BMW アクティブハイブリッド7は同社の高級セダンである7シリーズをベースにしたハイブリッドカーです。
今回はそんなBMW アクティブハイブリッド7の故障に関してご説明します。
BMW アクティブハイブリッド7の故障率
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BMWはドイツを代表する高級車メーカーで、同社のフラッグシップモデルに7シリーズという大型高級セダンがあります。
今回ご紹介するアクティブハイブリッド7はこの7シリーズにBMW独自のハイブリッドシステムを組み込んだモデルで、BMWの環境対応車を代表する車でした。
アクティブハイブリッド7は現行モデルではなく、2009年〜2015年の間生産された第5世代7シリーズの1モデルとなります。
日本でも2009年から発売が行われており、当時としては珍しい高級輸入車のハイブリッドカーでした。
現行モデルの7シリーズからは新たにプラグインハイブリッドシステムを持つ740eなどが登場し、アクティブハイブリッド7はこの世代のみとなります。
初期モデルではBMWのハイブリッドシステムはエンジン走行を基本としたマイルドハイブリッドシステムで、V型8気筒ツインターボエンジンを中核としたハイパワーユニットでした。
しかし燃費改善効果は限定的だったので、2012年のマイナーチェンジからは直6ターボエンジンに変更されると共に、ハイブリッドシステムが1モーター2クラッチ式のストロングハイブリッドに変わり、燃費改善性能も高まっています。
そんなBMW アクティブハイブリッド7の故障率は次のような点から見ていきます。
BMWの自動車耐久品質調査
自動車の故障率は各メーカーが独自に市場調査などを行っているのですが、このデータは社外秘の機密データなため一般には公開されません。
そのため私達がデータを参照するためにはメーカーとは別の民間調査会社のデータを見る必要があり、その中で米国J.D.パワー社の「自動車耐久品質調査」データが参考になります。
この調査では各国市場ごとに新車を購入したユーザーから3年〜5年経過時の不具合事例を集計し、それをメーカーごとのランキングとしたものです。
BMWは日本市場の調査に含まれていますが、アクティブハイブリッド7は前述の通り2015年までの発売なので、2015年の調査結果を参照します。
ランキング | メーカー名 | スコア |
1 | レクサス | 54 |
2 | ダイハツ | 66 |
3 | ホンダ | 69 |
3 | 三菱 | 69 |
3 | トヨタ | 69 |
業界平均 | 72 | |
6 | スバル | 73 |
7 | マツダ | 74 |
8 | 日産 | 75 |
9 | スズキ | 77 |
10 | BMW | 85 |
11 | メルセデス・ベンツ | 93 |
12 | アウディ | 101 |
13 | フォルクスワーゲン | 118 |
この調査ではすべての国産メーカーと主要な輸入車メーカーがランクインしていますが、BMWは全体の10位となっています。
それに対して国産メーカーはこの当時はBMWより上位に位置しており、トップクラスのレクサスなどに比べるとスコアは1.5倍ほど多くなっています。
BMW アクティブハイブリッド7の信頼性評価
J.D.パワー社では米国市場の車に関しての信頼性評価を公表しており、この評価では星3点を平均的、星5点で最高評価となります。
参考 2012 BMW 7-Series Hybrid Reliability & RecallsU.S. News Best Cars上記がアクティブハイブリッド7の評価となっていますが、2012年時点の評価となります。ですが信頼性評価では星4点となっており、平均以上の信頼性を持っていると評価されています。
国産車の同クラスの車も星4点前後の評価を得ており、故障率などの数字ではありませんがアクティブハイブリッド7はそれなりの信頼度をもっています。
中古のアクティブハイブリッド7の故障しやすさ
アクティブハイブリッド7は販売台数こそ多くはないものの一定数が国内に入ってきており、新車販売が終了した現在では中古車として販売されています。
アクティブハイブリッド7の信頼性自体は前述の通り国産車に匹敵するものがありますが、中古車となって経年劣化が進んでくると故障自体は増えてきます。
年式でいえば5年以上、走行距離では50,000kmを超えると様々な部品の経年劣化が進んでおり、ゴム部品や樹脂部品などにトラブルが出てきます。
国産車は中古車といってももう少し立ってからでなければ同様の故障は出てこないので、耐久性という観点ではアクティブハイブリッド7が多少劣っているでしょう。
アクティブハイブリッド7は2015年に生産が終了されたため、最終型はギリギリ年式5年に達しない状態です。
ですがそれ以前の生産では5年以上経過していますので、今後アクティブハイブリッド7の中古車についてはトラブル注意しておいたほうがよいでしょう。
BMW アクティブハイブリッド7オーナーの評判
アクティブハイブリッド7の故障や修理に関しては台数が少ないためTwitterには情報が少ないものの、いくつかご紹介します。
アクティブハイブリッドに乗り換えて早三カ月、、、、BMW3台乗り継いで来たけど三ヶ月間なにも故障起きなかったの初めてかも笑笑 pic.twitter.com/YKDQlVvgzH
— shuuuu (@Shuuuuah3) August 9, 2018
この方はこれまでもBMWに乗ってこられたそうですが、アクティブハイブリッドでは初期不良のようなものが起こらなかったそうです。
輸入車はどうしても初期不良が多いイメージがありますが、BMWは昔よりも信頼度が上がっています。
あのトヨタですら、初代プリウスではトラブルを連発して、故障の程度によっては、車両交換までやってたというのに、BMWのやり始めのハイブリッドなど怖くて乗れないよ。金払ってメーカーのテストをやってるようなもの。。。
— T (@swingroove) October 25, 2012
これはアクティブハイブリッド7が登場したての2012年ごろのツイートですが、BMWがハイブリッドを初めて登場させたことで故障に関して心配の声が多かったです。
ハイブリッドカーは普通の車に対して複雑な構造を持っており国産車でも初期はトラブルがありましたが、その点輸入車ということで不安がより多くなるのはしかたないことでしょう。
アクティブハイブリッド7
ハイブリッドバッテリー交換なう pic.twitter.com/XYftM6zrM7— JJLsound_N (@norimasa_nakao) August 4, 2016
こちらの方はアクティブハイブリッド7に実際に乗っていらっしゃる方ですが、ハイブリッド用のバッテリー交換を行っています。
アクティブハイブリッド7は長期間乗り続けているとバッテリーの劣化が進み、そのうち交換が必要となります。
アクティブハイブリッド7の故障事例
アクティブハイブリッド7はBMWとしては珍しいハイブリッドカーでしたが、その故障事例に関しては普通の車と同じ部分も多いです。
ですがハイブリッドカー特有の高額修理も気をつけなくてはなりません。
冷却水漏れのトラブル
まずハイブリッドカーとは直接関係ない部分の故障事例として、冷却水漏れのトラブルがあります。
冷却水は主にエンジンの冷却を行なうもので、エンジン内部やその他の冷却が必要な部品を循環して熱を奪っていきます。
その後熱くなった冷却水を車両前方のラジエーターに送り、走行風で外部に放熱するシステムです。ですが冷却水は各部で漏れないようにシールされているものの、部品の経年劣化によって漏れが発生します。
中でもトラブルが多いのがラジエーターで、ラジエーターの構造上の弱点であるコアとサイドタンクの接合部からの冷却水漏れが起こります。
この部分は熱による収縮などにさらされていることもあって経年劣化が起こりやすい部分であり、年式5年以上経過すると少しずつこういったトラブルが起こります。修理にはラジエーターの交換が必要ですが、費用は数十万円クラスの高額修理となります。
他にはラジエーターまで冷却水を送るホースも経年劣化で故障することの多い部分で、ホースのゴムの硬化で亀裂が入ったり、ホースの接続部からの漏れなどが起こります。
この場合はホースの交換が必要で、費用は輸入車ということで部品費用などが高く、100,000円前後必要となります。
エアコンコンプレッサーの故障
エアコンコンプレッサーはエアコンの冷却性能の中心部品であり、冷媒のガスを圧縮するために高い負荷がかかる部品です。
エアコンコンプレッサー自体は普通の車でも故障が比較的多い部品で、走行距離50,000km〜80,000kmぐらいで定期交換が必要な部品となります。
このときのトラブルはエンジンの回転を伝達するプーリー部分の劣化などが原因なことがほとんどなのですが、ハイブリッドカーであるアクティブハイブリッド7ではエンジンが停止している状態も多いため、専用の電動エアコンコンプレッサーが採用されています。
そのため原因としては回転用のモーターのトラブルや回転部分のガタ、電装系の故障などとなります。
修理費用に関しても電動エアコンコンプレッサーは通常のエアコンコンプレッサーよりも高額で、300,000円以上の部品費用がかかります。
通常のエアコンコンプレッサーでもBMWは輸入車なので国産車より修理費は高いのですが、それでも100,000円〜150,000円ぐらいの修理費です。
電動エアコンコンプレッサーは年式10年近くならないと経年劣化で故障しない部品ではありますが、初期型のアクティブハイブリッド7がそろそろこの時期に達しますので注意しなければならない点です。
ハイブリッドシステムの経年劣化
ハイブリッドシステムはアクティブハイブリッド7の中核を占める電動走行システムですが、これも電動エアコンコンプレッサーと同じく経年劣化によって故障することがあります。
アクティブハイブリッド7は前期型と後期型でハイブリッドシステムが大きく変わっており、前期型のマイルドハイブリッドシステムは簡易的なシステムです。
後期型のストロングハイブリッドシステムのほうが複雑となるのですが、故障部位年的になるのはどちらもハイブリッド用のバッテリーです。
ハイブリッドシステムには強力なバッテリーが必要ですがこれも経年劣化で容量や性能が低下するので、そうなったら警告灯が点灯して交換が必要な時期になります。
修理には前述のツイートにもあるようにバッテリー交換を必要としますが、このハイブリッド用のバッテリーは高額な部品で数十万円〜1,000,000円以上の修理費用がかかります。
ほかにはハイブリッドシステムでモーターの制御などを行っているインバーターも高額修理となる部品の1つで、これも数十万円の修理費用がかかります。
走行に使うハイブリッド用のモーターはほかのハイブリッドシステムに比べると故障は少ないですが、もし故障すると修理にはエンジンの大幅な分解が必要で修理費用は非常に高額になるでしょう。
ハイブリッドシステムの故障は走行距離の増加による経年劣化が問題となり、一般的に走行距離が100,000kmを超えるとトラブルは増加傾向にあります。
アクティブハイブリッド7の全てがまだこの状態にはなっていませんが、走行距離の多い中古車などでは注意が必要です。
BMW アクティブハイブリッド7は買っても大丈夫か?
アクティブハイブリッド7は現在では一世代前のBMWのハイブリッドカーであり、その燃費性能は少し物足りないものとなっています。
ですが一方で中古車価格は少しずつ下がってきており、新車で10,000,000円を超える高級車を手に入れやすくなっているので、購入を検討する人もたくさんいらっしゃいます。
ですが故障に関してはやはりハイブリッドカー特有の故障事例が怖く、年式が古かったり走行距離の多いアクティブハイブリッド7は要注意です。
特にハイブリッドシステムのバッテリーはいつかは必ず交換が必要になりますので、長く乗り続けるなら将来的に維持費がかかることを考えておきましょう。