ミニという車はそのサイズ感がそのまま車名になっている伝統ある車種で、英国車の代表格的なイメージが強い車です。
今回はそんなミニのデザインについてご説明します。
ミニのデザイン
参考:www.mini.jp
ミニは1959年に英国で生まれた小型のハッチバックカーで世界的にも非常に有名な車種で、現行モデルはそこから数えると4代目と考えて良いでしょう。
ミニの歴史は多少複雑なのですが、初代モデルともいえるミニは1959年〜2000年までという非常に長期間に渡って英国をメインに生産されていました。
ミニは英国では複数の自動車メーカーがそれぞれ同一車種を生産するなど一時期は英国の主要車種だったのですが、1990年代から英国の自動車産業が経済的に大きな打撃を受けたことで、ミニを生産するメーカーが倒産したり、ミニの生産が終了してしまうなどかなり状況が悪くなった次期があります。
その結果ミニを生産していた英国ローバーがドイツの高級車メーカーであるBMW傘下に入ったのですが、その影響でミニの開発、生産、権利などはすべてBMWに写っています。
そしてミニはBMWのもとで再スタートを切り、2001年に実に40年近い次期を経て新型ミニが登場しました。
とはいうもののこの新型ミニはデザインから開発、生産まですべてBMW製となっており、デザインは初代ミニを彷彿とさせるものでありながら車の主要なコンポーネントはすべてBMWのものになっています。
それには当初賛否両論はあったのですが結果的に新型ミニは大人気となり、現在BMW製のミニとして数えると2013年に登場した3代目まで進んでいます。
今回はこの現行モデルのミニについてそのデザインをご紹介していきます。なお現行のミニには3ドアモデルと5ドアモデルのおおきく分けて2種類があり、それぞれデザインをご紹介します。
ミニ3ドアモデルのエクステリアデザイン
まずは基本となるミニの3ドアモデルをご紹介しますが、英国で生産されていた初代ミニも3ドアでしたので初代を彷彿とさせるようなデザインになっています。
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ミニは新型ミニに切り替わった段階で車のサイズが現代的に大きくなるとともに各所の構成も現代の車に準じたものになりました。
ですがデザインについては初代ミニのアイコンを各所に取り込んでおり、最新のミニでもまずその丸目のヘッドライトが印象的です。
またミニは車全体のフォルムが台形に近いようなデザインなのが特徴で、この現行のミニでもキャビンの形状やフロントウインドウなどの部分で台形を表しています。
一方でフロントマスクは初代ミニより大きく大型化するとともに非常にスポーティなデザインに仕上がっており、ボンネットに入ったラインやダクト、グリルやスカート、フェンダーのブラックの縁取りなどアクセントの強さが特徴的です。
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またリアに関してもボディのラインがミニを思い起こさせるものにはなっていますが、リアの全体のデザインは全く別物でコンパクトハッチバックカーとしてまとまりのあるデザインです。
コンパクトなリアウインドウと大きめのテールゲートはスタイリッシュですが、こちらのデザインもサイドから見て台形になるようなシルエットになっています。
またルーフやピラー、ウインドウなどがブラックになっているので非常に引き締まった印象となっており、コンパクトなスポーツハッチバックという印象です。
さらにコンパクトカーには珍しくセンター出しのマフラーにわざわざデザインしてあるのですが、この部分も初代ミニの特徴をあえて受け継いでいる点です。
この3ドアタイプのミニは車への乗り降りは左右の2枚のドアしかなく、後席へのアクセスもシートを倒して乗るような形なので左右のドアは前後に長くなっています。
初代ミニよりはかなり大型化しているものの各所にミニのアイコンをうまく取り入れたデザインになっているので、レトロフィーチャーなものが好まれる現代で人気車種となっています。
また3ドアモデルは乗車定員が4名となっており、後席のベンチシートには2名まで乗車となります。
ミニ5ドアモデルのエクステリアデザイン
次に5ドアモデルのデザインをご紹介しますが、5ドアモデルは3ドアモデルと比べると左右のドアが2枚から4枚になり、後席への乗り降りが行いやすい仕様となります。
また車の全長も5ドアモデルのほうが長くなっており、車のサイズも大きくなっています。
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フロントマスクのデザインについては基本的には3ドアモデルからの変更はなく、丸型のヘッドライトや縁取りされたグリル、ボンネット形状などは完全に共通です。
ボディの全体のラインも台形フォルムはキープされているのですが、実際には全長が長くなった分がキャビンの後側の延長に充てられており3ドアモデルと同一形状というわけではありません。
5ドアモデルということで前席のドアは3ドアモデルよりも小さくなるとともに後席のドアが追加され、スポーティな印象は多少薄れましたがスタイリッシュさはキープされています。
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5ドアモデルのリアのデザインも一見すると全く同じには見えますが、実際には細かいところに変更が入っておりテールゲートが5ドアモデルのほうがより斜めになっています。
それとともにテールゲートの下側が少し膨らんだようなデザインとなっており、キャビン内のスペースを広げています。
実際5ドアモデルは車内スペースも広がっており、特に後席シートの後ろにあるラゲッジスペースが広くなって利便性が向上しています。
なおミニの5ドアモデルは3ドアモデルより乗車定員が増えて5名となっており、一般的なコンパクトハッチバックカーと同じように後席のベンチシートに3名乗車までできます。
シートのサイズについては5ドアモデルも3ドアモデルもほぼ同一なのですが、3ドアモデルがスポーツモデルとするならば5ドアモデルはファミリーモデルなのでこういった差別化がされているのでしょう。
ミニのインテリアデザイン
次にミニのインテリアデザインについてご紹介しますが、インテリアは3ドアモデルも5ドアモデルも大きな違いはなく、基本的なデザインは同一で5ドアモデルはそこからラゲッジスペースが延長された形になります。
参考:www.mini.jp
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まずミニのインパネ周りをご紹介しますが、インパネ周りはかなり特徴的なものとなっています。
大きく目を引くのは全体的に円形をモチーフとしたデザインが多いことで、最も大きな箇所はセンターに大胆に配されたカーナビ周りの円形でしょう。
この内側にディスプレイやスイッチ類がまとめられているのですが、効率よりも特徴的なデザインを優先したものとなっています。
またハンドルやメーター、エアコンダクトなども丸みを帯びたデザインで全体的にまとめられており、オシャレで満足感の高いインテリアです。
またインテリアのカラーもいくつか選択できるのですが、ブラックとホワイト、ブルーなどのツートンカラーになっているので質感も高いです。
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インテリアに関してはまずシートがかなり上質なものが採用されており、この前席シートは3ドアモデルのものですが高級感のあるシート表皮とホールド性の高い形状でかなり作り込まれたデザインです。
左右のドアモールやセンターコンソールなども丸みを帯びたデザインになっていることで全体的にまとまりがあります。
尚この写真は欧州仕様の左ハンドルなのですが、日本向けには右ハンドル仕様が販売されているので運転感覚などは変わらずにできるでしょう。
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また後席の仕様についても日本車でありがちなシンプルな形状とは違い、凹凸がはっきりしていて座り心地の良さそうなシートになっています。
一方でシートの上側やヘッドレストなどがしっかり丸いデザインになっており、単純な補助席のような印象ではなくインテリアに溶け込むように作り込まれています。
尚この写真は5ドアモデルの後席でシートベルトやヘッドレストが3組ありますが、3ドアモデルでは基本的なデザインは同一でセンターのヘッドレストとシートベルトがなくなった形状になっています。
ミニのボディカラー
ミニには特徴的なボディカラーがいくつも設定されており、日本車ではあまり見られないカラーもあります。
ミニ3ドア、5ドアモデル ボディカラー | ペッパーホワイトソリッド |
チリレッドソリッド | |
ミッドナイトブラックメタリック | |
ルーフトップグレーメタリック | |
ムーンウォークグレーメタリック | |
アイランドブルーメタリック | |
ブリティッシュレーシンググリーンメタリック | |
MINI Yours エニグマティックブラックメタリック | |
ミニ3ドア、5ドアモデル ルーフ&ミラーキャップ カラー | ブラック |
ホワイト | |
マルチトーン |
ミニのボディカラーは3ドアモデル、5ドアモデルとも共通のラインナップになっていますが、定番カラーであるホワイト、ブラック、シルバーなどはしっかり揃っています。
メタリックカラーが多いのはシャープな印象のミニに合わせたもので、メタリックカラーでないのはホワイトとチリレッドソリッドだけですね。
またボディカラーにブリティッシュレーシンググリーンメタリックというカラーがありますがこれは初代ミニでもあった英国車の代名詞ともいえるグリーンカラーであり、BMW製になったあとでもこういった英国の要素があるのはうれしいですね。
なおボディカラーの中には「MINI Yours エニグマティックブラックメタリック」と呼ばれるボディカラーとは思えない名前のものもありますが、これはMINI Yoursという上質性を高めたモデルのためのボディカラーとなります。
基本は通常のボディカラーにあるブラックではありますが、ミッドナイトブラックメタリックと違って深い藍色のようなブラックカラーなので、まるで夜明けの寸前の空ような深みのあるボディカラーとなっています。
加えてミニには車のルーフとミラーのカラーがまた別に設定されており、ボディカラーと組み合わせていろいろな構成が可能です。
ルーフ&ミラーキャップにはホワイトとブラックの他に「マルチトーン」と名付けられたブラック、ブルー、ターコイズブルーの3色構成のルーフがあり、かなり特徴的で存在感のある1台になります。
ボディカラーによってはすべての組み合わせができないこともありますが、こういう組み合わせでボディカラーを選べるというのは日本車ではあまりなく、注文の際に迷いながら楽しんで選べるものです。
ミニは人気か?
ミニは日本では輸入車としてミニの正規ディーラーがあるのですが、輸入車の年間販売台数としてみるとミニは圧倒的な人気を誇っています。
ミニ年間販売台数ランキング | 順位 |
2013 | 3位 |
2014 | 2位 |
2015 | 2位 |
2016 | 1位 |
2017 | 1位 |
2018 | 1位 |
2019 | 1位 |
2020 | 1位 |
現行のミニは2013年にフルモデルチェンジされて既に9年〜10年近く経過しているのですが、ここ5年〜6年は年間販売台数でずっと1位を取っており、車種別で見るとミニは国内で最も売れている車となっています。
2013年〜2015年では国内の輸入車のトップはフォルクスワーゲン ゴルフだったのですが、この時期にもミニは次点につけており元々人気は高い車でした。
しかし2020年時点ではフォルクスワーゲン ゴルフが年間販売台数で10,000台程度なのに対してミニはその約二倍の20,000台規模になっており、現在では圧倒的なトップとなっています。
ミニという車は輸入車の中ではかなりコンパクトで使い勝手の良いハッチバックカーですが、更にデザインも日本人の好みにあっているものなのでここまで人気が高いのです。
ミニの評判
ミニはそのデザインについての賛否両論が以前からかなり多い車なのですが、今回はTwitterからいくつかそういった意見をご紹介します。
BMW MINI、アイコニックな外装デザインもそうだけど、内装の世界観作りというか、雰囲気作りも上手いよね。
それでいて、乗り味的には重めのステアリングと硬めの足回りでいい意味でわかりやすくスポーティな感じがいい。
— nEME@パジェロ40周年🇬🇧🎶 (@neme_V73W_AFE) February 5, 2022
こちらの方ははBMWのミニに好意的な印象を持っておられる方で、世界観とは昔のミニを取り込んだレトロフィーチャーなデザインということでしょう。
一方で走りの面では最新の車のコンポーネントがありますので性能面では魅力的で、スポーティな感じを好まれています。
でも、伝統を守ってくれるBMWには本当に感謝ですよ。
どこのメーカーも伝統を捨ててきた。
ベンツは丸目を、アウディはプレスラインを…
でも、BMWは今も昔も変わらない豚鼻だし。
ミニの丸いデザインやセンターのナビスペースのデザイン(昔のスピードメーター)を残してくれてる。
感謝感謝。— 明太狐@まなちゃん丸 (@MentaiKitsune) May 14, 2020
こちらの方もBMW ミニのスタンスに好意的で、昔のミニの雰囲気を残している点が評価されています。
昔の車のデザインを取り込んだデザインというのは近年いろいろなメーカーが取り組んでいるテーマですが、ミニのように昔の雰囲気をしっかり残しながらも新しいデザインとしている車でここまで成功しているものはあまりないでしょう。
今日市内で国産の軽ワゴンなのにエンブレムはMINI、ナンバーも『3298』にしている車を見かけました。
昔はMINIも150万くらいで買え、小さく、デザインも可愛かったのに、BMW傘下になってからは『らしく』なくなりました。
150~200万までくらいで買える、可愛いMINIには・・・もう戻らんのかな(-“-;) pic.twitter.com/E134oDt33s
— ひらっち (@hiracchi4) November 25, 2021
一方でこちらの方は昔のミニが好きなようで、小ささや可愛らしいデザインが好きな点だったそうです。
しかしBMW ミニとなってからは現代的にボディサイズが大きくなったりスポーティなイメージとなってきているので、昔の可愛らしさを魅力的に感じる方にはちょっと残念と思うのも仕方ないでしょう。
ミニの欠点
ミニは車としての欠点はあまりなく安心して乗れる車なのですが、まさにそのデザインが前述のように残念に感じる方もいらっしゃいます。
ミニの歴史は前述でご紹介したように複雑な経緯を経ており、英国の自動車メーカーでは初代ミニの次期型の開発や生産などが難しくなったことでBMWに権利が映りました。
そしてBMWであれば次期型を誕生させるだけの能力があったので、2000年にミニは新型ミニとして新たに登場しミニという名前の車が歴史をつなげることになりました。
そして新型ミニは旧ミニを彷彿とさせるボディラインや各所のアイコニック的なデザインの取り込みなど、ドイツメーカーのBMWが手がける車にもかかわらずしっかり英国車のミニとしての伝統をつなげています。
しかしミニが英国からBMWに映るときにはかなりの批判的な意見も出てきており、英国を代表する名車がドイツの車になるということに否定的な方は今でもいらっしゃいます。
また新型ミニのデザインについても車のサイズが大型化したことや、旧ミニを彷彿とさせることでのもやもやした気持ちを持っている方もおられ、旧ミニが一番好きという方は少なくありません。
その意見については個人の意見なので仕方無い部分もありますが、実際新型ミニは現行モデルの圧倒的な人気を見ても分かるように多くの方が好んで乗る車になっています。
旧ミニも非常にコンパクトで伝統的なデザインがあるため好きな車ではあるのですが、BMWが現代向けのミニとして開発した新型ミニもすばらしいデザインといえます。
ミニの値段
では最後に現行ミニの新車価格と中古車価格をご紹介しますが、こちらは3ドア、5ドアそれぞれで見ていきましょう。
また中古車に関しては国内の大手中古車情報サイトであるカーセンサーとgoo-netより調べました。
ミニ | 新車価格 | 中古車本体価格相場 | |
ミニ 3ドア | 2,890,000円〜4,870,000円 | カーセンサー | 550,000円〜4,438,000円 |
goo-net | 550,000円〜4,813,000円 | ||
ミニ 5ドア | 3,060,000円〜4,310,000円 | カーセンサー | 1,680,000円〜4,198,000円 |
goo-net | 859,000円〜4,700,000円 |
まずミニの新車価格ですがおおよそ3,000,000円前後から5,000,000円弱の価格帯となっており、国産車と比較すると中型車よりは上の価格帯の車になります。
それでも輸入車としてみれば多少コストパフォーマンスがある車でもあり、ベンツやBMWの高級車に比べれば十分お買い得です。
また3ドアと5ドアではそこまで価格差があるわけではないので、スタイルや使い勝手から選べばよいのはうれしいですね。
一方で中古車価格としては既に初期型がかなりの年式の古さとなっていることで、500,000円台から手に入れられるなどお買い得なミニはたくさんあります。
ただ年式的に初期型では各所に問題がある車も出てきているので、そのあたりの見極めは重要です。
また中古車といっても新車価格より高い車もありますが、これは特別仕様車であったりカスタムされたミニであったりするので新しい魅力が欲しい方におすすめです。