CX-5はマツダの中型クロスオーバーSUVで、新時代のマツダを象徴する車の1つです。
今回はそんなCX-5の故障に関してご説明します。
CX-5の故障率
CX-5はタイヤが大きく車高も高く悪路走破性を重視したSUVのひとつですが、車のデザインは都会的な乗用車風のクロスオーバーSUVというタイプになります。
クロスオーバーSUVは2000年頃から世界的に人気の高まりを見せており、現在では世界の主要メーカーはほとんどクロスオーバーSUVをラインナップしているほどです。
その中において決して大きくない中堅メーカーであるマツダのSUVが世界的に高い評価を受けており、CX-5は特に欧州でその先進的なデザインは賞を取るほどです。
CX-5は2012年に初めて登場した車ですが、そのデザインはそれまでのマツダ車とは一転して非常にスポーティなものとなり一気に上質感が増しました。
またプラットフォームも新型のSKYACTIVテクノロジーによって乗り心地や安全性能が高くなったほか、エンジンには国産車では珍しくクリーンディーゼルエンジンが設定されました。
こういった国産メーカーの中では特異な特徴を多く持つ車ですが販売は非常に好調で、2017年には2代目にフルモデルチェンジしています。
そんなCX-5の故障に関しては次の点から見ていきます。
マツダの自動車耐久品質調査
自動車の故障率はメーカーが市場の実態を調査して情報を収集しているのですが、そのデータは社外秘の機密データですので一般には公開されません。
そのため私達が車の故障や不具合についての情報を得るためにはメーカーとは別の民間調査会社の情報を参照する必要があり、中でも米国J.D.パワー社の「自動車耐久品質調査」は世界のメーカーも参考にするものです。
この調査では各国市場の新車購入をしたユーザーから3年〜5年経過時の不具合を聞き取り調査し、それをメーカーごとのランキングとしたものです。
この調査は日本市場でも毎年実施されており、以下が最新の結果となります。
ランキング | メーカー | 不具合指摘件数 |
1 | レクサス | 51 |
2 | トヨタ | 61 |
3 | ダイハツ | 73 |
4 | スバル | 77 |
5 | 日産 | 78 |
6 | ホンダ | 79 |
7 | 三菱 | 82 |
8 | スズキ | 82 |
9 | BMW | 92 |
10 | マツダ | 102 |
11 | メルセデス・ベンツ | 103 |
12 | アウディ | 104 |
このランキングではマツダは10位に位置しており、国産メーカーの中ではもっとも低い順位となっています。
これにはいくつかマツダ特有の理由があるのですが、CX-5にも関係しており後ほど故障事例の項でご紹介します。
この結果から分かるのはマツダの不具合が他メーカーより多いということであり、ポイントを見てもトップのレクサスの倍近い数字となっています。
この結果がCX-5の故障率には直結しませんが、全体的にマツダ社は故障が多いということです。
CX-5の信頼性評価
J.D.パワー社では自動車耐久品質調査のほかに北米市場の車種に限り信頼性評価の結果も公表されています。
参考 2019 Mazda CX-5 Reliability & RecallsU.S. News & World ReportCX-5は北米にも出荷されておりこの評価の対象となっており、上記の結果が2019年最新のものとなります。その評価は星5点満点の評価で星3点となっており、信頼性評価は平均的というものです。
そのため評価的には悪くないのですが、同じく北米市場での日本メーカーのSUVは星4点前後の評価が多く、それに対してはやはり信頼性が低いという形になります。
CX-5の評価も年ごとの評価で星3点〜星4点の間で推移していますが、最新の評価は少し下がったといえるでしょう。
この評価は日本市場の結果ではなく、また不具合件数の多さを表すものではありませんが、多くの日本車と比べると少し不具合は多いという傾向がわかるでしょう。
中古のCX-5の故障しやすさ
CX-5は2012年から発売されていることから中古車市場にも多くのCX-5があり、その状態も様々です。そのため故障に対しても車の状態を見極めるのが重要です。
中古車の状態を表すものの最たるものとして年式と走行距離がありますが、国産車の寿命として考えられている数字は年式10年以上、もしくは走行距離100,000km以上といわれています。
車の主要部品がこの数値を設計基準として作られているからなのであり、これを超えると一気に故障が増加します。
CX-5もこの点では同様なのですが、年式に関してはCX-5は初期型でも7年までしか経過していないので、もっとも古くても経年劣化が進みすぎているということはないでしょう。
ですが走行距離に関しては車によって状態はさまざまで、故障が増えてくる80,000km〜100,000km以上の中古車はできるだけ避けたほうがよいでしょう。
また2017年にフルモデルチェンジした現行型のCX-5であれば年式も走行距離も状態の良い中古車がほとんどですが、その分新しいということで価格は高めです。
CX-5オーナーの評判
CX-5の故障に関してはオーナーの方々からもさまざまな情報が出てきており、特にディーゼルエンジン関係のものが多く見られます。
インジェクターのプラグホール内部に煤が堆積してオイルがうまく循環してなかったのが、エンジン故障の原因のようだ。
結局、無償でエンジン載せ替えて貰える事になり、泣きっ面に蜂にならなくて良かった。
マツダディーゼルの煤問題、どうにかならないかな。#CX5 #マツダ#mazdacx5— maltholic (@KnskFjmt) June 17, 2018
マツダは国産メーカーでは唯一ディーゼルエンジンを数多くラインナップしているメーカーで大きな人気があるのですが、一方でエンジン関連のトラブルが多く起こっています。
その中でもこの方のおっしゃってる煤関連のものが多く、リコールにも繋がっているのです。
家のcx-5は14万kmっすけど
今の所故障等ないっすね(•’-‘•)
インテークの中はカーボンだらけやと思いますが(´._.`)— yasu (@nagato_dom77) May 9, 2017
こちらの方のCX-5はもう140,000kmもの長い距離を走行していらっしゃいますが、その間故障はなかったそうで、すべてのCX-5が故障が多いわけではないようです。
ですがそれはメンテナンスや部品交換を適正に行ってきた結果であり、特にディーゼルエンジン車には重要です。
#マツダ #CX5 #オルタネータ 6ヶ月点検後翌日に故障🤨購入後7年目、7万キロ。こんなもん?点検翌日に故障って、なんか釈然としない。
— AKおじさん (@Akihideku) January 21, 2019
こちらの方のCX-5もエンジン関連の故障に見舞われていますが、部位はオルタネーターという発電機の部分で確かに故障しやすい部位の1つです。
7年目で70,000km走行なら一般的な乗り方を続けてこられたわけですが、それでもこういった交換が必要な部品はどうしても出てきます。
CX-5の故障事例
CX-5の故障事例はさまざまなものがあるのですが、その中から代表的なものをご紹介しましょう。
クリーンディーゼルエンジン関連のトラブル
まずCX-5の代表的なトラブルとして多いのはクリーンディーゼルエンジン関連のものです。
クリーンディーゼルエンジンはマツダが何より力を入れている技術の1つで、従来のガソリンエンジンよりも低燃費かつCO2排出量が少ないという特徴があります。
そのためマツダはこのエンジンを環境対応の中核に位置づけており、CX-5を始めとしてほとんどの車種に搭載モデルを設定しています。
ディーゼルエンジンの持つ低速トルクの高さなども魅力となりマツダ車はクリーンディーゼルエンジンを選択する人が多いのですが、クリーンディーゼルエンジンは発売直後からさまざまなトラブルが発生しており、リコールも何度も起こっています。
詳しくは別の記事でご説明しているのですが、その最大の原因はディーゼルエンジンが排出するPMと呼ばれる微粒炭素の煤です。
有害物質であるPMを外部に排出しないためにクリーンディーゼルエンジンは排出抑制のための技術や、フィルターによるPMの回収などを行っています。
ですがそのPMがエンジン内部に過剰に堆積したり、フィルターの詰まりが限界に達したりするとエンジンが停止したり、出力やトルクが低下します。
そうすると車の走行が不可能になったりエンジン警告灯が点灯したりと故障した状態になりますので、修理が必要となります。
マツダではこれらのトラブルに対して何度もリコールで対応しているものの、完全には解決しておらず前述のツイッターにもあるようにPMの問題は起こる可能性があります。
保証期間内であれば無償修理の対象となることがほとんどですが、中古車などで保証対象外となっている場合は数十万円規模の修理費用が発生します。そのためできるだけ中古車でも保証は付けていたほうが良いでしょう。
またこのトラブルにあわないためにはガソリンエンジンモデルを選択することが1つの方法です。
補機関連の故障
これもエンジン関連のトラブルですが、補機に関してはクリーンディーゼルエンジンだけでなくガソリンエンジンでも起こる故障で、補機と呼ばれるエンジン関連部品の故障です。
補機はエンジンの動力で作動する機器のことで、代表的なものには発電機であるオルタネーターやエアコンのコンプレッサーなどがあります。
またディーゼルエンジン車の場合はバキュームポンプなども補機のひとつですが、これらはエンジンとベルトで繋がっており高速回転することで作動しています。
補機の故障の多くはこの回転部分に起こり、特に回転部分のベアリングの劣化でガタが起こって異音や異常振動が発生します。
また他には電気系統の故障によるトラブルもありますが、これらのほとんどは経年劣化によるものであり、特に車の走行距離が増えることで起こります。
そのため補機の殆どは定期交換部品に指定されており、走行距離80,000km〜100,000kmぐらいで交換が必要となります。
部品交換には補機一種類あたりで数万円から100,000円前後で、関連部品も一緒に交換することが多いです。
また走行距離が少なくても車によっては故障することもあり、前述のツイッターにあるように70,000km程度で故障する場合もあります。
パワーウインドウのトラブル
CX-5ではエンジン関連のトラブルが多いのですが、車両関連のトラブルではパワーウインドウがよく挙げられます。
パワーウインドウは窓ガラスを電動で上下するシステムで、電動モーターによって作動するパワーウインドウレギュレーターで重たい窓ガラスを動かしています。
ですが経年劣化によって電動モーターや樹脂部品などが破損するとパワーウインドウを上げることが不可能となり、結果「窓落ち」と呼ばれる窓ガラスがずっと下がった状態になってしまいます。
その状態では当然ながら雨漏りの問題や防犯上の問題があり修理が必要となりますが、修理にはパワーウインドウレギュレーターの交換が必要で、修理費用は100,000円前後となります。
またこのトラブルが発生しやすいのはやはり年式が10年、もしくは走行距離が100,000kmに近づいた車であり、中古車などでは注意が必要な点の1つです。
国産車は輸入車に比べればパワーウインドウレギュレーターのトラブルは少ないですが、マツダは国産車の中では比較的発生頻度が多いようです。
CX-5は買っても大丈夫か?
CX-5はそのデザインのシャープさや上質感の高さ、取り回しの良さなどでクロスオーバーSUVとしては非常に魅力的な車の一つです。
またクリーンディーゼルエンジンは国産メーカーではマツダが唯一といって良い導入状況であり、エンジン自体の特徴も相まってCX-5は面白い車なのです。
ですが故障に関してはやはりクリーンディーゼルエンジンのトラブルが際立って多く、マツダ車のクリーンディーゼルエンジン搭載車全てに関わるものです。
それでもこのエンジンは魅力的であり、トラブルを起こさないためにはマツダが推奨する正しいクリーンディーゼルエンジン車の乗り方を守ることが何よりの方法です。
またもう一つはガソリンエンジンモデルを選ぶことでも故障は少なくすることができますので、ぜひディーラーなどで詳しいことを聞いてどちらにするか選ぶと良いでしょう。