日産フィガロはかつて1990年代に一世を風靡した車ですが、現在でもその特徴的なコンセプトから各所で現役で活躍している珍しい車でもあります。
今回はこのフィガロの後部座席について見ていきましょう。
フィガロの後部座席の2列目・セカンドシート
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日産 フィガロは1991年に発売が開始された昔の車で、「日産パイクカー」シリーズの1台です。
パイクカーとはレトロと先進的なデザインを合わせ持つ車の俗称で、日産は1987年から当時の順調な経営に乗ってパイクカーをシリーズとして何車種も投入しました。
フィガロもそういった車種の一つなのですが、特殊なコンセプトの車のためわずか20,000台の限定販売車として設定され、販売は1年で終了しました。
ですがそれにもかかわらず発売から30年以上経過した現在でも実動できるフィガロが数多く残っており、レトロで特徴的なデザインからテレビドラマやバラエティー番組でも走っているところを見られます。
そこで今回はまだまだ人気のあるフィガロの後部座席についてご紹介していきますが、まず大まかなサイズ感をご紹介しましょう。
スペック | フィガロ | |
乗車定員 | 4名 | |
全長 | 3,740mm | |
全幅 | 1,630mm | |
全高 | 1,365mm | |
室内長 | 1,450mm | |
室内幅 | 1,310mm | |
室内高 | 1,130mm | |
運転席寸法 | 高さ | 約1,000mm |
幅 | 約500mm | |
奥行き | 約900mm | |
助手席寸法 | 高さ | 約1,000mm |
幅 | 約500mm | |
奥行き | 約800mm | |
後席寸法 | 高さ | 約1,000mm |
幅 | 約1,000mm | |
奥行き | 約600mm |
フィガロは車のコンセプトとしてはレトロ風のデザインを持つ小型オープンカーになっており、コンパクトなボディに開閉可能なルーフとレトロスポーツカーのフォルムを与えられています。
小型といっても軽自動車ではなく、当時の日産マーチをベースとして設計されているため車のサイズは普通車サイズでエンジンも1Lターボエンジンが積み込まれています。
フィガロは一見すると2シータースポーツカーのように見えるのですが、実際は後部座席も設けた4人乗り2ドアクーペになっており、極端なレイアウトではなく実用性も考えられた車になっています。
後部座席には2ドアモデルなので左右の前席ドアから乗り込むのですが、その際前席シートは前側に倒して少し開いた空間から乗り込むので乗降性はかなり窮屈です。
今回はフィガロの後部座席を詳しく見ていきますが、いくら熱狂的なファンのいる車とはいえあくまで30年前の車ですので、現状で当時の状態がキープされていない車もあるでしょう。
そのためあくまで今回はフィガロ発売当時の内容をご説明していきます。
フィガロの広さ・居住性
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フィガロの後部座席は当時の設計で小さなボディの中でなんとか設けられた座席になっており、その広さは現在の車と比べるまでもない狭さとなっています。
フィガロのコンセプトはあくまでコンパクトなスポーティレトロカーとして設計されており、後部座席はあくまで緊急時の補助座席として設計されています。
フィガロの後部座席は2名乗車ができるベンチシート式の座席ですが、シート自体は非常にシンプルなデザインで見た目にも補助座席ということがわかります。
フィガロは全体的な車の全長が短いので運転席や助手席の前後サイズもそこまで広くはありませんが、後部座席はさらに前後サイズが狭くてギリギリなんとか座れるといったサイズ感です。
そのため後部座席に座ったときの前席シートとの間の足下空間はほぼゆとりがなく、前席シートバックに足を当てながら乗り込むような座席になります。
また後部座席の上下のスペースもかなり窮屈であり、標準体型の方でもギリギリ頭をぶつけずに乗り込むようなサイズ感です。
それでもフィガロは車の車幅が意外と広く設計されており、室内幅も現在のコンパクトカー並みのサイズはありますので、後部座席の横幅は2人掛けのベンチシートとしては十分サイズがあり、サイズ的には2名乗車時でも横の人とぶつからずに座れるでしょう。
しかし全体的な後部座席のスペースは窮屈なので、足を横に開いて乗るようになると横幅があっても狭いことに変わりはありません。
ただし後部座席の上下のスペースについてはフィガロの特徴であるオープンカーボディ、フィガロの場合はキャンバストップタイプの天井部分のみが後部に収納される仕様ですが、オープンボディにすれば一気に上下は解放感を感じることができます。
ですが最近のオープンカーのように電動式でのルーフ開閉ではないため、急な雨などには対応しにくい点は不便です。
フィガロの後部座席のチャイルドシート対応
フィガロはコンセプトとしては4人乗りのコンパクトカーですが、ファミリーカーとしてチャイルドシートを載せるなどの使い方には対応しにくい車です。
チャイルドシートは子供専用の小型のシートで車のシートの上に載せて利用するもので、車の通常のシートは子供には大きすぎて安全に保護できないためにチャイルドシートが必要となります。
チャイルドシートは乳幼児用や幼児用、学童用などさまざまな年齢や体の大きさに合わせた製品があるのですが、その搭載位置は多くの場合より安全性の高い後部座席とすることが多いです。
またチャイルドシートの固定にはシートに備え付けのシートベルトを利用するのが一般的ですが、近年の車には「ISOFIX」と呼ばれるチャイルドシート固定の規格が制定されており、ほとんどの車がこれに対応した固定構造を後部座席などに設けています。
しかしフィガロはそもそもチャイルドシートを積み込んで運用することを想定されてはおらず、小型のボディとサイズの小さな室内スペースは子育て世代のファミリーカーとしては不便です。
後部座席にチャイルドシートを載せようとしてもあまりにスペースが窮屈ですし、たとえ積み込めたとしてもそこに子供を連れて乗り込むのも非常に不便です。
もしフィガロでチャイルドシートを使おうとするならば助手席ぐらいしか可能性はありませんが、現代の車と違って30年前の衝突安全性しかフィガロは持ち合わせていませんので、万が一の影響を考えるとあくまでフィガロはセカンドカーとして運用し、子供が大きくなるまではを乗せて移動する車は別に準備したほうが懸命です。
なおチャイルドシートの固定のためのISOFIX規格の固定器具はフィガロには設定されておらず、これも車のコンセプトだけでなく昔の車では仕方ない部分です。
近年のスポーツセダンで後部座席を設けた車にはISOFIX対応はされていますので、あまりにフィガロの設計が古いということでしょう。
フィガロの座り心地
フィガロの後部座席は座り心地がかなりつらいものとなっており、固い感触のシートとシート周辺スペースの広さでとても長時間座っていられる座席ではありません。
フィガロの後部座席はあくまで補助的なシートとして利用するためのものであり、座り心地や居住性はそこまで高いものではありません。
シート自体の背もたれや座面はひと目見ただけでも固そうなフォルムであり、シート全体のデザインもほぼ完全なフラットなので本当のベンチのような固い感触です。
緊急時として短時間座るのであればまだ良いのですが長時間座っているとかなり疲れる座席であり、長距離走行などはできるだけ避けたほうが良いでしょう。
また背もたれの角度がほぼ90度に立っているので座っている姿勢もかなり辛いものであり、体も動かせない程のスペースなので座るというよりは挟まっているという感じになります。
また近年の車の後部座席ではヘッドレストが大変重要視されており、走行時に乗員の頭を載せるクッションであるヘッドレストは万が一の事故の際にはむち打ちを防ぐ安全装備となります。
ですがフィガロの後部座席にはヘッドレストの装備がなく、近年の車と比べると安全性の面でも不安な部分はあります。
しかしフィガロが発売された当時はまだまだヘッドレストの重要性が言われていなかった時代なので、ある意味この仕様は仕方ない面があるでしょう。
そもそもヘッドレストを装備しようにも後部座席のすぐ上がリアウインドウになってしまうフィガロではヘッドレストのスペースがまったくなく、小さな車で後部座席も特に狭いのでコンセプト的にもヘッドレストの装備は難しかったでしょう。
フィガロの後部座席の装備
フィガロの後部座席は装備がほとんどないシンプルな仕様であり、後部座席で便利に過ごすというような使い方はできません。
まずフィガロの後部座席でのシートベルトについて見ていきますが、シートベルトは後部座席であっても3点式シートベルトが装備されていてシートベルトの安全性は問題ありません。
フィガロが発売された当時では後部座席のシートベルトには腰だけを支えるような簡易的な2点式シートベルトの場合が多かったのですが、その中でさらに小型の車ナノにもかかわらず3点式シートベルトが装備されているのは素晴らしいです。
また3点式シートベルトは走行中も体を支えてくれるので、ホールド性のほぼ無いフィガロの後部座席ではありがたい装備です。
一方でその他の便利装備は後部座席には全くといってよいほど装備されておらず、後部座席はただ座るだけの座席です。
フィガロはプレミアムカーとしての側面もあるので運転席や助手席周りの装備はメッキを多用した質感の高いもので、デザインコンセプトに合わせたレトロなインテリアもフィガロの魅力です。
運転席に座って自分で運転するときには満足感をしっかり得られる装備が揃っているのですが、後部座席はそこまで頻繁に利用することを想定されていないので、小さな収納なども無く腕を置くスペースもありません。
フィガロの後部座席の唯一の装備といってよいのは天井が収納されるキャンバストップ式のオープン仕様ぐらいなもので、これだけは座席の窮屈さを多少改善してくれるので使える状況ならば使っていくと良いでしょう。
フィガロのリクライニング・シートアレンジ
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フィガロの後部座席では近年の車にあるようなリクライニング機能やスライド機能、シートアレンジ機能は一切備わっておらず、小型の車になんとかギリギリ設けられた後部座席ということがわかります。
最近の車はほとんどの乗用車が後部座席でのシートアレンジが出来るようになっており、その目的は主にラゲッジスペースの前後スペースを後部座席部分まで伸ばして長い荷物や大きな荷物を積み込めるようにする機能です。
フィガロクラスの小型の車でトランクルームがあるような車種でも、最近では「トランクスルー機能」を設けることで車室とトランクルームをつなげるような機能も採用が増えてきており、セダンやクーペ系の車種でもシートアレンジが可能となっています。
またコンパクトカークラスの小型の車でも後部座席で多少のリクライニングが出来る車が出てきており、年々機能が進化しているのがわかります。
ですがフィガロではそもそも後部座席は全体的なスペースが狭いのでリクライニングやスライドは不可能であり、せいぜい運転席や助手席をわずかに前後スライドして後部座席の居住スペースを広げるような機能しかありません。
またフィガロは小さいながらもトランクルームがあるクーペボディですが、昔の車なのでトランクスルー機能などは用意されておらずシートアレンジもできません。
そもそもフィガロのトランクルームは非常に独特な2段構造を持っており、上側にはキャンバスルーフを収納する空間、下側は収納するためのラゲッジスペースとスペアタイヤの収納場所となっていて、トランクスルーなど設けられるレイアウトではないでしょう。
フィガロの後部座席は小型の車の限られたスペースをなんとか確保して作られた座席であり、設計思想自体もかなり古い車なので便利な後部座席の使い方というのは盛り込まれていません。
それでも後部座席があることで荷物置きとして利用できたり、緊急時の座席として使えるシートがあることはいろいろなシーンで活躍するものでもあります。
フィガロの後部座席の評価・口コミ
フィガロは30年も前の車ながら現在でもまだまだ魅力的な車であり、twitterにもフィガロの投稿はいろいろ見られます。
その中に後部座席についてのものがありましたのでいくつかご紹介しましょう。
4人乗りなのに後部シート座れないってクルマもザラにあるんですけどね…
日産フィガロ、後部座席に身長170cmは入ることすら難しかった。
— YMProject (@YMProject_6star) September 15, 2020
こちらの方は170cmの身長でフィガロの後部座席に座ろうとされたようなのですが、座るどころか座席に入ることも難しかったようです。
フィガロの後部座席では体の大きな大人は座ることがそもそも不可能な場合があり、そういった方は優先的に助手席に乗ってもらうなどの配慮が必要になるでしょう。
車知らない人にフィガロの写真見せながら「運転席の後ろのスペースが後部座席」って言っても信じてもらえない説 pic.twitter.com/uuq0QCMPk4
— Find Life (@s_find_life) June 10, 2022
こちらの方はフィガロの車内の写真を見ていらっしゃいますが、こうやって見ると運転席や助手席のゆとりのあるスペースに対して後部座席はもはや座席とは思えないほどの狭さです。
実際は運転席や助手席はもう少し前にスライドさせることが出来るのですが、写真だけを見るとなかなかフィガロの後部座席に座りたいとはならないですよね。
総評
日産 フィガロはバブル期に生まれた特別な車の一つとして日本の自動車誌に残るような車で、コンパクトなボディとレトロなデザインは発売から30年近く経過した現在でも色褪せません。
むしろ限定発売ということで販売台数が少なかった中でも大事にされている車であり、意外なほど台数が残っていて根強い人気があります。
しかし後部座席だけを見ると一応4人乗りの車ながら実用性が乏しい後部座席になっており、現実的には荷物置きとして使う場合がほとんどでしょう。
それでも後部座席があるとないとでは利便性には大きな差が生まれるので、現在でもフィガロに乗っている方はそれなりに便利に後部座席を利用されています。
現在でもフィガロは中古車として手に入れることは出来ますが、状態の良い車はプレミア価格がついてきていますので興味のある方はできるだけ早く手に入れるほうがよいでしょう。