スズキ イグニスはスズキのコンパクトカーで、SUVライクなデザインが特徴の車となっています。
今回はそんなイグニスでの車中泊についてご説明します。
イグニスの車中泊が快適な理由
スズキは軽自動車でとくに評判の高いメーカーですが、イグニスはそれより多少大きなコンパクトカーに属する車種です。
イグニスはコンパクトハッチバックカーというサイズ感を持つ車種で、軽自動車より多少大きめなボディで軽量コンパクトな扱いやすい車です。
イグニスは2016年に登場した車種ですが、最近のクロスオーバーSUVの世界的な人気を受けて登場した、SUVライクな力強いデザインを持つ車です。
走行性能的にはSUVではないのですが、押し出し感のある存在感が高いデザインとコンパクトカーならではの使い勝手の良さがうまくバランスされています。
またイグニスは全車ハイブリット車となっているのも特徴で、コンパクトカーながら高い燃費性能も誇っています。
近年SUV人気と合わせて車の利用方法が増えており、その中に車中泊というものがあります。
車中泊は旅行の際に宿泊手段として車の車内を使う方法で、ホテルや旅館を予約しなくてもよいので費用を浮かすことができます。
また車中泊はキャンプでのテント代わりとしても使うこともでき、最近は車中泊専用のオートキャンプ場も出てきています。
イグニスはSUV風のデザインでアウトドアなどでも人気が高い車種ではあるのですが、車中泊に対してはどうなのかを車のサイズからみていきましょう。
スペック | イグニス | |
価格 | 1,522,400円〜1,975,600円 | |
乗車定員 | 4名 | |
全長 | 3,700mm | |
全幅 | 1,660mm | |
全高 | 1,605mm | |
室内長 | HYBRID MF、HYBRID MZ、HYBRID MX:2,020mm HYBRID MG:1,945mm | |
室内幅 | 1,365mm | |
室内高 | 1,250mm | |
ラゲッジルーム | 高さ | 725mm |
幅 | 1,160mm | |
奥行き | 430mm | |
運転席寸法 | 高さ | 約1,100mm |
幅 | 約500mm | |
奥行き | 約1,000mm | |
助手席寸法 | 高さ | 約1,100mm |
幅 | 約500mm | |
奥行き | 約1,000mm | |
後席寸法 | 高さ | 約1,100mm |
幅 | 約1,300mm | |
奥行き | 約900mm | |
3列目寸法 | 高さ | 3列目シートなし |
幅 | ||
奥行き |
イグニスは車のカテゴリーとしては普通車になりますが、そのサイズは軽自動車に近く全長が3,700mmと非常にコンパクトにおさまっています。
一方でイグニスの全幅は1,660mmとかなりワイドになっており、この点からイグニスの外観サイズはワイドで安定感のあるものとなっています。
また全高は1,605mmとなっているのですが、一般的なコンパクトハッチバックカーに対しては多少高めのサイズであり、大きめのタイヤや最低地上高の高さがSUVらしいスタイルを作っています。
車内のサイズについてはコンパクトカーらしく小さめなサイズ感ですが、それでも室内長は2,000mm近くとそこそこゆとりのあるものです。
室内幅については、イグニスは全幅の広さはデザイン的にタイヤハウスの張出しが大きいことから、多少控えめな室内幅に抑えられています。
ラゲッジスペースについては前後のサイズがコンパクトカーということで控えめな数値ですが、普段使いの使い勝手としては悪くないサイズ感です。
このようなサイズ感を持つイグニスですが、車中泊に対しては良好な性能を持っており次のようなメリットを持っています。
コンパクトカーにしては良好なシートアレンジ
イグニスの車内はコンパクトカーとしては圧倒的に広いわけではないのですが、シートアレンジが優秀で寝台をうまく作ることができます。
車中泊には快適に寝るためにはいくつか条件があるのですが、その1つに車内にフルフラットな寝台が作れるかどうかという点があります。
車の車内というのは様々な構造やシートの形状などで段差や凹凸が多いのですが、車内で快適に寝るためには自宅の寝台と同じように平らなスペースを作り出したいところです。
ですが通常の状態では車内で平らなスペースはほとんど確保できないのですが、最近の車種はシートアレンジによって後部座席とラゲッジスペースをつなげるような形でフルフラットモードができることがあり、このスペースが車中泊の寝台として利用できます。
イグニスにもいくつかシートアレンジが出来るのですが、その中でフルフラットモードが使用できそのスペースを寝台として利用できます。
イグニスは後部座席を収納してラゲッジスペースとつなげると長い荷物が載るようになるのですが、さらに前席も後ろに倒すことができ、ちょうど後部座席にひっかからないように収めることができるのです。
このモードであれば車内の前側からラゲッジスペースまでの間のほとんどのスペースを寝台として利用でき、コンパクトカーとは思えない車中泊空間を利用できます。
イグニスは車のサイズとしては小型なのですが、その中で思わぬほどの車中泊スペースが作れるのは大きなメリットです。
寝台の前後サイズが広く確保できる
イグニスの車内には非常に広々とした車中泊スペースを確保できるのですが、そのサイズも車中泊には非常に適したものです。
車中泊に必要なスペックとして寝台の形状の他に寝台のサイズも重要で、寝る方が足をしっかり伸ばして寝られるかどうかが重要となります。
その必要なサイズは寝る方の身長によって変わるのですが、身長170cmぐらいの方を想定すると足を曲げずにしっかり寝るためには最低でも1,700mmは寝台のサイズが必要です。ですが身長ギリギリでも窮屈さがあるので実施兄は1,800mm〜1,900mmぐらいは必要です。
これに対してイグニスは前席、後席、ラゲッジスペースすべてを寝台として利用でき、その前後のサイズはなんと2,400mm近く確保することができます。
これだけのサイズがあればどんなに身長が高い人でもしっかり足を伸ばして寝られるだけでなく、頭上空間や足元空間もかなり多くのスペースが残されています。
これだけの空間があれば車内でキャンプのような過ごし方もある程度は可能であり、やはりコンパクトカーとは思えないほどの使い勝手の良さがあります。
室内幅が最大限活かせて2名まで寝ることができる
イグニスはコンパクトカーとして大きな車ではないのですが、車内のスペース的には横並びで2人は寝ることができます。
イグニスは全長自体は軽自動車より少し長い程度のサイズで、普通車としてはかなりコンパクトなサイズ感です。
しかし全幅は5ナンバーサイズに収まっているとはいっても軽自動車と比べればかなりワイドに拡大されており、非常にどっしりしたフォルムになっています。
イグニスは普通車なので車内では後部座席に3人座ることからも全幅が必要で、室内幅もそこそこのサイズが確保されています。
そのため車内に車中泊の寝台を作るとその上で左右に一人ずつが寝るぐらいのスペースはしっかり確保できており、同時に2人での車中泊は可能です。
イグニスは車内の横方向に余計な張出しなどがなく、寝るのに邪魔になるところもなく、快適に横並びで寝ることができます。
イグニスは寝台の前後スペースが非常に広々としているので、2人での車中泊はとても快適で良い一晩が過ごせるでしょう。
車中泊時の荷室も一緒に確保できる
車中泊のときには車内のスペースとして荷室のスペースも必要ですが、イグニスではしっかりそのスペースも確保できます。
車中泊ではなにより寝るスペースである寝台を確保するのが大変で、フルフラットな寝台やそのサイズなどクリアしなければならない条件は多いです。
ですが車中泊はあくまで旅行をしながら利用することの多いものですので、そのときには旅行のための荷物もたくさん積み込んでいるはずです。
しかし車中泊ではその荷物が積み込んであるラゲッジスペースが寝台として利用されることが多いので、荷物はどこか別の車内のスペースに収めなくてはならないのです。
しかしイグニスの車内であれば寝台のサイズとして2,400mmもの奥行きを確保することができ、寝るには十分すぎるスペースがあります。
身長が高い人が寝ても前後方向に大きく余剰スペースがありますので、そこを利用すれば荷室としても活用できます。
シートなどの邪魔なものがすべて収納できていますので、コンパクトカーに積み込む荷物程度であれば車中泊時にもしっかり収めておくことができるでしょう。
大きなアンダーラゲッジがある
イグニスには通常のラゲッジスペースのほかにアンダーラゲッジも設定されており、これを活用して車中泊にも利用できます。
アンダーラゲッジとは荷室の1つなのですが、普通のラゲッジスペースのボードの下にある穴のような部分で、ある程度の荷物を収めることができます。
ラゲッジスペースの上面がフラットになっているのですが、そこには取り外し可能なボードがありそれを取り外すとアンダーラゲッジにアクセスできます。
イグニスのアンダーラゲッジは容量はそこまで大きくはないのですが、それでもちょっとしたものなら収めることができます。
アンダーラゲッジは車中泊のときには寝台の真下にあたりますし、寝台の上には後ほどご説明する車中マットを載せるので寝ているときにはアクセスできません。
ですが車中泊には不要な旅行用の荷物を詰め込んでおくことはできるので、たとえばお土産品であったり靴などの汚れものなどを収めるのにはちょうどよいスペースです。
車内でACパワープラグを使用できる
イグニスには車内で コンセントポートを設定することができ、これを利用すると車中泊の楽しみ方が増えます。
以前の車にはシガーソケットが必ず設定されており、電気式のヒーターなのでこのソケットを使って電気製品を使うことができました。
しかしそのときには車専用のカー用品の電気製品しか利用できず、出力なども小さいのであまり利便性は高くありませんでした。
しかし最近はシガーソケットの代わりにAC100Vのコンセントポートにするオプション装備が設定されるようになってきており、これを利用すると車中泊でも便利なのでおすすめです。
イグニスにも車内にAC100Vのコンセントポートを設定するオプションがあり、「ACパワープラグ」という名称で設定されています。
イグニスは全車ハイブリッドモデルなので強力なバッテリーが搭載されていることもあり、そこそこの出力のコンセントポートとなっています。
これがあると車中泊のときにさまざまな家電製品を使うことができるので、照明やちょっとした調理器具、娯楽製品なども使えます。
また携帯電話の充電もできるので車中泊を考えている方は設定しておいて損はなく、普段使いでも便利な装備でしょう。
なおコンセントポートを使用している時にはバッテリーが上がるのを防ぐためにエンジンはアイドリング状態にしておきましょう。
イグニスで車中泊をする方法
では次にイグニスの車内で車中泊をする方法をご紹介しましょう。
車内のフルフラット化
まずはイグニスの車内で寝るために寝台を作るところから始まりますが、イグニスの場合には前席シートも後席シートも操作がひつようです。
イグニスのフルフラット化は車内の前から後ろまでがつながるとても広大なスペースが確保できるのですが、それにはシートはすべて収納する形となります。
まず最初に行うのはシートの収納に邪魔なヘッドレストを取り外すことで、前席も後席もどちらもヘッドレストは全て外して邪魔にならない位置に置いておきます。
その次は後部座席から操作するほうが楽であり、後部座席は背もたれを前側に倒す形で収納されます。その操作は後部座席にある専用のレバーですることができ、レバーを操作すればほぼワンタッチで背もたれを収納状態にもっていけます。
最期に前席シートの収納ですが、機能的には通常のシートスライドやリクライニング機能を使うので操作は難しくありません。
前席シートはまず一番前までシートをスライドさせた上で、リクライニングのレバーを操作して背もたれを後ろに倒します。
シートが一番前まで動かしてあれば、前席の背もたれはちょうど収納した後部座席とつながるような形で収納でき、これでイグニスの車内にフルフラットな空間が作り出せます。
なお実際には後述するように多少段差や凹凸があるのですが、それに関しては車中泊アイテムで対応が可能なレベルです。
車中泊アイテムの用意
次に車中泊を快適に過ごすための車中泊アイテムの準備を行いますが、必須ともいえるものが2つあります。
まず1つめが車中泊マットなのですが、これは車内の寝台の上に敷き詰めることで布団やクッションのような役目を果たし、快適に寝るためにはなくてはならないものです。
イグニスは車内をフルフラットにできるとはいっても、後部座席とラゲッジスペースは樹脂製の上面になっており固い感触を持っています。
これを解消するための車中泊マットなのですが、その他に寝台の小さな段差や凹凸を吸収する役割もあります。
車中泊マットにはいくつも種類があるので、その中からできるだけ厚みや弾力のあるものを選ぶことでイグニス車内の凹凸ぐらいであれば十分対策できるでしょう。
もう1つ必要なものは車内の遮光アイテムなのですが、これはウインドウがそのままだと車中泊の途中に外の街灯の光や他の車のヘッドライトの光が気になることを防ぐためのものです。
遮光アイテムがあるとないとでは快適に寝られるかどうかが大きく変わってくるので、車中泊アイテムとして販売されている遮光カーテンや遮光ボードなどを揃えておきましょう。
遮光ボードには大きなサイズの汎用品もありますので、これを自分で加工するなどすると費用を抑えることもできます。
この他にも車中泊に使えるアイテムは非常に多いのですが、イグニスは車内でコンセントが使えるので選択肢の幅が広がります。
車中泊の注意点
車中泊ではいろいろな条件や準備が必要ではありますが、そのほかに注意点があります。
その注意点というのは車内の換気をしっかり行うことなのですが、もし車内のウインドウを完全に締め切った状態で車中泊を行うとかなり密閉度の高い中でねることになります。
その際に一晩車内で過ごしたりすると朝起きた時に息苦しさを感じたり汗をかいていたりするのですが、これは車内の空気を呼吸で消費して二酸化炭素濃度が増えたためです。
これを防いで快適に寝るためには車内をしっかり換気する必要があり、一番簡単なのは窓を空けておくことです。
ですが窓が空いているとそこから虫が入ってきたり外の音がよく聞こえてしまったりするので、窓を占めながら換気する方法としてエアコンを活用しましょう。
エアコンには外気循環モードという外の空気を取り込む機能があるのでこれを使えば車内の空気を入れ替えでき、さらにエアコンなので温度管理も出来て一石二鳥です。
なおエアコンを動かしている時にはエンジンはアイドリング状態にしておく必要があり、その際は燃料の残量にも注意しましょう。
ただしアイドリング時に急な積雪などで排気管がつまったりすると排気ガス逆流の危険がありますので、そういったシーンが想定される時には窓は空けておいたほうが安全です。
イグニスの車中泊に向かない点
イグニスはコンパクトカーとしてはかなり車中泊向けの車とはいえますが、次のような点はすこし不便な点でもあります。
室内高はそこそこで少し窮屈感がある
イグニスは車内に広々とした寝台が設定できるコンパクトカーとしては珍しい車なのですが、室内の高さは普通なので圧倒的な広さというわけではありません。
イグニスはコンパクトカーとしては多少車高を高く設定されている車なのですが、SUVライクなデザインを作るために最低地上高などが多少高めです。
そのため車室内の高さはそこまで大きいわけではなく、1,250mmという室内高は窮屈さはないサイズですがミニバンやトールワゴンに比べれば控えめなサイズです。
もちろん室内で座っている時には全く窮屈感はないのですが、車中泊時には少し気になる点があります。
イグニスの車内で寝る時にはフルフラットの寝台としますが、その際高さはラゲッジスペースの高さぐらいになるので上下には700mmぐらいのスペースとなります。
さらにその上に車中泊マットなどを敷き詰めてあり上下のサイズはもっと近くなっており、仰向けで寝る分には大丈夫なのですが寝台の上で体を起こすには窮屈です。
また横向きで寝たり寝返りをしたりするときにも窮屈で、さすがにミニバンなどのように圧倒的な広さは確保できないでしょう。
しかしイグニスのサイズであればこの程度であれば仕方ない面ではあり、車内でキャンプのような過ごし方をしないのであれば大丈夫です。
シートアレンジで段差や凹凸が多い
イグニスのシートアレンジでは前席からラゲッジスペースの後端までが寝台と出来るのですが、その間は完全なフルフラットではなく段差や凹凸があります。
イグニスのフルフラットモードでは後部座席は収納するとその上面がフラットにはなるのですが、その面とラゲッジスペースの上面はフラットではなくラゲッジスペース側が多少低くなっています。
これはシートの構造的にしかたない面ではあり段差自体も非常に小さいのですが、快適に寝るためにはこの段差はなくしたいところです。
その手段としては前述した車中泊マットを使ってもよいのですが、専用の段差吸収ボードなどを設置しても対策は出来ます。
もう1つは前席にあるのですが、前席はシートそのものの上面が寝台の上面となっており、もともとあるシートのホールド性を高める形状などが凹凸になってしまっています。
この凹凸もそのままだとちょっと寝る上では気になる点であり、こちらも車中泊マットの厚みや弾力で吸収することはできます。
また前席シートは左右に分割してあるのでその間には隙間やサイドボックスなどがあるのですが、そういった段差も吸収できる幅広の車中泊マットがよいでしょう。
イグニスの車中泊の口コミ・評判
イグニスの車中泊についてはtwitter上にもいろいろな評判があがっていますが、その中から2つご紹介しましょう。
イグニスの車中泊装備
無理矢理フラットな空間を作り出す pic.twitter.com/ZswosfWVrG— えーきち (@MR_2_AW11) November 2, 2017
こちらの方はイグニスの車内に寝台を作る写真をあげられていますが、寝台の前から後ろまでをカバーできるような車中泊マットを敷き詰めてあります。
これなら多少の段差や凹凸があっても全く気にすること無く吸収することができ、フルフラットな寝台が作れるのです。
182の俺でもイグニスで足伸ばして寝られる!!
車中泊できる!!— SHUN (@MiyaMotorcycle) September 24, 2018
こちらの方はなんと182cmもある身長の高い方なのですが、その身長でもイグニスで足を伸ばして寝られたそうです。
コンパクトカーでこれほどの車内スペースが確保できるというのは非常に珍しい車種であり、イグニスの大きなメリットです。
総評
イグニスはコンパクトカーの中でも力強いデザインとSUVらしいスポーティさで存在感のある車で、小さい車ながら満足感のある車です。
そんなイグニスは車中泊に対しても非常に良好な性能を持っており、車内でしっかり快適に寝ることの出来るコンパクトカーは非常に少ないので貴重です。
価格も控えめで普段使いも便利なので、車中泊のエントリーモデルとしてこれほど最適なものはないでしょう。