ホンダ フリード+はコンパクトミニバンであるフリードの派生モデルで、一般的な5人乗りレイアウトなが広々としたラゲッジスペースを確保した車種となります。
今回はこのフリード+の後部座席について見ていきます。
フリード+の後部座席の2列目・セカンドシート
フリード+(フリードプラス)は7人乗りまで可能なコンパクトミニバンであるフリードをベースとしており、3列シートを持つフリードの3列目シートをオミットしてその分ラゲッジスペースを拡大したモデルです。
まずはこのフリード+の大まかなサイズ感からご紹介しましょう。
スペック | フリード+ | |
乗車定員 | 5名 | |
全長 | 4,265mm〜4,295mm | |
全幅 | 1,695mm | |
全高 | 1,710mm〜1,735mm | |
室内長 | 2,310mm | |
室内幅 | 1,455mm | |
室内高 | 1,285mm | |
ラゲッジルーム | 高さ | 1,255mm |
幅 | 1,080mm | |
奥行き | 約800mm | |
運転席寸法 | 高さ | 約1,100mm |
幅 | 約500mm | |
奥行き | 約900mm | |
助手席寸法 | 高さ | 約1,100mm |
幅 | 約500mm | |
奥行き | 約900mm | |
後席寸法 | 高さ | 約1,100mm |
幅 | 約1,300mm | |
奥行き | 約1,000mm |
フリード+はその名前の通りコンパクトミニバンの現行フリードに別の価値観をプラスしたモデルで、コンパクトカーで3列シートを持つという珍しいコンセプトのフリードのラゲッジスペースを大幅に広げたモデルとなっています。
フリード+外観デザインや大まかな車のサイズはほぼベースのフリードと同じなのですが、フリードから3列目シートを廃止したことで5人乗り2列シートの車となります。
フリードは大人数乗りが出来る一方でラゲッジスペースは全体的に狭くなっており、そのフリードより荷物の積載性を重視したのがフリード+といえます。
フリード+では単純にシートを廃止しただけでなくラゲッジスペースに大幅な改良が入っており、より荷室の床面が地面に近く容量も大きくなっていることで積載性が大幅に向上しています。
ではこのフリード+の後部座席について詳しく見ていきましょう。
フリード+の広さ・居住性
フリード+はフリードの7人モデルに採用されている2列目のベンチシートがほぼそのまま採用されており、6人乗りモデルにあった2列目シートのセパレートシートはフリード+には採用はありません。
フリード+の後部座席は3人掛けのベンチシート式の座席であり、乗り込みはフリードと同じく左右の大型スライドドアから乗り込む形となります。
フリード+の後部座席のベンチシートは横幅がおおよそ1,300mmと中型車として標準的なサイズはあり、車内スペースが全体的に直線基調のデザインであることから2人掛けであれば窮屈さを感じることなく座ることが出来るでしょう。
一方で3人掛けのフル乗車状態だと隣の人と少し肩が触れるぐらいのサイズ感となっており、座れないほどではないもの少し詰めて座る形になります。
また後部座席に座ったときの前席シートとの間のニースペースは、後部座席が標準的なスライド位置にある場合でも拳2個〜3個ぐらいのゆとりがあって、フリード譲りの広々とした後部座席を形作っています。
後述で詳しく解説しますがフリード+の後部座席は前後へのスライドが大きく出来る構造となっているので、もっとニースペースを狭くしたり足が伸ばせるほどより拡大したりも出来ます。
後部座席に座ったときの頭上空間もミニバンらしい室内口の高さでゆとりがかなりあり、窮屈感は感じない解放感のある車内となっています。
ベースとなったフリードが車内では2列目シートが最も快適な仕様になっており、2列目シートのみとなったフリード+にもこのメリットが引き継がれているのはうれしい点です。
フリード+の後部座席のチャイルドシート対応
フリード+はその積載性の高さを活かしたファミリーカーやレジャー用の車としても便利な1台ですが、そんなフリード+でもチャイルドシートへの対応が欠かせません。
チャイルドシートは子供専用の小型のシートのことで車のシートの上に乗せて使うものなのですが、チャイルドシートは子供がある程度の年齢や身体が大きくなるまでの間は安全性確保のために仕様が義務付けられているものです。
チャイルドシートには乳幼児用や幼児用、学童用などさまざまな年齢や体格に合わせた製品があるのですが、搭載位置としてはより事故の際に安全性の高い後部座席に積み込まれることが多いです。
またチャイルドシートの固定にはシートベルトを使ってシートに縛り付けるような形がベーシックですが、近年はチャイルドシート専用の固定規格である「ISOFIX」が制定されており、これに対応したチャイルドシートと車であればより確実な固定が可能となります。
フリード+には後部座席のベンチシートの左右席にこのISOFIX対応の金具が設定してあり、チャイルドシートが後部座席に2つしっかり固定する形で搭載できます。
その他にチャイルドシートの上側を固定するストラップのための「トップテザーアンカー」も後部座席の背面に設けられており、シートベルトでの固定も可能ですがISOFIXのほうが確実な固定ができISOFIXと合わせることで非常にしっかりした固定が可能です。
また後部座席にチャイルドシートを2つ固定するとその間のセンター席には座るスペースはなくなりますが、1家族用の車としてはこれでも十分な場合が多いです。
最終的にチャイルドシートが搭載できるかどうかは車のシートのスペースとチャイルドシートのサイズで決まってくるのですが、フリード+であれば後部座席のスペースは非常に広々としているので搭載性で問題となることは少ないでしょう。
またもし前後サイズで大きなチャイルドシートがあるとしてもフリード+の後部座席は前後へのスライドが可能なので、これを調整することで対応できるのでかなりチャイルドシートヲ積み込むには有利な車といえるでしょう。
フリード+の座り心地
フリード+の後部座席はコンパクトカークラスとしては結構しっかりしたシートに仕上がっており、このクラスとしては座り心地は良好です。
フリード+の後部座席は乗用車のシートとしては標準的なベンチシート式の座席ですが、シートのデザインとして一見ベースのフリードと同じには見えますが、細かいところでは違いがありシートの座面や背もたれに多少凹凸が増えてホールド性が高くなっています。
そのせいでセンター席は少し盛り上がってしまいますが左右の座席にどっしりと座れるようになっています。
またベースのフリードから後部座席の座面や背もたれなどの厚みがしっかりあってクッション性は悪くなく、フリード+でもこのメリットが活かされていますので普段使いでも長距離でも十分活用できるシートに仕上がっています。
またシートの質感も全体的に高めになっており、座席が減って5人乗りになったことで後部座席がよりグレードアップした感じです。
またフリード+の後部座席には3席全てに大型のヘッドレストが装備されており、後部座席で重視される安全装備がしっかり揃っています。
ヘッドレストは普段は乗員が頭を乗せるクッションとしての役割がありますが、事故の際など万が一のときには乗員の頭を前後に支えてむち打ちを防ぐ装備であり乗員保護のために重要な装備です。
コンパクトカーでは後部座席のセンター席のヘッドレストが小さかったりオミットされる場合もあるのですが、フリード+では左右席だけでなくセンター席も大型のヘッドレストになっているので安全性は高いものとなっています。
さらにヘッドレストは上下への調整機能も備わっていますので乗員が頭の位置を楽に調整でき、使い勝手も良好です。
フリード+の後部座席の装備
フリード+の後部座席では全体的な装備はベースのフリードと基本的には共通となっています。
フリード+の後部座席はフリードの7人乗りモデルのベンチシートをベースとしており、シートベルトの取り回しは共通の構造となっています。
フリード+の後部座席は3席すべてが運転席などと同様の3点式シートベルトになっていますが、左右席はすぐ脇の車体部分からシートベルトが出ていて使い勝手は悪くありません。
3点式シートベルトなので安全性の高さの他に走行中に身体を支えてもくれるので、楽に座ることの出来るシートになっています。
一方でセンター席についてはシートが多少盛り上がっているのでホールド性はより大事ですが、シートベルト自体が変則的で天井から出てくる構造となっているので、この車に乗ったことのない人が後部座席のセンター席に座るときにはシートベルトの補助をしてあげたほうが良いでしょう。
またその他の細かな装備についてもフリード+はフリードとほぼ共通であり、フリードにもなかったリアエアコンダクトなどは装備されません。
その他収納としては左右のドアに小さめのドリンクホルダーがポケットとしてある他、前席シートバックポケットも助手席側だけの装備なので全体的に収納が少ないです。
前席シートバックの上側にはスマートフォンを収められる小型のポケットが設けられていますが、こちらはあまり収納として活用できる大きさではなくちょっとした補助的なものとなります。
さらにフリードと違う点としては後部座席のセンター部分にセンターアームレストが装備されないことで、フリードでは小型ながら引き出し式のアームレストがありましたのでフリード+でオミットされてしまったのは残念な点です。
なお後部座席以外の部分ではフリード+ならではの装備がいくつも追加されており、ラゲッジスペース周りにフリード+専用のフックが多数追加されたり専用ラゲッジボードによって2段のラゲッジスペースとすることができます。
またアウトドアなどで使いやすいラゲッジスペースのアクセサリーコンセントも追加されており、うまく取り回せば後部座席でもこれを活用できるでしょう。
フリード+のリクライニング・シートアレンジ
フリード+の後部座席はリクライニング機能やスライド機能がしっかり備わっており、さらにシートアレンジを駆使することでよりラゲッジスペースの使い勝手を向上できます。
フリード+の後部座席はベースのフリードの高機能なリクライニング機能などもそのまま継承しており、まず後部座席でありながら前後にかなり大きくスライドすることができます。
これにより後部座席の足下空間を大幅に拡大することや、逆に前にスライドしてラゲッジスペースを広めに確保するなどフレキシブルに使い分けることが出来ます。
またコンパクトカーではあまり見られない後部座席のリクライニングは後ろに倒すことができ、シートポジションの調整には便利です。
ただしベースのフリードでは後部座席を大きく寝るまで後ろに倒すことができましたがフリード+の後部座席ではそこまで倒すことはできず、あくまで座るときのシート角度の調整に留まっています。
またシートアレンジについてもフリード+独自のものとなっており、まず後部座席は前側に跳ね上げるように収納することでラゲッジスペースを大幅に拡大することができます。
ダブルフォールディング機構を採用したフリード+の後部座席は座面と背もたれを分けてから移動、収納するような仕様となっており、収納には少し手間はかかるもののフリードの7人乗りモデルのシートアレンジと比べてよりコンパクトに収まるようになっています。
フリード+ではさらに後部座席を収納するとその上面がラゲッジスペースのラゲッジボードとほぼ完全なフラットになるようになっており、荷物の積み下ろしや積み込みの際に非常に楽で便利な構造になっています。
このフルフラットを活かしてそこをベッドにして車中泊を過ごすことも出来、3列目シートがないことでシートをほぼ完全に収納できるのがフリード+の魅力でしょう。
さらに後部座席は左右の6:4分割式となっていますので左右どちらかだけでもスライド、リクライニング、シートアレンジでの収納などをすることができ、シートの乗員や荷物の状態、旅の途中のフレキシブルな変更などさまざま対応できるのも便利な点でしょう。
フリード+の後部座席の評価・口コミ
フリード+の後部座席についてはtwitterでもいろいろな投稿があるのですが、その中からいくつかご紹介しましょう。
フリード+の乗り心地よすぎて助手席も後部座席も好き。デイズルークスより座った感じが低い?から安定すんのかな。シートベルトしててもお腹が楽。後部座席⇄助手席の移動が車降りなくてもできるから、娘が寝たら助手席座るのもアリかも。旦那の隣に座りたい!!!!産んだら座るのも助手席だけど。
— もいこっこ@娘4y&2y (@kzr826) May 25, 2019
こちらの方はフリード+をファミリーカーとして運用されるようなのですが、その使い勝手の良さにかなり魅力を感じていらっしゃるようです。
後部座席も乗り心地がよくシート間の移動も楽という点が子育て世代の車として便利な点であり、この1台で色々なシーンに対応できるのはうれしいですね。
フリード+を見させてもらった。荷室の凹み部分が微妙な広さで使いにくいかもしれない。そして後部座席の折り畳みの際は座面を上げないといけない手間があるのが残念感だった。
— 蓮木 (@HSK_nem) April 23, 2017
こちらの方はフリード+を実際に試乗などして試していらっしゃいますが、不満点として後部座席のシートアレンジを挙げていらしゃいます。
フリード+のシートアレンジでは後部座席の座面を跳ね上げてから背もたれを倒すなど複雑な操作が必要で、単純に倒すだけであったフリードよりも使い勝手がいまいちです。
その分広くスペースを取れる構造ではあるので一長一短ですが、せめてワンタッチで収納など出来ると便利でしたね。
総評
フリード+はフリードの2列シート5人乗りモデルですが、単純に座席が減っているだけでなく主にラゲッジスペース周りが大きく変更された車です。
後部座席もベンチシート式だけになったとは言えその座り心地などは良好なものとなっており、大人数乗りがそこまで必要ない方にはフリード+のラゲッジスペースの使い勝手向上のほうが魅力な点はあるでしょう。
全体的にフリード+はコンパクトな中に大きなラゲッジスペースを設けられるというのがコストパフォーマンス的にも魅力的な車ですが、後部座席の完成度も良好です。