スズキ ワゴンRはスズキの軽自動車で、車高の高いトールワゴンという車種です。
今回はそんなワゴンRでの車中泊についてご説明していきます。
ワゴンRの車中泊が快適な理由
スズキは軽自動車のラインナップが非常に豊富なメーカーですが、そんなスズキの軽自動車で最も有名といっても良いのがワゴンRです。
ワゴンRはトールワゴンタイプの軽自動車で、一般的なコンパクトカーやセダンに比べると車高が高くなっています。
車内を広くするためのこの形態はワゴンRが始めたといってもよく、1990年代にワゴンRが登場したときにはその圧倒的な車内の広さから大人気となりました。
現在ではもっと車高の高い軽自動車も登場していますがワゴンRも相変わらず人気があり、最新モデルでは燃費の良いハイブリッドモデルがメインとなって性能が良くなっています。
近年ワゴンタイプの車の利用方法の一つとして車中泊というものが注目されており、これは旅行の際にホテルや旅館に宿泊したりする代わりに車の車内で一晩を過ごす利用法です。
またキャンプの代わりとしても注目されており、普通の宿泊方法より費用を控えめにできる点がメリットで大人気となっています。
軽自動車では車のサイズが小さいことからあまり車中泊がやりやすい車ではないのですが、ワゴンRのようなトールワゴンでは車内が広いことから注目されています。
では実際にワゴンRのサイズ感で車中泊が可能かどうかを見るために、まずはワゴンRの各部寸法をご紹介しましょう。
スペック | ワゴンR | |
価格 | 1,098,900円〜1,544,400円 | |
乗車定員 | 4名 | |
全長 | 3,395mm | |
全幅 | 1,475mm | |
全高 | 1,650mm | |
室内長 | 2,450mm | |
室内幅 | 1,355mm | |
室内高 | 1,265mm | |
ラゲッジルーム | 高さ | 840mm |
幅 | 1,165mm | |
奥行き | 280mm | |
運転席寸法 | 高さ | 約1,100mm |
幅 | 約500mm | |
奥行き | 約1,000mm | |
助手席寸法 | 高さ | 約1,100mm |
幅 | 約500mm | |
奥行き | 約1,000mm | |
後席寸法 | 高さ | 約1,100mm |
幅 | 約1,200mm | |
奥行き | 約1,000mm | |
3列目寸法 | 高さ | 3列目シートなし |
幅 | ||
奥行き |
軽自動車は軽自動車の規格でその外観サイズが規制されており、日本の狭い道でも扱いやすいサイズ感となっています。
ワゴンRの全長と全幅は軽自動車規格ギリギリである3,395mmと1,475mmとなっていますが、これに関しては他の軽自動車も同様であり最大限車内を広くしてあります。
ですが全高については軽自動車規格は2,000mmまでとなっていて規制がゆるいので、ワゴンRは1,650mmと軽自動車としては高めに設定されています。
車内のサイズについては広々とした室内高が特徴で、全高の高さを活かして1,265mmと頭上空間にゆとりがあるものとなっています。
一方で室内長や室内幅は軽自動車なので限界があるサイズなのですが、それでも室内長が2,450mmと非常に長いサイズを確保できています。
その分ラゲッジスペースの前後のスペースは280mmと小さくなっていますが、車内のシートアレンジでラゲッジスペースは広げることができます。
このように軽自動車として広々とした車内を持っているワゴンRでは車中泊も可能となっており、次のような点がメリットとなります。
シートアレンジで車内をフルフラットにできる
まず何よりワゴンRでの車中泊で最大のメリットは車内をほぼ完全なフルフラットにできる点で、軽自動車でこのレイアウトが取れる車は珍しいです。
車中泊をする上で最も重要な点は車内で寝ることができる寝台を作り出すことなのですが、その寝台の形としては自宅と同じようなフルフラットな空間が最もベストです。
ですが車の車内というのは結構凹凸や段差が多いのが当たり前で、サイズ制限の厳しい軽自動車では特にそういった傾向があります。
軽自動車では車内のサイズが狭くなったことで足を伸ばして寝られない場合もあり、快適性がイマイチな場合も多いです。
ですがワゴンRは車内のシートレイアウトを駆使すると前席、後席、ラゲッジスペースまでほぼ完全なフルフラットにすることが可能で、軽自動車のシートレイアウトとしてはかなりしっかりしたものとなります。
多少途中に凹凸や段差はあるものの、車の車内スペースのほぼすべてを車中泊の空間として活用することが出来て、軽自動車で車中泊をする上では理想的な車と言えるでしょう。
また助手席側だけでなく運転席側もフルフラットにできるので、車内を最大限活用できます。
寝台の前後の寸法が快適なサイズ感
そんなワゴンRでのフルフラットモードは前後のサイズもとても広々としており、車中泊に十分すぎるスペースになっています。
車中泊では寝台がフラットになっていることはもちろん必要ですが、その他にその寝台の前後のサイズも非常に重要です。
前後サイズがあまり小さいと寝るときに足をしっかり伸ばして寝ることが出来ず、足を曲げるなど非常に寝苦しい体制を強いられることになります。
また前後サイズが1,700mmぐらいしかないと170cmの身長の人ではギリギリすぎるサイズであり、足を伸ばせたとしても実際に寝るときには結構窮屈さがあって寝苦しいものとなります。
ワゴンRのフルフラットモードは前席からラゲッジスペースまでの車内ほぼすべてをフラットに出来ますので、その前後のサイズは2,000mm〜2,300mmぐらいは活用できる広々としたものとなっています。
これだけのスペースを車中泊用の寝台として使えるのは普通車でも珍しく、中型ミニバンクラスでなければこれほどの前後サイズを確保できません。
この前後のサイズがあれば身長の高い人でもしっかりと足を伸ばして寝ることが可能であり、頭上や足元の空間にもかなりのゆとりがあるので快適性は高いでしょう。
2名までなら寝られる横幅がある
ワゴンRの車内は前後のスペースは非常に広々としているのですが、横幅に関しては軽自動車として標準的なものではありますが車中泊には十分です。
ワゴンRは車の全幅が軽自動車規格で規制されていて1,475mmと普通車に対して大幅に小さなサイズになっています。
そのため車内のサイズも車内幅に対しての規制は厳しいものとなっており、室内長や室内高に対して室内幅が一番狭くならざるをえないのです。
そのため軽自動車は車内の乗車定員が4名となっており、後席も横に一人ずつ座る形になります。それでもワゴンRの室内幅は1,355mmと最大限の広さが確保されており、スクエアボディのワゴンデザインを活かしたスペックとなっています。
ですが車中泊ではこれだけの室内幅があれば十分であり、フルフラットモードにしたときでも車内の横幅は1,300mmぐらいは活用できます。
ラゲッジスペースの部分はタイヤハウスなどで1,100mmぐらいになってはしまいますが、これだけのサイズがあれば横並びに一人ずつはしっかり寝ることができます。
そのため軽自動車1台でも2人旅行や夫婦での旅行などに車中泊が使えるので、利便性はなかなか高いです。
ゆとりのある室内高で快適性が高い
ワゴンRは車の特徴として車高が高い点があり、車内高も高いので車中泊に便利な点です。
ワゴンRに室内高は1,265mmと結構高めのサイズ感で、シートに座ったときの頭上空間にはかなりゆとりがあります。
近年はもっと車高の高いスーパーハイトワゴンという車種も出てきてワゴンRより室内高の高い車も増えてきていますが、それでもワゴンRでも広々とはしています。
シートの頭上空間だけでなくラゲッジスペースの上も広くなっているので大きな荷物を上下方向に積み込むことも出来ます。
車中泊の際にもこの室内高の高さは大きなメリットで、寝台の上で寝たときにでも上下のスペースは800mmぐらい確保できます。
実際には車中泊マットを敷くのでもう少しスペースは小さくなりますが、これだけ高さがあれば寝台の上で身体を起こすことはできるでしょう。
そのため寝ているときに寝返りを打つのも楽ですし、多少であれば寝台の上で飲食をしたり遊んだりすることもできるでしょう。
軽自動車は車中泊でも車内が狭くて窮屈というイメージがあるのですが、ワゴンRに関してはそういったイメージは完全に払拭できるでしょう。
車中泊に活用できる純正アクセサリーがある
ワゴンRにはさまざまな純正アクセサリー装備が用意されているのですが、その中には車中泊に活用できるアクセサリーもたくさんあります。
まず車中泊に必須ともいえる車中泊マットが純正アクセサリーに設定されているのがすごい点で、普通車ならまだしも軽自動車であるワゴンRに設定されているのは驚くべきことです。
このアクセサリーは「ベッドクッション」というもので、まさに車中泊のために用意された寝台の上に敷くクッションとなります。これがあると車中泊の快適性が大幅に改善されて寝心地が良くなるのでぜひ導入すると良いです。
またその他には車内を遮光するためのプライバシーシェードがあり、これは「フロントプライバシーシェード(メッシュ付)」と「リアプライバシーシェード(メッシュ付)」があります。
車中泊の際には車内に外から光が入ってこないようにする必要があり、このプライバシーシェードは非常に重要なアイテムとなります。
この2つのアクセサリーを導入すればワゴンRのウインドウ全体を遮光することが可能となり、またメッシュもついていて窓を空けての換気ができる高機能なものとなります。
またこの他に車中泊で昼間などに使えるバックドアタープやカーテンというアクセサリーもあり、キャンプ用の車ではないワゴンRながら非常に豊富な車中泊用アクセサリーはワゴンRの魅力でしょう。
なおこれら純正アクセサリーはワゴンRの購入時にももちろん購入できますが、購入後であっても単体で注文することも可能なのであとから車中泊をしたくなっても揃えることができます。
ワゴンRで車中泊をする方法
では実際にワゴンRで車中泊をする方法をご紹介しましょう。
車内のフルフラット化
まずワゴンRの車内に車中泊用のフルフラットな寝台をつくるところから準備が始まりますが、これはワゴンRのシートアレンジの一つとなります。
ワゴンRは軽自動車ながら車内を様々な形にシートアレンジすることができる車で、軽自動車はラゲッジスペースがどうしても小さくなるのでそれを補うためのモードがいくつもあります。
ワゴンRでは後部座席を使用した状態だとラゲッジスペースの前後の寸法がかなり小さいのですが、この後部座席は前側へ収納することが可能となっており、レバー操作でシートと背もたれを格納しておけます。
この際にはヘッドレストは取り外す必要がありますが、この収納でラゲッジスペースとほぼフラットとなります。
また前席に関しては収納するような構造では無いのですが、シートを一番前までスライドさせた状態で背もたれを後ろに倒すと、ちょうど折りたたんだ後席の上面とつながるようなレイアウトを取れます。
このときも前席のヘッドレストは取り外さなければなりませんが、ワゴンRは設計段階からこのレイアウトを考慮した設計がなされているため、車内の全域に渡ってフルフラットな空間を作り出すことができるのです。
実際には特に前席側に後ほどご説明するような段差はあるのですが、軽自動車のシートアレンジとしてはかなり優秀なレイアウトといえるでしょう。
車中泊アイテムの準備
車内がフルフラットモードになったあとはさまざまな車中泊アイテムを装着して車中泊の準備をすることです。
車中泊に必須なアイテムは前述でもご説明しましたが、車中泊マットや遮光用のボードやカーテンは必須です。
このうち車中泊マットに関してはワゴンR純正のベッドクッションを導入しても良いですが、その他に社外品の車中泊マットも多数販売されているのでそちらから選んでも良いでしょう。
メーカー純正品は装着性は良いのですがどうしても価格が高めなので、費用を抑えたいのであれば社外品で手頃なのを探すのがおすすめです。
また遮光アイテムについても社外品の遮光ボードや遮光カーテンを組み合わせてもよいのですが、こちらに関しては装着性と遮光性についてはワゴンR純正のプライバシーシェードが特に優れています。
社外品は価格が控えめではあるものの必ずしもワゴンR専用とはなっていないものもあるので、どうしても装着したときに隙間などが生まれることがあるからです。
ですが汎用品の遮光ボードなどを自分で加工してぴったりウインドウに設置できるようにすれば、費用を抑えつつ装着性の良いものにはなるでしょう。
なお車中泊マットに関してはそれだけではフルフラットモードの段差はあまり解消されないので、段差解消用の底上げができるものがあると良いでしょう。
車中泊の注意点
車中泊にはフルフラットな寝台やアイテムなど重要なものがありますが、その他に注意点もあります。
その注意点とは車内の換気をしっかり行うことなのですが、もし換気をせずに窓を締め切った状態で寝ると問題があります。
一度その状態で一晩寝てみるとよくわかるのですが、一晩車内で過ごして朝起きると息苦しさを感じたり汗をかいたりします。
それは寝ている間に車内の空気を消費して二酸化炭素が増えているからで、これを防ぐために換気が重要なのです。
換気を簡単に行うのであれば窓を少しでも空けておけばよいのですが、その状態では外から虫が入ってきたり音が入ってきたりします。
そのため一番楽なのはエアコンを一晩中稼働させておくことで、外気循環モードで換気しながらエアコンで温度管理もできるので楽です。
なおこのときにはバッテリーがあがるのを防ぐためにエンジンはアイドリング状態にしておく必要があり、燃料の残量も注意しましょう。
ただしアイドリング時に積雪などで排気管が詰まると排気ガスの逆流の問題などがあるので、そういったシーンでは窓も空けておくほうが安全です。
ワゴンRの車中泊に向かない点
ワゴンRは軽自動車にしてはかなり車中泊に向いている車なのですが、次のような点は多少向かない点といえるでしょう。
車内に段差がある
ワゴンRは車内をほぼ完全なフルフラットモードにすることができるのですが、その形状は完全な平らではなく段差が結構あります。
まず小さな段差が生まれるのは後席とラゲッジスペースの間で、ここは収納した後席の上面とラゲッジスペースでフルフラットになっている点です。
この部分はシートの構造的にどうしても凹凸が出てきてしまう点なのですが、その高さはほとんどなく車中泊の寝台としてはそんなに気になる部分ではありません。
そのためここの段差は車中泊マットであればしっかり吸収することができるので、実際に問題にはなりません。
ですがもう一つの段差は結構大きいものであり、これは前席の背もたれと座面の間で生まれます。
前席に関してはシートのリクライニング機能を使って背もたれを倒しているので、シートの形状的に座面との間は段差は生まれます。
この段差は高さも背もたれの厚み分ぐらいあるので大きなものとなっており、快適な寝台とするためにはこの段差を吸収したほうが良いです。
車中泊用の段差吸収アイテムは社外品として様々なものが販売されていますので、その中からちょうどよい高さのものを探すと良いでしょう。
車内のコンセントアクセサリーがない
ワゴンRには車内に設定できるコンセントのアクセサリーがなく、家電製品を使うことができないのが不便な点です。
近年は軽自動車であっても車内のコンセントアクセサリーの設定があり、100V 100W程度の容量のコンセントが使えるようになっています。
これは車中泊の時にも結構便利な装備で、車内でちょっとした家電製品なら使えるようになるからです。
キャンプのような宿泊をする車中泊ですが、電気が使えるというのは普通のキャンプと大きく変わる点であり、さまざまな電気製品の組み合わせで面白い使い方もできるでしょう。
ですが現行のワゴンRにはこういったコンセントの設定はなく、車内で家電製品は使えません。前型モデルまでは設定もあったのですが現行型では廃止されており、車中泊としてみると不便になっていますね。
ワゴンRは現行型でハイブリッドメインのモデルとなったので、そのバッテリー容量を活かしてコンセントは欲しかったとことです。
車中泊スペースを取られて荷室が少ない
ワゴンRは車内のほぼすべてのスペースを車中泊用として利用できるのですが、その代わりに荷室のスペースがなくなっています。
ワゴンRの車中泊には前席、後席、ラゲッジスペースまでの車内をフルフラットモードにして寝台を構成しますが、その際ラゲッジスペースもなくなっているので元々の荷室がなくなります。
そもそもワゴンRの荷室が小さいことはありますが、車中泊は旅行の際に利用するのが一般的なので、その荷物の量はだいたい多めでしょう。
またキャンプなどの代わりで車中泊をするのであればキャンプ用品の置き場なども必要で、車内のスペースが少ないのはちょっと問題です。
しかしワゴンRの寝台の前後寸法は寝る人の身長に対して結構ゆとりがあり、ある程度の大きさの荷物であれば足元や頭の上に置くことはできます。
またその他にはダッシュボードの上なども荷室代わりとなりますが、大きな荷物となると車内に積み込むのは難しいでしょう。
そのため車中泊をする前に自宅などで一度寝台を構成してみるとよく、荷物の量や大きさを底で調整してみると良いでしょう。
ワゴンRの車中泊の口コミ・評判
ワゴンRの車中泊についてはtwitterにもさまざまな評判が投稿されており、その中からいくつかご紹介します。
是非ワゴンR乗りの方仲良くしてください!!!ワゴンRを狭いとは言わせない!😗快適空間を目指して車中泊を時折しています🌱✨ pic.twitter.com/jV3woRLNWP
— とみお (@Vay_FLAT) September 20, 2020
こちらの方はワゴンRの車内を快適な車中泊仕様にしておられ、とても楽しんでおられますね。中でも寝台はボードなどで完全なフルフラットになっており、寝やすい車内となっています。
ワゴンRも助手席ほぼフラットで眠れる
というかそれだけで車中泊して日本一周してる最中 #vl954— 悪胡瓜(旅モード) (@walkyurie) October 2, 2020
こちらの方はなんとワゴンRの車中泊で日本一周をされているそうで、軽自動車でそういった旅ができるのは驚きですね。
軽自動車ではなかなかこういった快適な旅は過ごせないのですが、ワゴンRの車内の広さがそれを可能にしているのでしょう。
総評
ワゴンRは軽自動車の中では車内が広くとても便利な車で、さまざまな点でバランスの良い車です。
その使い勝手の良さは車中泊でもしっかり発揮されており、車内のシートレイアウトが優秀なためかなり快適な車中泊が可能でしょう。