マツダ ベリーサは一風変わったコンセプトを持つコンパクトハッチバックカーで、時代を先取りした1台といえます。
今回はそんなベリーサのデザインについてご説明しましょう。
ベリーサのデザイン
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マツダ ベリーサは2004年〜2016年の12年間に渡って販売されていた長寿車種で、そのコンセプトは「小さな高級車」というものです。
コンパクトハッチバックカーという車種は車のカテゴリーの中ではエントリーモデルに位置づけられることが多く、コストパフォーマンスや燃費性能、扱いやすさなど利便性を求められることの多い車種です。
これに対してベリーサは2004年当時としてはかなり珍しいコンセプトを持っており、コンパクトカークラスのサイズながら質感の高いデザインやインテリアを盛り込んだ高級路線の車です。
車のベースは同じマツダのデミオですが、そのデザインやクオリティは全く違うものに仕上がっており当時から話題になった車です。
その他にはないコンセプトから長年に渡って販売されたものの、フルモデルチェンジなどは行われず1代で終了となりました。
ベリーサはデミオよりも全長や全幅を延長して車内のスペースを拡充した他、静粛性を重視したエンジンやノイズを低減させるサスペンションなど細部に渡って高級車としてのクオリティを確保する設計になっています。
加えて後ほどご紹介するようにインテリアがコンパクトカーとは思えないほどの質感の高さがあり、クラスを超えた高級車になっています。
現在さまざまなコンパクトカーが高級路線への切り替えをしており質感の高いデザインやインテリアを盛り込むようになってきているのですが、ベリーサはまさにこれを思いっきり先取りした車といえるでしょう。
今回はそんなベリーサのエクステリアやインテリアのデザインをご紹介していきます。
ベリーサのエクステリアデザイン
ベリーサのエクステリアデザインはコンパクトカーとしてはまとまりよく仕上がっており、現在でも決して古い感じはしません。
ベリーサのフロントマスクで大きな特徴となっているのは大型のヘッドライトで、ひし形に近いヘッドライトには脇にメッキパーツが設定されるなど高級感を演出しています。
ですがフロントグリルやバンパーなどは比較的シンプルにまとまっており、メッキパーツなどで派手になってはいません。
ですがボンネットのパネル構成やオーバーフェンダー気味なサイドのデザインなどコンパクトカーといっても小さく見えないデザインになっており、雰囲気は上質です。
ボディラインなどは比較的コンパクトカーの標準的なものではありますが、ウインドウも大きく実用性も十分です。
ベリーサはリアがハッチバックタイプなので丸みを帯びたデザインにはなっていますが、リアコンビランプが小さめで落ち着きのあるデザインです。
ベースになったデミオより全長が伸びていることでゆとりのあるスタイルで利便性の高さもあります。
リアのデザインも全体的にシンプルに仕上がっており、派手さはありませんがまとまりの良い車です。
ベリーサのエクステリアデザインでは派手さのある高級感や強めのデザインなどは盛り込まれていませんが、シンプルさによる質感の高さはあります。
ベリーサのインテリアデザイン
次にベリーサのインテリアのデザインをご紹介しますが、ベリーサのインテリアはこの車の大きな魅力です。
まずベリーサにはいくつものインテリアカラーが用意されており、レッド系やレッドとブラックのツートンカラー、ホワイト、グレーなどコンパクトカーとは思えないほどの充実さです。
またインパネや運転席のドライブは非常に特徴的なデザインに仕上がっており、先ず目を引くのがセンタークラスターのエアコンダクトやオーディオ、エアコンコントロールパネルなどが有機的にまとまっています。
コンパネやメーター回り、ハンドル、ドアハンドルの周囲にはインテリアカラーのメインのカラーが入ってかなり目立つとともに質感も良いので、まるで海外の高級車に乗っているような印象です。
それぞれのインテリアカラーによってインパネ周りはビビッドからシックまで変化があり、選択肢が広いのはすばらしいですね。
またシートにもインテリアカラーと同じカラーがあしらわれていて、インテリアの統一感は十分です。
コンパクトカーではフロントシートだけ質感が良かったりもするのですが、ベリーサでは後部座席や後部のドア周りまでしっかりインテリアが作り込まれており、非常に満足感の高い車に仕上がっています。
さらにベリーサにはコンパクトカーではなかなかお目にかかれない本革シートの設定もあり、小さな高級車というコンセプト以上の質感です。
内装のデザインや質感はコンパクトカーという枠からは完全に外れてワンランクもツーランクも上級のものに仕上がっており、ドライバーや同乗者はかなりの満足感を得られる車でしょう。
ベリーサのボディカラー
ベリーサは単体の車種としてみると他に例がないほどボディカラーの設定が多く、12年のモデル期間の間になんと29色もの設定があります。
ベリーサ ボディカラー | アークティックホワイト |
アイシーブルーメタリック | |
アルミニウムメタリック | |
オリーブグレーメタリック | |
カーディナルレッドマイカ | |
ギャラクシーグレーマイカ | |
クリアウォーターブルーメタリック | |
クリスタルホワイトパールマイカ | |
ジールレッドマイカ | |
ジェットブラックマイカ | |
ストーミーブルーマイカ | |
ストラトブルーマイカ | |
スノーフレイクホワイトパールマイカ | |
スパークリングブラックパール | |
チタニウムフラッシュマイカ | |
ドルフィングレーマイカ | |
バーガンディーレッドマイカ | |
ハイランドグリーンマイカ | |
パッションオレンジ | |
ブラックマイカ | |
ブリリアントブラック | |
ブルーリフレックスマイカ | |
べロシティレッドマイカ | |
メテオグレーマイカ | |
メトロポリタングレーマイカ | |
モイストシルバーメタリック | |
ライラックシルバーメタリック | |
ラディアントエボニーマイカ | |
レイザーブルーメタリック |
ベリーサのエクステリアデザインにはマイナーチェンジによって前期型と後期型があるのですが、それは小変更程度であり差別化はおもにマイナーチェンジによるボディカラーの新設定にありました。
ベリーサは同一期間には9色程度のボディカラーの設定でしたが、マイナーチェンジでボディカラーの廃止と追加を繰り返し、最終的には29色もの別のカラーのベリーサがうまれたことになります。
また追加されたカラーの中にはベリーサ向けとして新開発したボディカラーもあり、マツダの力の入れようがわかります。
ボディカラーの構成としてはホワイト、ブラック、シルバーなどの定番カラーはかならず含まれていましたが、そのカラーも年代によって変化がありホワイトだけでも3色もあります。
またその他に特徴的なカラーとしてオレンジ系やピンク系、モスグリーン系のカラーもあり、ポップなカラーからシックで高級感のあるカラーまでよりどりみどりです。
現在ベリーサは中古車としてなら手に入れることが出来るのですが、これだけ豊富なボディカラーの設定があるのでカラーで選ぶのも面白いかもしれませんね。
ベリーサは人気か?
ベリーサは発売当時でもまた販売終了時点でもコンパクトカーとしてはかなり変わったコンセプトの車で、他のコンパクトカーとは魅力が大きく違う車です。
ベリーサの人気を見るためには年間の国内での販売台数から見れますが、ベリーサが発売された2004年〜2010年ぐらいには年間10,000台〜15,000台程度の規模となっています。
この販売台数はコンパクトカーとしてみるとそこまで大きなボリュームではなく、同じマツダのデミオなどは同時期に50,000台以上を売り上げていますのでベリーサの売れ行きはそこそこという程度です。
とはいえこれはベリーサのコンセプトからすると当然ではあり、一般的なコンパクトハッチバックカーのほうが売れ行きが良いのは当然です。
なお2011年以降には年間10,000台を割り込んで数千台規模になるのですが、この時点で発売から既に7年経過しているので普通の車であればモデル末期です。
それでも年間10,000台前後を売り上げているということはコンスタントに一定の需要があったということであり、モデル期間を通じて独自の魅力を保ち続けていたことがわかります。
もちろん大人気車種ではないもののこのあたりの魅力が12年もの間継続して販売されていたベリーサの実力でしょう。
ベリーサの評判
ベリーサの評判についてはTwitterにもいろいろな投稿がありますが、その中からいくつかご紹介しましょう。
車買い替え。10年以上乗った愛車とお別れ。マツダ ベリーサ 1.5L。微妙に不人気車だったらしいけど、デザインが好きだった。内装もレザーシートで良かったし、いい車でした。 pic.twitter.com/dokotPQ2I9
— Salan / Luin (@vidoll) December 5, 2021
こちらの方はなんと10年以上もベリーサに乗り続けていらっしゃった方で、デザインも内装もかなり好まれていたようですね。
しかし如何せんベリーサは年式が古めの車になってきてしまっており、初期型が20年弱となると乗り続けるのに厳しい部分もあるでしょう。
そんでもって代車がベリーサだったよ2004年の車だったけどデミオの上級モデルとありなかなかの上級感があったね
デザインもサイズ制約と時代を考えれば頑張ってて内装の写真は無いけど良い感じで肘掛けの感触が特に良くてそこが高級感すら感じたよね
またキーがカード型なのが時代を感じるね
#マツダ pic.twitter.com/teOVLVvyGT— 觀漂 (@misara30) November 21, 2020
こちらの方はベリーサを代車として乗られたようなのですが、その内装の質感などに良い評価をされています。
特にインテリアの肘掛けなど体に当たるところの質感が高いと快適なので、コンパクトカーとは思えないほどの車です。
ベリーサも大概死角多いけどMAZDA3はもっとひどいのよね。デザインは甲乙つけがたいかなあ。どっちも好きよ。ノートはいらん
— ジェスなもり (@GI62sxz) August 10, 2021
ベリーサはコンパクトカーにしては独特で質感の高いデザインをしていますが、その一方でデザイン的にドライバーの死角も結構多かったようです。
しかしそれでもデザイン的には好きとおっしゃっており、実用性はともかくベリーサは魅力的なデザインをしているということでしょう。
ベリーサの欠点
ベリーサはデザイン的にコンパクトカークラスのクオリティを超える車であり、今でもベリーサのコンセプトに沿った車というのは他にはありません。ですがそのコンセプトこそがベリーサの欠点でもあります。
ベリーサはコンパクトカーのサイズ感に高級車並みの質感のインテリアを組み合わせた車で、エクステリアもボディカラーを豊富に設定することで一般的なコンパクトカーとは大きく差別化がされています。
エクステリアデザインも近年のコンパクトカーのように複雑なラインではなくシンプルで、上質感は感じられます。
ですがコンパクトカーとして見ると全体的に中途半端さも見え、デザインを重視するあまりリアウインドウやサイドのウインドウが小さくなって視認性があまり良くないという欠点も出てきています。
また確かにベリーサは内装の質感が高いのですが、コンパクトカーの需要はコストパフォーマンスや燃費の良さなどがメインとなっており、高級感や質感などはそこまで重視されていません。
ベリーサは乗り心地などは素晴らしかったものの燃費性能は実はそこまで高くなく、同クラスのコンパクトカーと比べると残念な部分です。
さらにベリーサの価格が同クラスのコンパクトカーより数十万円程度高いので、デザインや質感の追求にコストをかけた結果コンパクトカーとしては微妙なアンバランスさが出てきてしまっています。
それでも12年に渡ってラインナップされ続けていたというのはベリーサの需要が確かにあったということであり、長年好んで乗っている人もいらっしゃいますね。
ベリーサの値段
ベリーサは2016年に生産が終了した車種となりますが、今回はその当時の新車価格と現在の中古車価格をご紹介します。
なお中古車価格については大手中古車情報サイトであるカーセンサーとgoo-netから調べています。
ベリーサ | 新車価格 | 中古車本体価格相場 | |
ベリーサ | 1,533,000円〜1,928,880円 | カーセンサー | 48,000円〜1,045,000円 |
goo-net | 38,000円〜1,045,000円 |
ベリーサは2004年の発売当時にはどうクラスのコンパクトカーと比べるとおよそ300,000円〜400,000円 高い価格設定となっており、そのクオリティの高さから高級路線に設定された車です。
デザインの質感や乗り心地の良さ、インテリアの快適さなどから十分この価格帯に見合うクオリティはあるのですが、燃費性能の悪さなどは最後までベリーサの泣き所でもありました。
なお2004年〜2016年という長期間に渡って販売されたため中古車にはかなり安価な車種もあり、初期型などは既に50,000円以下という値段で購入することができます。
ですが初期型では既に18年も前の中古車になるので車の耐久性や故障の問題などがあり、ベリーサの初期型というのはかなり注意して乗らなければならない状態といえるでしょう。
一方で最終型であればまだ6年ほど前なので中古車としてのクオリティはそこそこ残っており、新車価格から見るとお買い得に手に入れることができます。
ベリーサの中古車価格はこれからもどんどん下がっていきますがその分年式も古くなりますので、ベリーサの質感の高さを味わいたいのなら早めに手に入れたほうが良いでしょう。
ちなみにベリーサの新車価格の価格帯というのは現在の最新のコンパクトカーではそこまで高いことはなく、現在では1,500,000円〜2,200,000円ぐらいが同クラスの価格帯の標準です。
これには燃費性能の向上やハイブリッド化、衝突安全性の確保、電子装備の増加など様々な理由でコストアップした結果ではありますが、インテリアのクオリティという点で見ればベリーサほどのものはなかなかありません。
ベリーサがコンパクトカーとして高いと言われていたのは2004年当時のことなので、現在同じ価格でもし販売できたとしたらかなり売れたのではないでしょう。