スズキ スイフトはスズキのコンパクトカーで、スポーティなデザインが特徴の車です。
今回はそんなスイフトでの車中泊について見ていきましょう。
スイフトの車中泊に向かない点
スズキ スイフトはスズキのコンパクトハッチバックカーの中で人気の高い車種で、日本のみならず欧州でもスズキの代表的な車となっています。
スイフトは現行モデルで4代目となりますがそのコンセプトは一貫しており、軽自動車より多少大きいコンパクトで軽量な車体にスポーティなデザインをまとった車です。
スペック的には一般的なコンパクトカークラスからスポーティモデルまで揃っており、さまざまな層に好まれる車となっています。
また現行モデルからはマイルドハイブリッド車に加えて燃費に優れるストロングハイブリッド車も設定され、その環境性能も非常に高いものとなっています。
近年車の利用法の1つとして車中泊が注目されていますが、これは旅行の際に車内で一晩を過ごして寝る方法です。
車中泊では旅行につきものなホテルや旅館を取らなくても良くなるのでその分の費用を浮かせることができ、車での移動先でそのまま寝ることが出来るため機動力も高いものとなっています。
また車中泊はキャンプなどでテントの代わりとしても使うことができ、車中泊専用のオートキャンプ場なども登場しています。
この車中泊に対してスイフトの車内サイズで可能かどうかを見ていきましょう。
スペック | スイフト | |
価格 | 1,368,400円〜1,985,500円 | |
乗車定員 | 5名 | |
全長 | 3,840mm | |
全幅 | 1,695mm | |
全高 | FF:1,525mm 4WD:1,500mm | |
室内長 | 1,910mm | |
室内幅 | 1,425mm | |
室内高 | 1,225mm | |
ラゲッジルーム | 高さ | 860mm |
幅 | 1,000mm | |
奥行き | 640mm | |
運転席寸法 | 高さ | 約1,000mm |
幅 | 約500mm | |
奥行き | 約1,000mm | |
助手席寸法 | 高さ | 約1,000mm |
幅 | 約500mm | |
奥行き | 約1,000mm | |
後席寸法 | 高さ | 約1,000mm |
幅 | 約1,300mm | |
奥行き | 約800mm | |
3列目寸法 | 高さ | 3列目シートなし |
幅 | ||
奥行き |
スイフトは軽自動車よりも少し大きなサイズのサブコンパクトカーで、全長は3,840mmと非常にコンパクトなものです。
一方でスイフトは全幅がワイドになっているもの特徴で、全幅が1,695mmと5ナンバーサイズギリギリのサイズ感です。
また全校はコンパクトカーとして標準的なサイズですが、近年のトールワゴン系の車種に比べると低めのサイズとなっています。
車内のサイズについてはコンパクトカーということであまり広いサイズではなく、室内長は近年のコンパクトカーとしては少し狭めです。
室内幅はそれなりにあるので後部座席に3人座っても窮屈なことはありませんが、室内高は低めなので必要最低限の室内高となっています。
またラゲッジスペースについてはコンパクトカーにしては奥行きがしっかり確保されており、使い勝手がよい荷室に仕上がっています。
このようにコンパクトカーとしては標準的なサイズのスイフトですが、車中泊に対しては車内のサイズ的に厳しい部分が多く次のような点で問題があります。
車内にフラットな寝台が作れない
スイフトでは車中泊に必要な車内の寝台としてのスペースが確保できず、快適な車中泊には不便な車です。
車中泊には車内で快適に寝るためにいくつかの条件があるのですが、そのうちの重要な1つとして車内で寝られる平らな寝台を確保できるかという点があります。
車の車内は内装のデザインやシートの形状、車体構造などでさまざまな凹凸や段差があり、そのままでは寝るようなスペースはなかなか確保できません。
ですが近年の車はシートアレンジによって車内をフルフラット化出来る車種が増えてきており、これによって寝台とすることが出来るような車もあります。
これに対してスイフトでもシートアレンジは可能なのですが、その形状が車中泊には不向きなものです。
スイフトのシートアレンジでは後部座席を収納することでラゲッジスペースとつなげることができるのですが、これはもともとラゲッジスペースの拡大のための機能となります。
ですが収納した後部座席とラゲッジスペースの間には大きな段差が生まれており、座席の背もたれの厚み分ぐらいの段差があるのでフルフラットとはとてもいえません。
そのままではあまり快適に寝ることができないので、これだけを見ても車中泊には不向きです。
シートアレンジでの前後サイズが不足している
スイフトの車内のシートアレンジではその形状も段差があって不便ですが、そのサイズ自体も車中泊には不足しています。
車中泊では車内の寝台に使えるスペースやその形状が重要ですが、サイズも非常に重要です。車内で快適に寝るためには自宅の寝台と同じくしっかり足を伸ばして寝られるスペースが必要なのですが、そのサイズは寝る方の身長によってさまざま変わってきます。
ですが身長170cmぐらいの人を想定すると最低でも1,700mmは寝台のスペースがなければ足を伸ばせないのですが、実際にはギリギリでも窮屈感があるので1,800mm〜1,900mmは寝台のスペースがほしいところです。
ですがこれに対してスイフトの車内で確保できる寝台のサイズは小さめで、後部座席とラゲッジスペースを合わせても1,500mm〜1,600mm前後しかありません。
このサイズでは身長の低い人ならともかく170cmぐらいある人だと足を伸ばして寝ることは不可能で、足や身体を曲げて寝なければなりません。
これではとても快適に寝ることは出来ないので、スイフトの車内で寝るときにはこういった不便な点を考えて車中泊を過ごさなければならないでしょう。
スイフトの車内で車中泊が不可能というわけではないのですが、快適性としてはあまりおすすめできません。
前席を利用しても段差が大きく不便
もう1つスイフトの車内スペースを活用する方法として前席シートも使う方法はあるのですが、この状態でも非常に大きな段差が出来るのでやはり不便です。
スイフトの限られた車内スペースで通常のシートアレンジだけでは前後サイズがあまり大きく取れないのですが、このモードは後席とラゲッジスペースを使っているので前席シートは残っています。
寝台のサイズが不足しているならこの前席も寝台として使いたいところであり、使いかたとしては前席の背もたれを後ろに倒して後部座席と繋げる形になります。
機能的には前席シートにはリクライニング機能があるので後ろに倒すことはできるのですが、その際に完全に収納することができないので前席と後席の間が大きな段差となってしまうのです。
スイフトの構造では前席シートのヘッドレストを蓮した状態で背もたれを後ろに倒すと、背もたれはこうせの上に重なるような状態となり完全に収納が出来ません。
そのため重なった部分は前席シートの背もたれが斜めの状態になってしまい、このままではとてもフラットな寝台として使うことができないのです。
もちろん前後サイズとしては車内をフルに活用するので2,000mm近くは確保できるのですが、足は伸ばせたとしても背中が曲がってしまってはとても寝られないですね。
室内高が低く窮屈さがある
スイフトの車内は室内高がそんなに高くないのですが、もし車内で寝たとしても天井までの距離が近くて窮屈さがあります。
車中泊の際にはなにより車内で寝るためのスペース確保が重要であり、サイズ的に寝台の前後のサイズや左右のサイズが必要となります。
それに対して室内高の広さに関してはそこまで厳しい条件はなく、仰向けで寝るだけであればそんなに大きなスペースは必要ありません。
ですが室内高が低い車では車内で身体を起こすような使いかたができず、天井の高い大型ミニバンでの車中泊と比べると不便な部分が多いのも確かです。
スイフトは全高が低めのコンパクトハッチバックカーであり、室内高は低いので仰向けで寝るだけがせいぜいで身体を起こすような使いかたはできません。
またスイフトの室内高は1,225mmとはなっているのですが車中泊の際にはラゲッジスペースもしくは後席の上面に寝ることになるため、室内高のサイズではなく天井まで700mm前後のスペースしか使えません。
このサイズでも仰向けで寝ることは出来るものの、横向きに寝たり寝返りをうったりする時には 窮屈となります。
車中泊時の荷室が少ない
車中泊の際には寝台のサイズも必要ですが荷室も必要で、スイフトではそのスペースもあまり広くありません。
車中泊では車内の寝台のサイズを確保するのが最優先ですが、実際に車中泊を活用する時は旅行のときがほとんどであり、車内に積み込まれている荷物の量は普段より多めです。
ですが車中泊の寝台として使うのは後部座席とラゲッジスペースが多く、車中泊のときにはラゲッジスペースに積み込まれている荷物を別の場所に積み替えなくてはなりません。
ですが車内が小さめの車ではそのスペースも少なく、荷物の載せ場所が意外と見落とされがちなのです。
スイフトでは通常の状態ではラゲッジスペースが広めなので、旅行のときには結構たくさんの荷物を持っていけます。
ですがスイフトの車内で車中泊を過ごそうとするとどうしても後部座席とラゲッジスペースは寝台にしないとスペースが足りず、残ったスペースは前席シートの部分しかありません。
しかし元々寝台のサイズが不足しているので前席も使いたいところであり、段差などをなんとか解消させて前席も寝台にすると荷室のスペースは本当に小さくなってしまいます。
もちろん荷物の量にもよりますが、スイフトで車中泊をする際にはあまり沢山の荷物を持っていかないほうが良いでしょう。
スイフトで車中泊をする方法
スイフトは車中泊にはあまり向いていない車ですが、次のような方法で一応車中泊自体は可能です。
スイフトのシートアレンジ
まずスイフトの車内で車中泊をするための寝台を作りますが、シートアレンジを駆使して行います。
スイフトのシートアレンジでフラットモードになるのは後部座席とラゲッジスペースの間ですが、シートの操作としては後部座席のみです。
後部座席の収納は背もたれを前に倒すような形になるのですが、その操作は背もたれの背面にあるレバーを操作して行います。
レバー操作は一度覚えてしまえば簡単なもので、自宅などで操作を覚えておけば車中泊の際にもスムーズでしょう。
また後部座席のヘッドレストについては付いたままでも大丈夫で、収納状態でもある程度伸ばした状態でもシートの収納はできます。
このシートアレンジで車中泊用の寝台は出来ますが、そのままでは前述したように前後のサイズが小さいので前席シートも前にスライドさせるとよいです。
ですがその際には前席と後席の間にスペースが空いてしまうので、そこをボックスやクッションなどで埋めることで寝台として使えるでしょう。
また後部座席とラゲッジスペースの間の大きな段差も解消したほうがよく、市販の段差吸収ボードや布団、クッションなどで底上げすると良いでしょう。
車中泊アイテムの準備
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次に車内で快適に寝るための車中泊アイテムを用意しなければなりませんが、必須のものは2つあります。
車中泊には寝台の他にも快適に寝るための装備が必要なのですが、まず1つ目は車中泊用マットです。
車中泊の寝台はその上面が樹脂製で固い感触であることが多く、スイフトのシートアレンジでも同様となります。
そのため寝台の上で快適に寝るためにはクッション性のあるマットが必要で、車中泊マットは社外品で様々なものが販売されています。
スイフトの寝台はスペースが小さめなので車中泊マットは多少小さめのほうが使い勝手は良いでしょう。
もう1つ必要なアイテムとしては遮光アイテムがあるのですが、これは車内のウインドウを塞ぐためのものです。
車中泊の時にウインドウが開いたままだと外から街灯の光が入ってきたり、他の車のヘッドライトの光が入ってきたりと安眠を妨げるものです。
そのため車中泊のときにはウインドウは完全に遮光したほうがよく、これも市販の遮光ボードや遮光カーテンなどを使うと良いです。
また遮光ボードには汎用品もありますので、これを自分で加工して設置すると費用を抑えることが出来ます。
車中泊の注意点
車中泊では寝台のサイズや形状も重要ですが、そのほかに車内を換気するという注意点があります。
車中泊のときには防犯などを考えると窓を閉め切った状態で寝ようとすることがあるでしょうが、その状態で一晩を過ごしてみると朝起きた時に息苦しさを感じたり汗をかいていたりします。
これは車内で寝ている間に車内の空気を呼吸で消費して二酸化炭素が増えたためで、一晩ぐらいなら健康に問題がある程度ではないものの安眠を妨げるものとなります。
そのため車中泊のときには車内の換気を行いながら寝るとよいのですが、一番簡単な方法は窓を少しだけ空けておくことです。
ですが窓が空いているとそこから虫が入ってきたり他の車の音などが聞こえやすくなったりするので、車中泊のときにはエアコンを活用すると良いです。
エアコンには外気を取り込むことが出来る外気循環モードがあるのでこれを使いながら換気をしますが、それに加えてエアコンで温度管理も出来ます。
この使いかたをすれば車内の環境を整えながらの車中泊が出来るのでとても便利です。なおエアコンを動かしている時にはエンジンをアイドリング状態にする必要があり、燃料の残量などにも気をつけましょう。
ただしアイドリング時に急な積雪などで排気管が詰まったりすると排気ガス逆流の問題があるので、そういったシーンのときには安全のために窓を少し空けたほうが良いです。
スイフトの車中泊に向いている点
スイフトの車中泊ではちょっと不便な点が多いのですが、次のような点はメリットとなります。
車内にUSBポートを設定できる
スイフトでは車内のオプション装備としてUSBポートを設定できるのですが、これは車中泊のときに便利な装備です。
以前から車にはシガーソケットという装備が標準装備されており、これは電気式のヒーターでタバコの火をつける装備です。
しかし最近はタバコを吸う人も減ってきていることでシガーソケットに変わって電源ポートに変更できるオプションが増えてきており、スイフトにもこの1つとしてUSBポートがあります。
シガーソケットでもそこから電源を取り出して専用の器具を使えたのですが、USBポートであれば汎用性が高く様々なUSB給電式の電気製品を使えます。
これは日常的にも便利に使えますが車中泊のときにはより便利に使用でき、キャンプで使えるような製品を持ち込むことで車内での過ごし方を改善できます。
USB給電式の器具には照明や充電機器などもありますが、その他にちょっとした調理器具や扇風機、娯楽の製品などもあり、こういったものを利用することで楽しい車中泊となるでしょう。
スイフトのUSBポートではあまり消費電力の大きなものは使えませんが、それでもUSBポートがあるだけで利用の幅が一気に広がります。
室内に1名ならなんとか寝ることができる
スイフトの車内では快適に寝るスペースがあまり確保できないのですが、1名での車中泊であればなんとか寝ることができます。
スイフトの車内は後部座席とラゲッジスペースで寝台を作るのですが、その問題点は前後のサイズが狭いことです。
スイフトの車内で確保できる寝台のサイズでは身長の高めの人は足を曲げないと寝ることができず、かなり窮屈な中での車中泊となります。
ですがこれは寝台を車の前後方向で使っている場合であり、完全に1人用として割り切って使うともう少し広い寝台スペースが確保できます。
それは寝台を前後ではなく斜めに使う方法ですが、スイフトの車内で確保できる寝台の最大サイズが1,600mmぐらいなのでそれを斜めに使えば1,700mm前後のスペースが確保できます。
これでも身長によっては窮屈ではあるもののそこそこしっかり寝られるスペースではあります。寝台を斜めに使うと2名での車中泊は出来ませんが、1人旅での車中泊用として考えれば悪くはないでしょう。
スイフトの車中泊の口コミ・評判
スイフトでの車中泊に関してはtwitterにもさまざまな評判が投稿されており、その中からいくつかご紹介します。
スイフトの内装チェック、高さは充分あり、後部座席はフラットに出来るし、ドリンクホルダーもあるのでそこそこ快適。車中泊はクッション置いてすき間を埋めないと難しいね。 pic.twitter.com/gcnqsKoMHX
— ころぽっくる (@mockn_roll) October 19, 2019
こちらの方はスイフトの車内を確認して車中泊における問題点を見ていらっしゃいますが、写真を見るだけでも段差や斜めのシートなどがわかりそのままではあまりフラットに寝られる空間がありませんね。
また隙間も多いのでこういったところを適切に埋めることでフラットに近い寝台を準備することは可能です。
今回初めての車中泊だったけどめちゃくちゃ熟睡してしまったな笑
というわけで身長190でもスイフトで車中泊出来ると証明されたのでまたやろ👺— Michi_P@W800 (@MichiP_1966) February 26, 2021
こちらの方はなんと身長が190cmある方のようなのですが、それでもスイフトで車中泊を過ごされたそうです。
車内のサイズからすると決してのびのびと寝られるスペースではなかったはずですが、熟睡できたということで良かったですね。
総評
スイフトはスズキのサブコンパクトカーとして扱いやすいサイズ感とスポーティな走行感覚が良い車です。
しかし車中泊となると車内スペースの小ささからあまり適しているとは言えず、せいぜい1人での車中泊ぐらいでないと窮屈さがあるでしょう。
しかしスイフトはなによりコストパフォーマンスには優れますので、1人旅行の車としては車中泊が出来るということで便利ではありますね。