ロータス エリーゼは英国発のライトウェイトスポーツカーで、その走行性能の高さは定評があります。
今回はそんなロータス エリーゼの故障に関してご説明します。
ロータス エリーゼの故障率
ロータスは英国の有名なスポーツカーメーカーで、モータースポーツの世界でもその名前はとても有名です。
量産車も多くはスポーツカーで、特に軽量なライトウェイトスポーツカーを得意としています。そんなロータスの主力車種が今回ご説明するエリーゼで、1995年に登場した後にさまざまな改良を続けながら現在までモデルが続いています。
通常の量産車であれば20年以上経過する間にフルモデルチェンジによって車の仕様が大きく変わるのですが、ロータス エリーゼはほぼ手作業のような少量生産の車種であり、基本設計を更新しながらモデルを改良する形を取っています。
アルミ合金製のバスタブ型フレームとFRP製の外装という基本構造はそのままに、搭載されるエンジンや装備、デザインなどは世代によってさまざまに変化しており、明確なモデルチェンジはありません。
そんなロータス エリーゼは日本ではあまり見かけることの少ない車ですが、故障に関しては次のような点から見ていきます。
ロータスの信頼性評価
自動車メーカーはそれぞれ独自に故障率などのデータを市場調査などから収集していますが、そのデータは社外秘の機密データとなっているため一般には公開されません。
そのためメーカー以外の調査会社などが調べて公表しているデータが役に立つのですが、ロータスはその販売台数の少なさからあまりこういった調査には乗ってきません。
唯一公表されているデータとしては英国の保険会社であるWarranty Direct社の調査の中にある「Reliability index」の中にロータスエリーゼがありましたのでご紹介しましょう。
参考 Car Reliability Indexreliability indexこのデータはユーザーによって投稿されたものでわずか3件ですが、信頼性評価は真ん中あたりにありそこまで悪い評価にはなっていません。
しかしながらあまりにも数が少なすぎるため、一定の参考という形になりますね。
ロータスの生産上の特徴
ロータスは一般的に故障しやすいメーカーと言われてきているのですが、それはロータスの生産体制によるものが非常に大きいです。
エリーゼを始めとするロータスの車は、トヨタなどのメーカーとは生産体制の規模が全く違っており、ベルトコンベアー方式の大量生産ではなく1台ずつの少量生産です。
そのため1台1台のバラツキが大量生産に比べると多く、そのことから信頼性が低いと言われています。
また大量生産が可能な車種は信頼性評価や市場での不具合改善が次に折り込みやすいのですが、少量生産の場合はそこまでの効果がないことから、ロータス エリーゼはどうしても信頼性に関しては多少劣る箇所も出てくるでしょう。
ですがロータス エリーゼの信頼性について1つ良い点があるとすれば搭載されているエンジンで、2006年からロータス エリーゼのエンジンは全て日本のトヨタ製の直列4気筒エンジンになっていることです。
意外に思われるかも知れませんがトヨタは様々な面でロータスとは繋がりの深いメーカーであり、もともと搭載されていた英国製エンジンがなくなったことからトヨタ製エンジンに一本化されました。
トヨタは言わずと知れた日本最大のメーカーであると共にその信頼性の高さは世界的な評判があります。
そのトヨタの技術が詰まったエンジンですので、現在のロータス エリーゼはエンジン本体の信頼性はかなり高いものがあるといえるでしょう。
ですがそのエンジンにつながる配管やセンサー類などはロータス設計である部分が多く、そういった点はあまり信頼性が高くないとしても仕方ありません。
中古のロータス エリーゼの故障しやすさ
ロータス エリーゼは日本にもそれなりの台数導入されており、それが中古車市場に一部流れていることから中古車のエリーゼも結構な台数存在します。
ですがロータス エリーゼのもともとの信頼性は国産車に比べると低い部分も多いので、年式や走行距離などは少ないものを選ぶ必要があります。
エリーゼはスポーツカーなので走行距離は多くなりがちなのですが、走行距離の多いエリーゼはどうしても故障も多いものです。走行距離は50,000km以下にしたほうが良いでしょうね。
またエリーゼはその年代によってデザインだけでなく仕様もかなり変わっており、特にエンジンは前述の通りトヨタ製かそれ以外という点があります。
エンジンは車の故障部位の中ではもっとも確立の高いものですので、エンジン自体の信頼性の高さはとても重要です。そのため選ぶ際にはトヨタ製のエンジンが搭載された以降のエリーゼを選びましょう。
ロータス エリーゼオーナーの評判
エリーゼの故障に関してはさまざまな情報がTwitterに投稿されていますので、その中からいくつかご紹介しましょう。
身近にロータスエリーゼに乗ってる人がいるんだが、ローバーエンジンで故障と共に歩む苦行者的ユーザーと、信頼と実績のトヨタエンジンを選ぶ実践的ユーザーとで多少の分派があると聞いた。そもそも総数が少ないから分派活動もマイルドらしいが。
— とどあん (@todoan) February 17, 2019
こちらの方はお知り合いにエリーゼに乗っている人が多いそうですが、英国ローバー製のエンジンかトヨタ製のエンジンかで意見が分かれるようですね。
ロータスはイギリス伝統のスポーツカーの1つなので英国製エンジンが良いという意見もわかりますが、故障に関してはやはりトヨタのほうが有利ですね。
エリーゼのエアコンの故障の件、結局今日中には直らないとのことで預けてきました。納車前に直したところとは別の箇所からガス漏れとのことで…とりあえずは保証内修理になりました。2〜3日で直るみたいですが取りに行けるのは来週の休みですかね…
あー明日の休みが…(T . T)— さえぴ~ (@saepi26) June 3, 2018
こちらの方のエリーゼはエアコンのトラブルとのことで、修理が完了して受け取れるまで結構な日にちがかかるようですね。
原因はエアコンのガス漏れのようで、車体側の配管などの故障でしょう。
ロータス エリーゼは初期故障終わったらホンマお金かかりません。ホイール替えてタイヤサイズを普通にすればもっとかかんない。というわけでオススメですみなさまとさっき力説してきた。仲間増えるかな(^^)
— 刑部貞金 (@gyoubu_sadakane) March 18, 2012
こちらの方はロータス エリーゼに結構乗っていらっしゃるようですが、なんと初期に故障が出た後は結構安定するそうです。
たしかにトラブルの多くは初期に出てしまえばその後数年は少なくなる傾向にあり、それであれば維持費も少なくて済みますね。
ロータス エリーゼの故障事例
ロータス エリーゼの故障事例はいくつもありますが、その中から代表的なものをご紹介しましょう。
ラジエーターのトラブル
ロータス エリーゼのトラブルで多いのはラジエーター関連の故障で、その大半は冷却水漏れによるものです。
ラジエーターはエンジンの冷却水を冷やす熱交換器で、車の前方に配置して空冷での冷却を行っています。
そのラジエーターはコアと呼ばれる冷却部分とサイドケースと呼ばれる冷却水が通るパイ部分で構成されていますが、漏れが発生する大部分はこの2つの接合部分です。
ラジエーターには常に熱い冷却水と冷たい冷却水が流れており、それが金属の膨張や収縮を引き起こすことで接合部を弱くして、最終的に漏れに繋がります。
国産車でもラジエーターのトラブルの大半はこれですが、発生する時期は年式10年以上になる場合が大半で、エリーゼのように数年でということはあまりありません。
修理にはラジエーターの交換が必要ですが、ラジエーターは価格が高く100,000円〜200,000円ぐらいは費用がかかりますので、かなりの高額修理です。
それに加えて、一度たとえ修理したとしても同じ部品を交換したのではそのうち同じトラブルが再発することになります。
そういった再発を防ぐために純正品以外の耐久性の高いラジエーターに変える人もいるようです。
エアコン関連のトラブル
エアコン関連のトラブルもエリーゼでは多いのですが、こちらは大半はエアコンガスの漏れによる効きの悪化です。
エアコンはエンジンに取り付けられたエアコンコンプレッサーでガスを圧縮し、それをコンデンサーで冷却、膨張させることで室内を冷やします。
ですがそのガスが通る配管に穴や亀裂が走ったりすればそこからガスが漏れて途端にエアコンが効かなくなります。この場合はエアコン配管の交換が必要で、数万円程度の修理費用です。
また他には室内側で冷えた空気を噴出させるブロア部分の故障もあり、この場合は電動モーターの故障や樹脂部品の破損等が原因であることが多いです。
修理には当該部品の交換だけで済むと安く済みますが、ブロア全体交換だと数十万円の修理になるでしょう。
雨漏り関連のトラブル
ロータス エリーゼは「タルガトップ」というタイプのオープンカーが基本の車で、2シーターなので運転席と助手席の上の屋根を取り外しが可能です。
ですがオープンカーという構造上の弱点である屋根と車体の接触部は水密シールが弱くなりがちで、そこからの雨漏りが問題になります。
ロータス エリーゼには、タルガトップの屋根の材質で布製のソフトトップと金属製のハードトップに別れますが、どちらも雨漏りは起こる確立が高く、この車の定番のトラブルとなっています。
どちらかといえばシール部分の多いハードトップのほうが雨漏りしやすい傾向にはありますが、長い期間乗っていればどちらも多かれ少なかれこの症状が出てきます。
原因は水密シールのゴム自体の経年劣化や変形で、一度雨漏りが始まるとその後症状は悪化する場合が多いです。
修理には水密シールの部品交換が必要で、部品交換には100,000円前後は必要です。またたとえ純正品に交換したとしてもそのうち同様の症状が起こってくる確立は高いので、長く乗り続けていると何度も同様のトラブルに遭遇するでしょう。
ロータス エリーゼに乗っている以上、いつ雨漏りが起こってもおかしくありませんので、車室内にはタオルなどを準備しておいたほうが良いでしょう。
ロータス エリーゼは買っても大丈夫か?
ロータス エリーゼは今では珍しいライトウェイトスポーツカーのオープンカーで、2シーターというとても趣味性の強い車です。
運転するとその軽快さはとても楽しく、またトヨタ製のエンジンになったことでエンジンの信頼性は格段に上がりました。
とはいっても車全体の設計自体はまだまだ信頼性に乏しい箇所も多く、少量生産のロータスでは致し方ない部分でもあります。
ロータス エリーゼと付き合っていくには、こういったトラブルがあること前提で乗ることをおすすめします。