クライスラー300Cは米国生まれのセダンで、日本国内にも輸入された車種になります。
今回はそんなクライスラー300Cの故障に関してご説明します。
クライスラー300Cの故障率
クライスラーはアメリカのビッグ3と呼ばれる3大自動車メーカーの1つで、高級車をメインとしたラインナップを揃えているメーカーです。
そんなクライスラーが2004年に登場させたのがクライスラー300Cという大型セダンで、迫力のあるフロントマスクデザインで一気に人気を獲得しました。
エンジンはアメ車ならではの大排気量エンジンを搭載しており、国産車のセダンに比べると車格は少し大きな車となります。
日本にも正式輸入が行われ、2005年からは右ハンドル車が販売されるなど日本向けの仕様もしっかり用意されています。
また2011年には2代目にフルモデルチェンジを行い、より高級感のあるデザインへと変化しました。2代目も同様に正式輸入されましたが、米国本国ではまだラインナップに残っているものの、日本での販売は2017年に終了しています。
そんなクライスラー300Cの故障に関しては次のような点から見ることができます。
クライスラーの自動車耐久品質調査
自動車の故障率はメーカーが調査してデータを収集しているのですが、そのデータは社外秘の機密データであり一般には公開されていません。
ですがメーカー以外の民間調査会社が別で信頼性調査などを行っており、その中の一つである米国J.D.パワー社が公開している「自動車耐久品質調査」は自動車メーカーも参考にする信頼性のあるデータです。
この調査では各国市場の新車を購入したユーザーから3年〜5年経過時の不具合件数を聞き取り調査し、その結果をメーカーごとに集計してランキングとしたものです。
クライスラーは日本市場では販売台数が少ないので日本市場の調査結果には入りませんが、米国市場では調査対象となっているためこちらを参照にします。
ランキング | メーカー | スコア |
1 | レクサス | 99 |
2 | ポルシェ | 100 |
3 | ビュイック | 116 |
4 | インフィニティ | 120 |
5 | キア | 122 |
6 | シボレー | 124 |
6 | ヒュンダイ | 124 |
8 | BMW | 127 |
8 | トヨタ | 127 |
10 | リンカーン | 133 |
10 | 日産 | 133 |
業界平均 | 142 | |
31 | クライスラー | 211 |
最新の2018年の調査では米国で販売している主要メーカー31メーカーによるランキングとなっていますが、クライスラーはその中でなんとワースト1位となっており、主要メーカーの中ではもっとも不具合の多いメーカーになっています。
不具合件数の多さを示すポイントも上位の日本メーカーと比較すると1.5倍〜2.0倍以上の開きがあり、その故障の多さが際立っています。
この調査はクライスラー300Cの故障率の結果ではありませんが、全体的な不具合が多いということですのでほとんどの日本車よりも故障は多い傾向にあるでしょう。
クライスラー300Cの信頼性評価
J.D.パワー社の評価には前述の調査に加えて各車種の信頼性評価も掲載しており、クライスラー300Cのような米国販売の車種が対象となっています。
この調査では最高点を星5点、平均点を星3点としており、クライスラー300Cの最新の信頼性調査結果は3.5点となっています。
参考 2019 Chrysler 300 - Best CarsUS News & World Reportこの結果は決して悪い評価ではないのですが、日本車の多くは星4点〜4.5点を獲得していることもあり、比較するとクライスラー300Cのほうが信頼性は低い結果となっています。
またこの結果は毎年更新されているのですが、近年は評価が高まっているものの数年前までは星2.5〜3.0点付近でしたので、平均以下という評価も長かった車です。現行モデルも8年目に入って信頼性が向上してきたと見るべきでしょう。
中古のクライスラー300Cの故障しやすさ
クライスラー300Cは比較的長い間国内市場で販売されていたため、中古車市場にも割と多くの車が供給されています。
2005年から本格的に国内に投入され、その後モデルチェンジを経て2017年まで発売されていましたので、国内では見かける場合の多い米国車となっています。中古車市場でもクライスラー300Cは結構あるのですが、その状態はさまざまです。
日本車の場合だと年式10年以上、もしくは走行距離100,000km以上が寿命といわれていますが、輸入車の場合は年式5年以上、走行距離50,000kmを超えると故障が増加する傾向にあり、輸入車の中古車を探す時には注意しなければなりません。
クライスラー300Cももっとも古い車は年式15年近くなっており、異常に価格の安い車はこういった点を注意しなければなりません。
また走行距離に関しては車の乗り方にもよるので様々な状態の車がありますが、基本的には年式の新しい車が走行距離の少ない傾向にあります。
クライスラー300C オーナーの評判
クライスラー300Cの故障に関してはTwitterにもいくつも評判が投稿されており、その中から代表的なものをご紹介します。
只今、事故修理中の、クライスラー300。
右ヘッド新品入荷。
ハロゲンライトにも関わらず、
仕入れ原価 ¥ 26万 円也 ……
ありえない値段設定、ハロゲンだぞ、おい!
しかも、この作りで……国産のコンパクトカーのヘッド並み。
アメ車は、むちゃんこ取りよる。 pic.twitter.com/YBmqAhTcUH
— 丸山自動車 常務丸山将宏 (@carshopmaruyam1) February 7, 2018
こちらの方のクライスラー300は右のヘッドライトが事故で壊れてしまったそうですが、損の修理にはなんと部品代だけで260,000円もかかっており非常な高額修理となっています。
輸入車ではこういった自体はよくあるのですが、それでも初めて見ると信じられないですよね。
車検でお預かり中のクライスラー300 2.7 です。
LX系では定番のインターロックラッチが破損してしまった為、交換作業を行いました。
スプリングをかけているツメの部分が破損してシフトを動かせなくなってしまいます!
インターロックラッチ交換以外の修理やカスタムもお気軽にお問い合わせ下さい。 pic.twitter.com/vj9SZPrZPo— バズファクトリー (@buzzfactory_) January 16, 2018
こちらのクライスラー300Cはなんとシフトののロックが壊れてしまったそうで、部品交換によって対応されています。
ですがシフトロックは国産車ではなかなか故障しないものであり、輸入車では意外なところが故障します。
クライスラー300CのシフトレバーがPから動かない。ブレーキペダルを踏んでロック解除されても少し動くだけ。最悪や~!誰か動かし方教えて~!そしてこの車もう売ること決定!故障多すぎ!
— jony (@jony_twi) September 5, 2010
こちらの方のクライスラー300Cはシフトレバーが動かないというトラブルに遭遇されており、車が自走できなくなっています。
トランスミッションの故障が原因のトラブルですが、他にも故障はいっぱいあったようで車を売ることを検討されているようですね。
クライスラー300Cの故障事例
クライスラー300Cの故障事例はその信頼性の低さから様々なものがありますが、中でも子の車特有の故障事例をご紹介します。
シフトロックの破損
これは前述のツイートにもあったようにクライスラー300Cで起こりやすいトラブルなのですが、トランスミッションのシフトロックが破損したことによるロックの開閉ができなくなるのです。
シフトロックはシフトの切り替えを行わないためのロック機構ですが、クライスラー300Cのインターロッククラッチという部品はロック部分の部品が破損することがあり、これが原因でシフトロックができなくなります。
もともとこの部分には樹脂部品が採用されていたのですが、交換部品は金属部分になっていたりしてその耐久性にはもともと問題があったようです。
修理には部品交換のみで済むので難しい修理ではないものの、部品の取り寄せなどに時間がかかります。
また修理費用としては小さい部品ながら数万円〜100,000円ぐらいの費用が必要で、それに加えて車が自走できない場合が多いので輸送費などもかかります。
パワステ関連のトラブル
クライスラー300Cでは突然ステアリングが重たくなるトラブルも起こるのですが、子のトラブルの原因はパワーステアリング関係の部品によるものです。
パワーステアリングはステアリングの補助をするための油圧装置で、車重が重たくタイヤも太いクライスラー300Cのような車では特にステアリングが重たくなるので重要な部品です。
ですがそれだけ負荷がかかる部品でもあり、経年劣化によって故障が多くなる部品でもあります。
パワーステアリング関連で多いのは油圧システムの不具合による制御不良や、オイル漏れによる油圧低下などがパワーステアリングが重たくなる理由です。
また他には電気系統のトラブルによる故障もあり、走行距離が増えれば増えるほど故障の確率は高まります。
修理にはパワーステアリング部品の交換が必要になりますが、修理費用は数十万円クラスのものであり、非常に高額の修理となります。
エンジンからのオイル漏れトラブル
クライスラー300Cのトラブルはエンジン関連にもあり、その中でもっとも起こりやすいのはエンジンのオイル漏れです。
エンジンオイルはエンジン全体を循環して潤滑や冷却など様々な役割を果たすものですが、そのエンジンオイルが外部にもれないように各部にガスケットやオイルシールがあります。
それらの部品は経年劣化によってオイルが徐々に滲んでいくのですが、最終的にはオイルが滴下するほど漏れるまでトラブルは拡大します。
そうなるとオイル量の減少も問題ですが、オイルが排気管にかかることでの火災なども問題となります。
修理にはガスケットやオイルシールの交換が必要で、その費用は部品代よりエンジンを分解するなどの費用が高くなります。トータルでは100,000円前後の修理費用となるでしょう。
クライスラー300Cは買っても大丈夫か?
クライスラー300Cは日本車にはない力強いデザインでいまだに人気のある車で、数年前まで国内に正規輸入されていたこともあって状態の良い中古車がまだ残っています。
ですが故障に関しては国産車と比べると大きく不利であり、たとえ購入時の状態が良かったとしてもその後故障は必ず何かしら出てくると考えておいたほうが良いでしょう。
またクライスラーは正式には日本から撤退していることもあって正規ディーラーがなく、修理が出来る箇所も限られています。