ホンダ インサイトはハイブリッド専用モデルの低燃費車で、ホンダを代表する環境対応車の一つとなっています。
今回はそんなインサイトの故障率に関してご説明します。
インサイトの故障率
インサイトは日本を代表するハイブリッドカーのひとつで、世界的に有名なトヨタ プリウスと同時期に登場したハイブリッド専用車となります。
現行のインサイトは3代目となりますが、現行車は2018年に登場した比較的新しい車となっています。
前型車の2代目インサイトは2009年に登場しましたが2014年には生産終了となっており、そこから4年の空白期間を空けての新車発売となっています。
インサイトはハイブリッド専用車となっており、燃費性能を非常に重視した設計となっています。そのため強力な電動モーターシステムと大型の駆動用バッテリー、高効率のエンジンを搭載しており、静かさや維持費の安さなどが大きな魅力となっています。
そんなインサイトの故障に関しては次のような点で見ることが出来ます。
ホンダの耐久品質調査結果
車の故障率というものは基本的にはメーカーの社外秘情報であり、一般には決して公表されないものです。
そのため正確な故障率というのは詳しく知ることが出来ないのですが、メーカーとは別に民間調査会社が調べた故障件数の調査があります。
米国J.D.パワー社は世界有数の調査専門会社で、その調査の一つに「自動車耐久品質調査」というものがあります。
これは各国市場の自動車ユーザーから不具合件数を独自に集計し、それをメーカーごとのランキングとしてまとめたものとなります。
このランキングは毎年調査結果が公表されており、車種単体ではありませんがどのメーカーの信頼性が高いかを比較することが出来ます。
以下の結果は2018年の調査結果となっており、日本市場の最新の結果となっています。
ランキング | メーカー | 不具合指摘件数 |
1 | レクサス | 51 |
2 | トヨタ | 61 |
3 | ダイハツ | 73 |
4 | スバル | 77 |
5 | 日産 | 78 |
6 | ホンダ | 79 |
7 | 三菱 | 82 |
8 | スズキ | 82 |
9 | BMW | 92 |
10 | マツダ | 102 |
11 | メルセデス・ベンツ | 103 |
12 | アウディ | 104 |
この結果からホンダは国内で6位となっており、不具合件数としてはトップのトヨタグループ勢とは少し離されています。
ですが日産とはほぼ同等の結果となっており、そこまでひどく故障が多いというわけではありません。
年度によってホンダの順位は上下していますが、おおよそ上記ぐらいの順位となっています。
インサイトの初期品質調査結果
J.D.パワー車は耐久品質調査のほかにも初期品質調査という調査を公表しており、これは新車発売直後の車種ごとの不具合の少なさをランキングしています。
現行車のインサイトは2018年発売ということもあって、まだこの調査の対象になっていないことから初期品質調査結果にのっていません。
しかし前型車であれば北米の2011年の調査結果に乗っており、以下の結果を参照します。(当時日本市場での調査はありませんでした。)
参考 2011 IQS Ranking HighlightsJ.D. Powerこの調査でインサイトはコンパクトカーのカテゴリーに属していますが、調査結果では同じホンダのシビックとタイ結果でインサイトがトップになっています。
ハイブリッド車のライバルであるトヨタ プリウスはインサイトに次ぐランキングに位置しており、当時のインサイトの初期品質はプリウスより多少上だったのです。
この結果はあくまで新車発売直後の信頼性に関してなので、数年経過した後の不具合件数とは少し違っていますが、それでもインサイトの信頼性はかなり高いことはわかります。
中古のインサイトの故障しやすさ
インサイトは現行型で3代目になっており、初期型は1999年発売ということでかなり昔の車になっています。そのため中古車も数多く市場に出回っており、その状態によっては故障の多い個体もあります。
基本的にはインサイトの信頼性の考え方は普通の車と全く同じであり、年式と走行距離によっておおよそ目安があります。
年式は10年以上、もしくは走行距離100,000km以上がひとつの車の寿命と考えられるものであり、およそ年式5年もしくは走行距離50,000km以内の中古車が状態が良いといえます。
一方で年式が古くなったり走行距離が増えた中古車はそれに応じて故障も増えていく傾向にあり、それはインサイトでもかわりません。
またインサイトの中古車ならではの問題としてハイブリッドシステム自体の故障があり、とくに駆動用バッテリーの劣化はインサイトの中古車を選ぶ際にもっとも気にする点です。
バッテリーは走行距離によって少しずつ劣化していくものであり、中古車で100,000km以上走行している車はいつバッテリーが劣化によって作動不良が起こってもおかしくありません。
修理には駆動用バッテリーを交換しなければなりませんが、費用は150,000円〜200,000円もかかる高額なものになってしまいます。
ほかにも同じ程度の年式や走行距離で、ほかのハイブリッドシステムにも不具合が出る場合がありますので、それらを避けるためにもできるだけ新しい中古車を選ぶ必要があります。
インサイトオーナーの評判
インサイトの故障に関してはTwitterにもいくつか評判がのっていますので、その中からご紹介しましょう。
インサイト、来月には10万キロ到達だ。これまでノートラブル。10万キロ超えると、どんな車でもしょうもない故障はつきものだからなぁ…
— 人生の黄昏 (@yuki76y) October 26, 2016
こちらの方は100,000kmもの長い距離をインサイトを乗り続けていらっしゃいますが、それまでノートラブルということでしっかりした信頼性を見せておられます。
ですがやはり100,000kmを超えると故障が不安になるためその先どうするか考えていらっしゃいますが、乗り換えるのが現実的な選択といえるでしょう。
愛車インサイトついに致命的故障。。
修理見積34万て。。(笑)しかない。15万キロ目前で手放すか。(泣)— なわちゃん (@nawachan55) August 15, 2010
こちらの方はインサイトをさらに長い距離乗り続けていらっしゃいますが、150,000kmまで走行して非常に重大なトラブルが起こったようです。
修理費が340,000円ということでどうやらハイブリッドシステム関連のトラブルだと思われますが、こうなると乗り換えるしかありませんね。
そういや、知人が乗ってるインサイトも19万キロ走って故障無しとか言うてたから、日本車はすげーよな。
— ☔NKPMとイッパイアッテナ🐌 (@KPtan2) April 18, 2017
走行距離の多さから故障の増えるインサイトも少なくない中、こちらの方の知人は190,000kmも走行したにもかかわらず故障なしということで、非常に高い信頼性を持っています。
しかし何もやらずに故障なしというわけではなく、適切なメンテナンスがあってこそです。
インサイトの故障事例
インサイトは前述の通り故障の多い車種ではありませんが、それでも全く故障がないということはなく、次のような故障事例があります。
ハイブリッドシステムの故障
まずインサイトの中核といえるハイブリッドシステムの故障ですが、前述したようにハイブリッドシステムの修理は高額修理なものが多く、100,000円〜200,000円かかるものがあります。
ハイブリッドシステムは大きく分けて3種類の部品で構成されており、駆動用の電動モーター、インバータ、駆動用バッテリーから成り立っています。
これらの部品は保証距離が100,000kmで設計されており、保証距離内であれば故障が起こることはあまりありません。
ですが保証距離を超えると故障が起こる確立が高くなっていき、故障すると車の走行ができなくなるような場合もあります。
電動モーターに関してはあまり故障することはないのですが、インバータや駆動用バッテリーは故障する場合が多く、とくに駆動用バッテリーは走行距離が増えれば増えるほど劣化が進む部品です。
インバータに関しては内部の電装部品の破損によって故障に至るのですが、どちらの部品も部品代は150,000円以上かかる場合が多く、修理費用も含めると前述のTwitterにあったように300,000円近い総額になる場合もあります。
これらの故障はなにより走行距離によって起こるものですので、新車はもとより中古車は走行距離が多すぎないものを選ぶことが一番です。
エアコンコンプレッサーの故障
エアコンコンプレッサーはエアコンの冷却性能を司る中心的な部品ですが、インサイトに限らず普通の車でも定期交換に設定されており、走行距離80,000km〜100,000km程度で交換が必要となります。
しかしインサイトのエアコンコンプレッサーは特別な電動コンプレッサーとなっており、修理費用は高額となります。
普通の車のエアコンコンプレッサーも修理部品としては高額で100,000円近くかかるのですが、電動コンプレッサーはより部品代が高いものとなっており、200,000円近い修理費用が必要となります。
交換インターバルは普通のエアコンコンプレッサーとそこまで変わらず、走行距離100,000km以上で故障することが多いです。
インサイトにはこういった高額修理部品が多いので、走行距離の多い車は避けたほうが良いでしょう。
ABSの故障
インサイトで比較的報告の多い故障としてはABS(Anti-lock Brake System)で、ABSユニットの故障が原因のことが多いです。
ABSはブレーキのロックを防ぐための重要な安全部品で、油圧で作動する部品となっています。走行中にABSの警告灯が点灯したらその原因の多くはABSユニット自体にあることが多く、修理には部品交換が必要となります。
この部品も保証距離は100,000km前後ですが、車の走り方によってはもっと早い時期に故障する場合もあります。修理にはABSユニットの交換が必要で、費用は150,000円前後が必要になります。
インサイトは買っても大丈夫か?
インサイトは信頼性の観点から見ると十分良好な車であり、またハイブリッド専用車ということで非常に優秀な燃費が魅力な車です。
前述のような高額修理が必要な部品はたしかにありますが、走行距離が100,000km以上に達しなければ故障する可能性は低く、中古車などでも走行距離の少ない車を選べば十分長い年数乗り続けることができます。
ただインサイトは前述したとおり各年代のモデルが数年離れており、それに伴い中古車も古くなってくる車が増えてきています。
そのためインサイトの中古車を選ぶ際には、年式と走行距離を特に注意することをおすすめします。