動車と比べると小さめであり、全体的に必要最低限のサイズ感を持つラゲッジスペースとなります。
普段使いには十分対応できるサイズであるものの幅広いシーンに対応するには狭い場合もあり、ある程度割り切りをしながら運用する車となるでしょう。