小型で使い勝手の良い車の種類として、「軽自動車」と「コンパクトカー」という2種類がありますが、この2つの車の違いって詳しくはわかりませんよね。
そこでこの記事では、軽自動車とコンパクトカーのそれぞれの利点についてご説明します。
軽自動車とコンパクトカーとは?
まず初めに軽自動車とコンパクトカーとはどんな車なのかを簡単にご説明します。
軽自動車
軽自動車は日本独自の規格で、法律でサイズや排気量が厳密に定められた車です。
軽自動車として認められるには、次の6つの規格を満たしていなければならず、認められた車のみ専用の黄色いナンバープレートが交付されます。
全長 | 3,400mm(3.40m)以下 |
全幅 | 1,480mm(1.48m)以下 |
全高 | 2,000mm(2.00m)以下 |
排気量 | 660㏄以下 |
乗車定員 | 4名以下 |
貨物積載量 | 350㎏以下 |
車の最大サイズが決まっているのであまり大きな車は作れませんが、それでも普通の乗用車タイプから、背の高いトールワゴン、トラック、スポーツタイプまで、軽自動車にはさまざまな種類があります。
またエンジンの排気量は決められていますが、最高出力については法律では定められていません。しかし日本の自動車会社の自主規制によって、最高出力は64ps(馬力)に押さえられています。(現行のほとんどの軽自動車が64psです)
なお、この規格に収まっていれば海外の車でも軽自動車として登録できますが、世界からみるとかなり特殊な規格で専用設計が必要となるため、外車はほとんどありません。
現行車ではイギリスのケータハムが販売しているSEVEN 160が唯一です。
コンパクトカー
エコカーの代名詞で小型で燃費の良い車のイメージのあるコンパクトカーですが、じつはコンパクトカーにきちんとした定義はないのです。
意外に思われるかもしれませんが、「コンパクトカー」という呼び名はあくまでカテゴリーのようなものなのです。
一応コンパクトカーの一般的なサイズや排気量は次の通りとなっていますが、厳密に決められたものではありません。
全長 | ※5ナンバー サイズ | 4,200㎜程度 |
全幅 | 1,700mm程度 | |
排気量 | 1,000㏄~1,500㏄程度 | |
乗車定員 | 5名程度 |
ですのでコンパクトカーの中にはトヨタ ブレイドマスターのように排気量3,500㏄の車もあれば、875㏄のフィアット 500などもあります。
コンパクトカーの特徴としては燃費の良い、乗車定員5名のハッチバックタイプが多く、日本メーカーだけでなく海外メーカーのコンパクトカーもほとんどがハッチバックです。(一般的に小型セダンや小型トラックなどはコンパクトカーとは呼びません)
軽自動車の利点は?
では次に、軽自動車とコンパクトカー、それぞれの利点について説明しましょう。
維持費が安い
軽自動車の利点といえば、まずはこれです。燃費が良いのもありますが、それ以上に普通車に比べて税金に優遇措置があります。
主な維持費を軽自動車と普通車で比較すると次のようになります。車検が2年ごとですので、2年分の維持費で比較しました。
諸費用 | 軽自動車 | コンパクトカー | |
法定費用 | 自動車税 (2年分) | 10,800円×2年 =21,600円 | 34,500円×2年 =69,000円 |
車検費用 | 自動車重量税 (2年間) | 6,600円 | 24,600円 |
自賠責保険料 (2年間) | 26,370円 | 27,840円 | |
合計 | 54,570円 | 121,440円 |
以上のように、2年間でも維持費が倍以上安いのが軽自動車です。
また後述しますが、維持費の筆頭でもある燃費は軽自動車とコンパクトカーでは大差がなく、むしろコンパクトカーのほうが良い場合もあります。
なお、維持費を気にするより車購入時の値引き交渉を気にした方がいいですよ。
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任意保険が安い
自動車の保険には任意で加入する任意保険がありますが、軽自動車は普通車に比べて保険料も安く設定されています。
保険料は保険会社ごとに異なりますが、コンパクトカーの場合、一般的に年間45,000円~50,000円ぐらいが保険料の相場です。
軽自動車の場合には35,000円~45,000円程度となり、年間5,000円程度は安くなるでしょう。
高速道路料金が安い
軽自動車のメリットとしてあまり挙げられないのですが、高速道路料金の安さも利点の一つです。
東京~大阪間の高速道路代を比較してみると次の通りとなり、軽自動車のほうが2割程度安くなります。
東京~東大阪北間 高速料金 | |
軽自動車 | 9,850円 |
普通車 (コンパクトカー) | 12,220円 |
差額 | 2,370円 |
運転のしやすさ
費用的な利点以外を挙げると、車体の小ささによる取り回しの良さ、運転のしやすさです。
狭いところを抜けていくのにも楽ですし、転回や車庫入れなどもやりやすいです。
初めて車を持つ人や、あまり運転をしない人などにももってこいなのが軽自動車です。
コンパクトカーの利点は?
燃費がよい
2010年ごろまでは、コンパクトカーの燃費は軽自動車に一歩及びませんでしたが、近年は逆にコンパクトカーのほうが燃費が良い車が出てきました。
軽自動車はそのサイズや排気量に限界があり、燃費技術やハイブリッド技術の向上につながりました。
電動化技術を組み込むのに限界がある一方、コンパクトカーではそれらの燃費アイテムを積極的に採用することで、重量が重いにもかかわらず燃費が軽自動車を上回りました。
2017年3月時点で軽自動車とコンパクトカーそれぞれの、カタログ燃費が最も良い車を比較してみましょう。
軽自動車 | コンパクトカー | |
スズキ アルト (2WD) | 日産 ノートe-power | |
燃費 | 37.0km / l | 37.2km / l |
車重 | 650kg | 1,170㎏ |
排気量 | 658㏄ | 1,200㏄ |
最高出力 | 64ps | 109ps |
特徴 | ・駆動はモーター ・エンジンは発電用 |
燃費だけを見るとわずか0.2km/lの差ですが、重量が2倍以上あっても燃費では上回っており、さらにパワーもあるので余裕を持った走りができます。
なお日産 ノートe-powerは、駆動には電気自動車のモーターを使い、エンジンは発電専用、というユニークなハイブリッドカーです。
エンジンルームにエンジンとモーターを詰め込むので、軽自動車の大きさではなかなか実現できず、コンパクトカーならではの技術で燃費を上げています。
パワーに余裕がある
軽自動車は最高出力が64psに制限されている為、街乗りはともかく高速道路や坂道などでは少々パワー不足を感じることがあります。
最近の軽自動車はトルクが大きくなっているので昔に比べれば楽ですが、それでも高速道路の合流などではもたつくことが多いです。
コンパクトカーは特に最高出力の制限はありませんが、一般的なコンパクトカーでは80ps~100psと、軽自動車の1.5倍ぐらいのパワーがあります。
そのためほとんどのコンパクトカーは高速道路や坂道などでは十分な加速ができ、あまりもたつくようなこともないでしょう。
乗車店員が5人で、荷物も多く積める
軽自動車の泣き所は乗車定員が4名に規制されているところです。
一人で運転する分にはあまり関係ありませんが、家族や友人と出かけるときに4名しか乗れないと不便なことが多く、また軽自動車で4名乗ってしまうと荷物を載せるスペースがとても少なくなってしまいます。
コンパクトカーの一般的な乗車定員は5名で、それに加えて十分な貨物スペースがありますので、日常使いで便利なのです。
またコンパクトカーの中には3列シートを採用した車もあり、これなら乗車定員7名まで乗ることができるものもあります。(その分貨物スペースが少ないですが)
軽自動車とコンパクトカーはどちらも便利
軽自動車もコンパクトカーも、燃費では大差なく車両価格もだいたい同程度になってきました。
しかし利点がそれぞれあり、燃費や値段で比較する以外にも、車を使うシーンや維持費、居住性などでうまく使い分けることができます。
また軽自動車にもコンパクトカーにも、便利さだけではないスポーツタイプの車も存在しますので、ドライブを楽しみたい人でも十分な選択肢の幅がある、面白いカテゴリーの2車種です。